まつもと城下町湧水群を分けてみた (2/2)
平成の名水百選になっている「まつもと城下町湧水群」。その数、ざっと20箇所以上。そのうち、水質検査がされた井戸には検査成績書が掲示してあり、飲用できます。とはいえ生水なので、一度に大量に飲むとお腹が痛くなるったりするのでご注意を。
はじめに
まつもと城下町湧水群、数が多いので何かの指標で分類してみよう、の2回目です。
(1回目 ↓ )
今回は、前の記事でお示ししたpH-硬度分類表をまとめた時に、
「地図の方にまとめても面白いかも」
と思ったのでやってみた、という内容です。
グループ分け-1
pH-硬度分類表を下図のようにグループ分けしてみました。
pH値がややアルカリ性で、硬度の低いA群。対して、pH値はほぼ中性だが、硬度の高いC群。その他のpH6.6~7.2、硬度60~100mg/LにまとまっているB群です。
地図に落としてみよう-1
グループ分けした湧水群を地図に落とすと、下図のようになりました。
A群は松本城北側に集中しており、B群は松本城南部から女鳥羽川沿いに分布しています。C群はB群よりさらに南側に分布しています。
こんな見事に分かれるとは思っていませんでした(笑)。
上図から、A、B、Cの各群の水質(pH-硬度の関係)の違いは、どこに湧いているかという地理的な差と相関がありそうに見受けられます。あるいは、地理的な差は、地下の地質的な差と言い換えてもいいかもしれません。
A群とC群とでは涵養源が異なるか、地質的に異なるか、又はその両方である可能性がありそうです。
地形的には、A群は松本市街地北側山麓の水が、C群は薄川系の地下水が来ているんじゃないかと思いますが、掘って調べたわけではないので、定かではありません。
面白いのは北門大井戸(上図A群のすぐ右側の場所)です。
距離的にはA群に近いものの、pH-硬度分類ではB群に属しています。つまり、A群との短い距離の間に何か地質的な違いがあると考えられます。
松本城北側の地質構造がどうなっているのか、興味がわくところです。
グループ分け-2
それでは次に、大雑把に分けたB群を更に分けてみたいと思います。
下図のように、B群をさらにB-1群とB-2群に分けます。理由ですか?何となく線が引けそうだったので(笑)。
地図に落としてみよう-2
B群を2つに分けて、改訂した地図が下の図です。
B群の涵養源の1つが女鳥羽川であることは間違いないでしょうが、B-1群は女鳥羽川より北側にしか分布していないことが分かります。直感的に引いた線でしたが、女鳥羽川を境に何かの理由で違うんでしょうね。
また、大手門井戸は女鳥羽川にかなり近いのにB-1群だし、B-2群だけど女鳥羽川より北に位置する井戸もあります。一筋縄ではいかない、なかなか奥が深そうな感じがします。
まとめ
今回は、pH-硬度分類をもう少し掘り下げ、分類した地点を地図上にプロットしてみました。
すると、松本城北側と女鳥羽川を境にして、水質が少し違うことが分かりました。
一方で距離的に近いのにグループが異なる湧水も見られ、水質差の原因を突き止めるには、地形、地質、涵養源、さらに専門的な水質差等を調べる必要がありそうです。
そして、特に注意しないといけないのは、今回は井戸の深さを全く考慮に入れずに分類したことです。
同じグループの井戸であっても、深さが異なると水質が変わることが考えられますので、あくまで「こんな分類をしてみたよ」という視点で捉えてもらえたらと思います。
まつもと城下町湧水群めぐりを楽しむスパイスになれば嬉しいです。
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