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喫茶店がなぜ今、お昼ごはんを始めるのか?

今回はかなり長文です。
お時間ある時、たらたら〜っと読んでくださると嬉しいです。


はじめに

トーストと珈琲、これがひばり珈琲の開業以来のメイン商品です。

今でもそのつもりですし、これから先も変わりません。
私の、死ぬ前に食べたいものは、
バタートーストとアイスコーヒーなのですから。

「ひばり珈琲でカレーライスが出るようになったら、店が危ないと思って足繁く通ってね!」
なんて、常連様とネタになるくらい、頑なに、ごはんやカレーなど、拒んできました。

珈琲を飲みながら本を片手に、パンをつまみながら過ごしてほしい、
そんなイメージがあったからです。

そんなひばり珈琲ですが、
三月から週に一回(毎週木曜日)、お昼ご飯を始めることにしました。
いわゆるランチ、というやつですが、この響きはあまり好きではないので
あえて、昼ごはんで通します。

このことを知った、または伝えた常連様によく聞かれていることです。
「なんでパンとコーヒーの店やのに、今更ご飯なん?」

暖かく、時に厳しく、でも全力で応援してくださるお客様ほど、
反対意見が多いです。
ご飯を出すってことは、おかずも作らなあかん、汁物もいる、あんた一人でどうするの?
原価が色々高くなってるやろうに割りに合わんのと違う?
余ったらロスやで、それが一番堪えるんやで。

本当にごもっともなご意見ばかり。
飲食店経営してたんですか!と言いたくなるくらい確信をつく、アドバイス。
もう、常連様というより、身内ですね、かなり突っ込んでバチバチの意見を
いただきました。
いかに私を心配してくれているかが伝わるので、お聞きしていて心が痛いです。ほんまに。

でも、決めてしまいました。

意外と(あっ、そうでもない?!)ひばりは頑固なんです。

まずは問題点を解決。


人の問題。


以前の記事で、人は雇わない、と豪語していました。
撤回します(笑)
⇒その記事はこちら「どんな時も生き残る喫茶店

舌の根は乾いたかしら?
はい、アルバイトさんを雇うことにしました。


人を雇う、
人件費だけ、で考えると、割に合わない、ということもあるでしょう。

人を雇う目的を、
単に労働力を増やす、
ということ以外で考えると、その点がクリアになりました。


もしお昼ごはん計画が予想よりふるわなくても
仕込みに追われる日々が少しましになるのでは?


私が店を1時間ほど空けても任せられる人がいいな。

そうすることで生まれる、私の中の遊びの時間や頭のスペース、
お昼ごはん、を二人で考えるワクワク感、

新しい風、意見、商品をひばり珈琲に届けてくれる人、と
以前とは違う、人を雇う意義をみつけたので、
人件費は惜しまず誰かと働く楽しみ、を優先しました。

事実、その条件にぴったり、いや、それ以上の方が来てくれました。

原価の問題。


かかります、正直、パンとコーヒーよりも手間も時間も光熱費も
大幅にかかります。
食材に対するこだわりもそこそこあるので
大丈夫かなと自分でも心配しています。

ですが、昨今の国際事情をかんがみて、果たしてパンの方が原価が安い、
ままでいられるのだろうか?
バターに生クリーム、小麦、すべて上がっています。
パンに至っては今からどんどんあがるでしょう。
今のように安定供給できるかどうかもわからなくなってきました。

これは以前から気になっていたのですが、
食糧自給率。
米、野菜、この二つは安定しています。
この二つが日本食にはかかせませんが、ちゃんと、日本で作られているのです。
価格も、高騰、というところまではいきません。
野菜は天候によりますが、手が出ない、ほどではありません。
この二つを主軸におく、お昼ごはん、これからはありなんじゃないのだろうか?

ロスの問題

これも蓋を開けてみなければどれくらい出るのかわからない、
何食用意するのか?テイクアウトも並行するのか?
まだまだ考え中です。

注)書き始めたのは3月初め。
今一か月と少し、お昼ごはんを継続し、この問題は解決していません。
週に一日というのはなかなか難しいなと実感中です。
まだまだ検討、改善の余地、アリです。

では、本題。

なぜ、今、ごはんなのか。


私の思った以上に、コロナ化の影響が続いています。
店ではなく、社会全体、子供の心、大人の心、世界の情勢、
新聞を開けるのが辛い日も多く閉塞感が半端ないです。

それでも当店は、常連様、地域の皆様、インスタグラムを見てきて下さった方など、お客様や仲間たちの支えで営業を続けていくことができています。

たくさんの、ありがとうを感じています。

そして、感じるだけで、いいのかなぁとモヤモヤしたものもあります。

このありがとうを表したい、それにはこの空間を維持するだけじゃなく、
リスクがあっても、一歩前に踏み出して
私が、ひばり珈琲ができることをしたい

そう考えるようになりました。

空間、時間、を提供して、安心していただく、
そのツールとしての珈琲でありパンであるわけですが、

食べることで、身体のため、心のために、
じわじわっと効いてくるような
食べている時間を噛み締めて幸せな時間にしていただけるような

そんなツールってないだろうか?

すぐ、ピンと来るのは、ご飯粒でした。

今はパン派のひばりですが
高校生までは、もっぱらごはん党。

小さな頃は食が細く
祖母が小さなおにぎりを作って
近所まで歩きに行き、そこで疑似遠足をしてようやく食べたそう。

母もおにぎり、なにかというと、おにぎり。
ご飯が余れば机の上に、大皿、おにぎり、どーん!
成長期は、おにぎりとからあげで永遠に食べられました。


摂食障害など経験し
ご飯粒を忌み嫌った時代もありましたが、

それでも、
私をこれまで生かしてくれたのは

ごはんとともにあった、幸せな食事の記憶です。

食べることは生きること、
栄養面だけでなく、
どれだけ笑いながら、充実した気持ちで
楽しくごはんを食べられたか、
で、
良く生きる、その人の明日を歩む力、

がはぐくまれると思っています。



パンやサンドイッチのおいしいお店はたくさんあります。
もちろん、パンにも素晴らしい想いではたくさんあります。

でも、おにぎりの美味しい店、
揚げ物だのみじゃなくって、
何気ないおうちごなんがおいしいなってお店は、
意外と少なくて。

普通のごはんが食べたい!
ほっとしたい。

そういう店どこならあるだろう?

え?これって私がやるんちゃう?

そういうご飯を提供したい、
そういうご飯と幸せな食事の記録を提供する場になりたい!

そう、思ったのです。

注)実際やって見ると原価との戦いで、
思ったより価格設定が高めになってしまいました。
それに見合ったものを、手間暇惜しまず作っていますが、
この方法も考えていき、もう少し広くみなさんに食べて
いただけるよう検討します

まだ、動き出したばかりの「ひばりのおひるごはん」。
価格に内容、提供方法、変化し続けると思います。
探り探りをお客さん巻き込んでやっている、感じです。

定まらない中、定まっていること、

安心して食事の時間を愉しんでほしい!

そこだけはぶれずにやっていきます。

2022 3月のお昼ごはん 
ネギヌタは祖母の味、おにぎりと卵焼きはバイトゆみちゃんの自信作


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