ぼっちのひばり

現在大学1年生。工学部です。趣味は読書。浪人経験有り。書きたいことを書く。

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【短編小説】影

「ですから彼女は実に、何でもない事に苦しんで、何でもない事に死んで行ったのです。彼女を生かしたのは空想です。彼女を殺したのも空想です。ただそれだけです」 ——夢野久作『少女地獄』  二十代を折り返したばかりの男がいた。  現在の彼は複数のアルバイトを掛け持ちするフリーターの地位に甘んじているが、彼はかつて学問の道を志す、模範的ではなくとも少なくとも非常に情熱的な学生であった。  高校生の頃、彼は書物の中に自身の魂が生き写しにされる鏡を見たような錯覚を覚え、苦悩は言葉で表現

    • 自殺をした太宰治という作家について少し

       アニメや漫画を鑑賞していて、思わず登場人物に共感してしまうことはよくあることだと思う。一方、小説を読んでいると、登場人物というより、作者本人に強く共感してしまうことがある。小説は漫画等とは異なり、文章でストーリーを語るという特性上、客観的に情景を描写することは原理的に不可能であり、語りに作者本人の主観が必ず表れてくる。おそらくはこれが作者への共感という現象の原因であり、この現象を通して作者本人の苦悩や心理状態が感じられ、どうしても作者が他人という気がしなくなってくるのである

      •  先日(2024/11/8)のことです。金曜日でした。  僕は現在大学生で、金曜日は1~5限までびっしり、それも数学、力学、物理学実験といった重ための科目ばかりの時間割です。しかし3限だけは教養科目で、オンラインに載せられる講義資料を読めば授業を聞く必要もないので、学生証をかざし、出席したことにして授業をサボる、通称「ピ逃げ」を毎週のようにしています。そしてその空いた時間で、大学のすぐ近くにある公園に通っているのですが、ここがのどかで良い場所なんです。大学のすぐ近くとはいって

        • 不眠

           無限の活力が溢れ出て、眠れない夜がある。  深夜に勉強を始めて止め時を見失ったり、小説を読み始めて止まらなくなったり、新しく買ったゲームに熱中してしまったり。  翌日に夜更かししたことを後悔すると決まっているのに、その時は明日のことなど一切眼中になく、ただ目の前のことに没頭している。  アルコールの抜けきった肉体を日を跨ぐ前に純白のシーツに横たえ、目覚ましで起きる朝の憂鬱を、今日もよくやったと言い切れる自覚に変えて眠りにつくような、模範的な生活と慎ましい幸福を願いながら、現

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        【短編小説】影

          人生の虚無について

           去年の春、死のうと思った。最後に逢いたい人がいた。当時親しかった、恋愛関係ではない年下の女である。誘って、逢った。僕の内より発せられた絶望の黒い光に照らされて見る女の顔は、ひどく醜かった。  その日、海外小説を買った。中学以来、文学には触れていなかったのにである。『蠅の王』という題であった。無様に死にゆく一人の男の墓標に、うってつけの題名だと思ったからである。女への見栄でもあった。  キザな文章だ。著者の貼り付けたような気難しい顔と、誰が見ているでもないのに、気取って顎に

          人生の虚無について

          塾講師バイトの葛藤

           大学受験を終えても塾なんかで働いているのは、第一志望を諦めた僕の未練ゆえだろうか。  僕は1年間の浪人の末、第一志望を諦め、2年目、すなわち現役のときと合わせて3度目の受験で確実に受かる大学へと志望校を変更し、無事合格。そして高校時代に通っていた塾で、個別指導の講師として働き始めたという、いかにも高校時代を勉強に捧げた大学生にありがちな、平々凡々たる道を辿っている。しかし受験業界という不毛な場所で、どうにも慣れないことがある。  塾の研修では褒めて伸ばすとか、褒めて勉強

          塾講師バイトの葛藤

          暇つぶしのような創作

           やけに涼しい夕暮れに、嫌な記憶が頭に浮かんだ。   さよならと   告げたあの日の   温もりが   揺れる枝葉を   染め上げてゆく  幸福な思い出は、秋の公園の地面のように、掃いても掃いても落ち葉に覆いつくされる。  風が止むと、夏が戻ってきた。汗が額から噴き出てきた。  訪れた喫茶店は定休日であった。 「なぜ生きるかを知っている者は、どのように生きることにも耐える」 ——フリードリヒ・ニーチェ  親知らずを抜いた。矯正歯科にてレントゲンを撮ると、横向きに生え

          暇つぶしのような創作

          ノープラン和歌山日帰り1人旅(2024/8/15)

          先日(8/15)、1人で和歌山県に行ってきました。 現在は夏休みが始まり、僕はサークルも部活もやっていないし、バイト先の塾もお盆で休校だったので大いに退屈していました。自宅で読書をしたり、独学で勉強をしたりするのも楽しくはあるのですが、部屋に籠りきりなのも不健康な感じがするので、外出して自然に触れようと思い立ったのがきっかけでした。 僕は計画を立てることも、立てた計画通りに行動することも全く不得意なので、思い切って何の予定も目的地も決めず、和歌山に着いてからはひたすら気の赴く

          ノープラン和歌山日帰り1人旅(2024/8/15)

          「なんのため」ではなく「どう」生きるかが重要かもしれない

          通学と帰宅の電車で小説を読むことが、僕の毎日のかすかな楽しみで、最近はカミュの『ペスト』を読んでいます。この小説が書かれたのは70年以上も前なのですが、作品の主人公である医師のリウーの自身の職業に対する態度には、現代を生きる私たちも学ぶべきところがあるように感じたので、それを紹介し、僕が考えたことを話したいと思います。 この作品は、いたって普通の小さな街で大量の鼠の死体が見つかるようになる、という小さな事件から始まります。市民はこの出来事をあまり気に留めていなかったのですが

          「なんのため」ではなく「どう」生きるかが重要かもしれない

          怠惰な大学生の心境と勉強する理由

          1限のくだらない必修の授業に間に合うため、朝早くに家を出る。2限もやはりくだらない教養科目で、3限と4限は専門系の科目で、こっちはなかなか面白い。大学を終えて、自宅に着くのは5時半くらいになる。帰宅しても息をつく暇はない。すぐにシャワーを浴びて汗を流し、塾でのアルバイトに備える。不毛な受験戦争を終えても尚、受験業界に残り続けている。僕の職業の社会的な意義には甚だ疑問が残るが、直接的には高校生の役に立てているので、所謂やりがいはないでもない。そしてバイトのない日は大学の課題に追

          怠惰な大学生の心境と勉強する理由

          【自己紹介】根暗大学生が始めるnote

          はじめまして、ひばりと申します。 今年の春に入学したばかりの大学1年生。工学部です。 実は2年間も浪人をしていたので、現在は20歳で、1年生なのにお酒を飲めます。ちなみに免許も持ってます。 noteを始めた経緯重ねての実はになるのですが、今年入学した大学は第1志望ではありませんでした。そして滑り止めという訳でもありませんでした。というのも1年目の浪人で某国立大学に落ちた後、自分の数学の才能のなさに絶望し、諦めて志望校を下げてしまったんです。 挫折し、傷心の深い僕に、「努

          【自己紹介】根暗大学生が始めるnote