話すことは大切なコト
ナンパってぶっちゃけどうなん?
チャラいとか、危険だとかいろいろな意見がある。
けど、結局は同じ人間でその同じ生き物の欲が原動力の行動。
今日は話しかけられると断れなくて応答してしまう私が、何を血迷ったか新年早々ナンパされて、渋谷でお茶しちゃった話。
新年。本当に新年の話。ビックリする程年が明けたばっかり。場所は渋谷。
買い物から帰ろうとしてた時だった。
その時私は「普通」じゃなかった
いつもなら、話しかけられるとついついイヤホンを取って対応するも、なんだかんだで「あー」とか「いやぁ…」とか「えへへへ」とか言葉にならない言葉を発してスルッと去る。1人でいたいから、1人でいる。そんなときに話しかけてほしくないから。気が向かないと自分の世界に閉じこもって、ただただ考え事という名の妄想を広げていたいから。
けどその日はなぜか急にYESマンのスイッチが入って、相手が言うままに「お茶くらいなら」とか言って某チェーンのカフェに入った。
渋谷はよく行く場所だし、そのカフェいつもの行動圏内。しかも人通りの多い通りに面していて外から丸見え。まぁ、安全面では問題ないか。なんてことだけを考えていた。
それから、私は実は人見知りではない。だから、初対面の人と話すことに抵抗はないし、部活の意味の分からないシステムのせいで?おかげで?年上の人に永遠に質問とかして喋り続けることも出来る。話の主導権を持つことは並以上に得意という気がしている。尺度なんて知らないから分からんけど。
だから、おそらくこの状況において大きな問題はなかった。
きっと相手は私に「新年早々ヤれればいい」なんてことを思っていたんだろう。年齢も聞いてこなかった。けど、話を聞いた感じ、私が大学3,4年に見えたのだろう。年齢を言ったとき驚かれた。本当に失礼しちゃう話。
「いや、若いやろがい。私」って心の中でツッコんだ。
てか今振り返って考えれば、私「ヤレそうなヤツ」って見られてたのか。嫌だな。そんな阿婆擦れビッチになった覚えなんてないもの。
そして、その人は「〇〇県(地方)出身、W大卒、IT勤務」という如何にもナンパ師なプロフィールだった。
「いや、胡散臭」
これが私の感想だった。けど、なんだかこんなことも滅多にないし、初対面の人としゃべることもここ1年なかったので、その場を愉しむことにした。まるで絵にかいたようなナンパ師。いや、私のバイブル少女漫画で、主人公の彼氏が来る前に話しかけてくるヤツじゃん!
愉快すぎる!!!!
なんだか、小説とか漫画とかの中に飛び込んだ感覚だった。
現実逃避の極みな気がした。
物語の登場人物と話している感覚だったから。
顔も名前も知らない初めてあった人。
これまでの経歴も違う。私が知らない世界ばかりを経験してきた人。きっと見ている視点は私とは全然違う。バックグラウンドに共通点を見つける方がきっと大変だ。
名前は最初に聞いたけど、フルネームでなんていうんだっけか。ニュアンスでしか覚えてない。確か四文字くらいだった気がする。けど、物語の進行には困らない。そう、その「人」が喋っているだけで十分なんだから。
相手が私に期待したことはきっと違う。そんなことは分かっていながらも、私はただその場で私が愉しむことだけを考えた。ワクワクという表現よりもソワソワという表現の方が近いような気がする。
日々の鬱憤だとか、疑問に思っていることだとか、悩みだとか、なんの戸惑いもなく話せた。
もはや感覚的に架空の人物と会話しているような状況だから。
だからこそだった。
そんなこと今までになかった。戸惑いもなく自分の根にある醜な部分を出せるなんて。どうせもう会うことのない人だという考えが私にそうさせたのだろう。
その人と話した1時間は私の中で実りある時間ではなかった。エキサイトメントは1mmもなかった。けど、私の心のくぼみは少し埋まって気がする。マイナスがプラスになった時間ではなかったものの、マイナスのマイナス具合が若干マシになったとでも言えば伝わるだろうか。
きっとナンパ師にしたらマイナスでしかなかったかもしれない。色々、質問された挙句、知らんやつの知らん話を聞かなきゃいけない羽目になったのだから。「渋谷でいい感じの姉ちゃんホテルだか自宅に連れ込めればな」なんてもしかしたら思ってたかもしれないのに。まあ違うかもしれないけど。真実は一つしかないけど、その人の心にあるから私には知りようがない。
もしかしたらその人も、孤独を一時的に埋めたかっただけかもしれない。
まあとにかく分からない。
けど、思ったこととしては、たまには知らない人と話すこともアリなのかもってこと。もちろん、個人情報とかには気をつけなきゃいけないし、知らないってことは危険と隣合わせだから、細心の注意を払わなきゃいけない。
けど、少なくとも私はその日なんだかスッキリした。吐きだせなかったものを吐き出せたからなのか、久しぶりに人と話したからなのかは分からない。心が少し軽くなった。なんだかそんな気がした。
だから、ナンパってそんなに煙たい目で見なくてもいいのかもとか思っちゃったりした。
まぁ、これは私が「普通」の精神状態じゃなかった時だから、こんなこともう二度としないと思うけど。
🍑