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木の実と葉【詩/シロクマ文芸部】



【木の実と葉っぱ】

木の実も葉っぱもみんな
いつかこぼれてゆきます

木の実も葉っぱもいつか
どこかにこぼれてゆきます

形をかえてひとつにしてくれる
やわらかくゆたかな土のにおい
形がなくなって溶けて
浮かび上がってくるものを
ぜんぶうけとめてくれる空

かなしくても
なにひとつ
とりこぼさないし
きっとどこかで
ひとつにしてくれる
何かにしてくれる
きっときっときっと

巡り巡って
くり返される季節といのち

にんげんは
そのあいだに立って
一本の木のように
今日も季節を見つめていました

足もとの地面のあたたかさと
見上げれば吸い込まれそうな
高い高い秋の空の彼方と

生きている
生きてゆく
この世に巡り巡る自然の中で

ふと人恋しくなって
ぽとりぽとりとこぼした
ひとつぶの涙たちは
いつかの木の実でしょうか

ゆらゆらゆれる風の中で
急いでぬぐった
手のひらの仕草は
いつかの葉っぱでしょうか

こぼれおちた涙を
そっと
受けとめてくれたものに
触れた気がしたのです

かなしいほどに透き通る
静かな静かな
秋の一日





※シロクマ文芸部【お遊び企画/木の実と葉】に
参加させていただきます。よろしくお願いいたします。












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