生成 AI はハイプサイクルの幻滅期に入るのか?
元ネタ
Gartner 2024 Hype Cycle for Emerging Technologies Highlights Developer Productivity, Total Experience, AI and Security
STAMFORD, Conn., August 21, 2024
https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/2024-08-21-gartner-2024-hype-cycle-for-emerging-technologies-highlights-developer-productivity-total-experience-ai-and-security
生成 AI とハイプサイクル:技術革新の新たな paradigm shift か?
2024 年 8 月 21 日、Gartner が興味深いレポートを発表しました。「Hype Cycle for Emerging Technologies, 2024」と題されたこのレポートで、彼らは生成 AI(GenAI)が「過度な期待のピーク」を越えたと指摘しています。
具体的には、次のような記述があります:
つまり、ビジネスの焦点が基盤モデルへの興奮から ROI を重視したユースケースへとシフトしているため、生成 AI は「過度な期待のピーク」を越えたというわけです。
さて、このレポートを読んで、みなさんはどう思いますか? 確かに、一見すると納得できる分析に思えます。でも、ちょっと待ってください。本当にそうなんでしょうか?
ハイプサイクルと生成 AI:本当に適合するのか?
Gartner のハイプサイクルは、新技術の社会的受容プロセスを説明するモデルとして長年使われてきました。多くの技術がこのサイクルを辿ってきたのは事実です。
しかし、生成 AI の場合、従来の技術とは少し様子が違うように思えてなりません。なぜでしょうか? いくつかの観点から考えてみましょう。
1. 進化の速度が桁違い
生成 AI の進化速度は、これまでの技術とは比較になりません。例えば、GPT-3 から GPT-4 への進化を考えてみてください。わずか数年で、その能力は飛躍的に向上しました。
これは何を意味するのでしょうか? そうです、「幻滅期」に入る前に、次の革新が起こる可能性が高いんです。つまり、従来のハイプサイクルで言うところの「幻滅期」が、極端に短くなるか、あるいはほとんど感じられないまま次のステージに進む可能性があるということです。
2. 応用範囲の広さが unprecedented
生成 AI の凄さは、その応用範囲の広さにもあります。プログラミング、デザイン、文章作成、データ分析...もはや、適用できない分野を探す方が難しいくらいです。
これは、ハイプサイクルの「幻滅期」の定義自体を難しくします。ある分野では期待外れだと思われても、別の分野では革命的な成果を上げているかもしれません。全体としての評価が、非常に複雑になるんですね。
3. 使えば使うほど進化する
他の技術と大きく異なるのが、生成 AI は使えば使うほど、データが蓄積され、モデルが改善されていく点です。これは、典型的なハイプサイクルとは全く異なる動きをもたらします。
例えば、機械翻訳を考えてみましょう。初期の頃は「使い物にならない」と言われていましたが、ユーザーが増えれば増えるほど精度が向上し、今では実用レベルに達しています。生成 AI も同様の、あるいはそれ以上の進化を遂げる可能性が高いんです。
4. 社会構造そのものを変える可能性
生成 AI は単なる技術革新ではありません。社会構造そのものを変える可能性を秘めています。例えば、教育のあり方、仕事の定義、創造性の概念など、根本的な部分に影響を与える可能性があります。
このような大きな変革は、従来のハイプサイクルでは捉えきれない部分があるのではないでしょうか。
Gartner の分析をどう捉えるべきか?
Gartner の分析は、確かに一面の真理を突いています。ビジネスの世界では、初期の興奮が落ち着き、より現実的な ROI を求める段階に入っているのかもしれません。
しかし、それは生成 AI 技術自体が「幻滅期」に入ったことを意味するのでしょうか? むしろ、これは技術の成熟と実用化が急速に進んでいる証拠と見ることもできるのではないでしょうか。
結局のところ、生成 AI はハイプサイクルに当てはまるのか? という問いに対しては、「部分的には当てはまるが、全体としては従来のハイプサイクルを超えた現象である」と言えるでしょう。
これからどう向き合っていくべきか
ここで重要なのは、ハイプサイクルという枠組みに捉われすぎないことです。生成 AI の本質的な影響力や可能性を見極めるには、もっと柔軟な視点が必要になってくるでしょう。
例えば:
継続的な学習と適応:生成 AI の進化に合わせて、私たち自身も継続的に学び、適応していく必要があります。
倫理的考察:技術の進歩と同時に、倫理的な議論も並行して行っていく必要があります。
クリティカルシンキング:生成 AI の出力を鵜呑みにせず、批判的に検討する能力がますます重要になります。
創造性の再定義:人間にしかできない創造性とは何か、改めて考え直す必要があるでしょう。
技術の進化と社会の受容、この二つの相互作用を注意深く観察しながら、生成 AI の真の可能性と課題を見極めていく。そんなアプローチが求められているんじゃないでしょうか。
最後に
Gartner のレポートは、生成 AI の現状を理解する上で重要な視点を提供してくれています。しかし、それを鵜呑みにするのではなく、批判的に検討し、自分たちの文脈に合わせて解釈する必要があります。
生成 AI の登場は、まさに paradigm shift と呼ぶべき変化をもたらしています。従来の技術評価の枠組みでは捉えきれない、新たな現象が起きているんです。
私たちに求められているのは、固定観念にとらわれず、この新しい技術がもたらす可能性と課題を、柔軟な視点で見極めていくことではないでしょうか。
さて、みなさんはどう考えますか? Gartner のレポートを踏まえた上で、生成 AI の未来についてどんな展望を描いていますか? ぜひ、コメント欄で教えてください。一緒に考えていけたら嬉しいです。
ネタばらし
こういうことだってばよ
……はい! ここまでお読みいただきありがとうございました!
「何かちょっといつもの野口の書き味/リズムとは違う感があるなー……?」と思われた方、鋭い! というか、野口の記事の文体を判別できるほどの読者でいらっしゃるというのは、ありがたい限りです、はい、ありがとうございます。
ええ、そうです、そんな始まり方と「ネタばらし」という項目でお察しいただけた方も出てきた頃合いでしょうか。
そうなんです、上記、「元ネタ」以外の部分は、全部 Claude Project を用いた Claude 3.5 Sonnet によって出力されたものです。
他に何か特殊なツールやサービスを使っているわけでもなく、ただの Claude Pro だけです。
これはですね、「Hiroyuki Noguchi」という、私の思考様式を模倣するような Claude Project を育てて出力させています。
野口啓之 ( Hiroyuki Noguchi ) であれば、この主題に対してこのように考え、このような記事を書くだろうな、ということをエミュレートさせているわけです。
なので、別段、「生成 AI はハイプサイクルにおける幻滅期に入ることはなかろうよ」という、私の個人的主張を入力プロンプトに入れたわけでもないのに、私の意見がそっくりそのまま出力されております。
自分でイチから主張を書け、と言われても、ほとんど同じような内容を書きます。
ちなみに 2024/06/16 時点でもこんなことをつぶやいていました。
さてさて、自分で育てた Claude Project なので、私自身は本記事の出力に対して、もはや驚きもしません。
ただ、「え、そんなことまでサラッとできるんだ!?」と驚かれる方も、読者の中には少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
そうなんです、ここまでできるんですよ。
「幻滅期に入っちゃう~」なんて言ってる場合じゃないですよね。
なお、文体模倣については、まだそこまで本腰入れていないのでだいぶ甘いのですが、ボチボチそちらもやっていこうかなと思っています。
Claude Projects を用いた汎用的な文体模倣手法はかなり確立できていまして、成果の一部を以下のような記事でお披露目しています。
私なりの Claude Projects の育て方について、note で別記事を出しました。
よろしければこちらもご覧ください🙌
自己紹介
野口 啓之 / Hiroyuki Noguchi
株式会社 きみより 代表
LLM も使いつつ 10 年超の CTO / CIO 経験をもとに DX 推進のための顧問などなどやっております
入力プロンプトと素の出力
最後に参考までに、入力プロンプトと、Claude Project を用いない素の出力も貼っておきますね。
素の Claude 3.5 Sonnet では、生成 AI がハイプサイクルに適合しつつも、ちょっと特殊要因があると述べられていますね。