【読書記録】人生を変えたコント せいや(霜降り明星)
以前せいやさんのトークライブに初めて行ったときに、彼の人間的魅力を目の当たりにして、言葉を失った。彼は人を笑わせるためにこの世に命を授かったんだと強く思ったあの日を今でも覚えている。
この彼の半自伝小説は、まっすぐな愛の溢れた小説だった。執筆の様子をSNSで拝見したときは、赤ペンで手書きでびっしり書かれた原稿用紙を見て、気味が悪くて思わず笑ってしまった。けれども完成された小説には、そのひとつひとつの言葉に彼のまっすぐな想いが乗せられていて、感動するものがあった。
この一節が、すごく好きだった。悪にも誰にも止められない純粋な強さ、それは僕には「強さ」という抽象的な言葉でしか表現できないけれども、イシカワとこのコントの圧倒的な強さがバケモンという言葉に表されていると思った。
いじめというものは凄くセンシティブで複雑で、簡単に綺麗になくなるものではない。いじめられた記憶は僕にはないけれど、馬鹿にされた記憶は何度もあって悔しい思いをしたこともある。逆に、肩パン的なノリを一切しなかったかと問い詰められればしたことはある。誰かを言葉で傷つけなかったかと問われれば、傷つけた記憶がある。ときどき自分は本当はたくさん人を傷つけているのではないかと疑うことがある。実際にはそれは疑いではなくて、してしまっていることなのかもしれない。そこに危うさがある。僕たちの自覚と、相手の傷の深さは簡単に測ることができない。
僕には軽々しくいじめをなくそう!やめよう!と言えるほど人を大切にしてきたという自信がない。でもせいやさんはどこまでも人に対してまっすぐで優しかった。モリキーにもヤマイにも黒川にも、家族にも。だからこの本を読んで欲しい。そして、自分もこれからはせいやさんみたいにまっすぐ生きたい。