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「なんで?」の用法・用量について。
今月のnote大学教育・子育て部企画は、 “言葉の力”を語る、です。
言葉って、とーっても奥深い。
企画になると身構えがちな私、何を書こうか悩みました。
以前、投稿したのはこの記事。
やっぱり言葉って人の心の中にどんどん溜まっていくんだよねって思います。
今回は、自戒の念を込めて「なんで?」の使い方について書いてみようと。
理想の使い方。
「なんで?」「どうして?」は、本来純粋に物事や事象の原因や理由を聞くために使いたい疑問詞。
例えば子供が泣いている時。「どうしたの?」「なんで泣いているの?」と柔らかく聞いてあげると、子供は「自分のことを気にかけてくれている」と感じて、安心できます。
例えば一緒に皆既月食を見たとき。「なんでお月様が真っ暗になるの?」「どうして小さくなったの?」自分が不思議だなあと思うことを質問しあうのは、シンプルにわくわくします。世界にはまだまだ知らないことがあるんだね。
一方で、「なんで?」は用法・用量を間違えるととんでもない毒薬になる、と私は思っています。
シーン1
シーン1は、子供が自分の思うように動いてくれない時に使う「なんで」。
「なんでまた片付けてないの?」「なんで何度言ってもわからないの?」「なんでおしっこを行きたい?ってさっき聞いた時行ってくれなかったの?」「なんで・・・・以下略。
この「なんで」は、もはや答えを求めていません。
相手の答えなんてどうでもいいんです。
この「なんで」に対して出てくる答えは「言い訳」に感じてしまうから。
それをわかってても言わずにはいられないって感じで、気づいたら口をついて出る言葉なんです。
シーン2
シーン2は、学校や園でのトラブルについて事情聴取する時に使う「なんで」。
責めるつもりなどなく、純粋な気持ちで質問をしていても、用量を誤ると相手を追い込んでしまいます。
「今日〇〇くんとけんかしたんだってね。」「なんでけんかしたの?」
「なんでそんなこと言っちゃったの?」「ちゃんと仲直りしたの?」(もはや「なんで」消えた)…以下略
親としては心配で、子供のことを質問攻めにしてしまうことはよくあるんじゃないかな~と思います。
だけど、質問って結構追い込むよな~~っていうのが私の感想。
大体、子供が(大人でも)何かやらかしてしまうときなんて、理由など何もないのが大半。
そこに何度も「なんで」としつこく質問(ではないですね、愚痴ですね)を投げかけると、
子供はなにか言わないといけないと思うもんだからセルフディフェンスに回ります。屁理屈、言い訳、出てくる出てくる。
それを聞いて私がどう思うか?ただただ、空しい、っていうことです。
いい感じの使い方。(案)
シーン1やシーン2で「なんで」を使うなら一回に留め、自問自答形式がベスト、だと今のところは結論付けている私です。
(もっといいアイデアあったらぜひ教えてください><💛日々暗中模索です)
「なんで片付け終わらなかったのかな、おもちゃが沢山ありすぎてどこから手を付けたらいいかわからなかったかな?」
「ママのおすすめは、まずゴミを袋いっぱいに集めることだよ。明らかに捨てていいものなら迷わないもんね。」
「なんでさっきおトイレ行けなかったのかな、面倒くさいっておもっちゃったかな?」
「おしっこは身体から出ていけないと、病気になっちゃうんだよね。ママも何度もかかったことがあるんだけど、とっても辛いんだよ。〇〇に同じ思いしてほしくないから、おしっこ行きたくなったらすぐに教えてくれる?」
特に4歳、2歳の下の子たちは、まだまだ自分の考えを言葉にするのが難しいこともあって、この「なんで」「どうして」にフォローアップコメントをくっつけると、一気に子供の心も和らぎます。
忙しい毎日でこんなのやってられない!て爆発しそうになりますが、私は「ようちえん・ほいくえんの先生ごっこ」と題して役になりきることで爆発を防いでます。
ええ、少しばかり変かもしれません。でも有効なので構わず採用です。笑
(逆に、少し年が上の子供は、こんなに自分の気持ちを代弁されるとちょっとうざったがるかもしれないです。うちの子は最長6歳なのでまだまだ使えてます。)
いい感じの使い方。他のクリエイターさんの記事とアイデア。
こちらは、きゃっさんの記事。
やっぱり「なんで」で攻めまくるというコマンド、母親は隠し持ってますよね。私がきゃっさんの対応で素敵だな、と思ったのは、
「何か手伝えることある?」
と、親が先回りせずに子供にリクエストを直接聞くところ。
なんか私がダァーーーーっとしゃべり倒すよりはるかにいい。本当、子供との会話をしっかり時間かけてできる方って尊敬です。
いや、私ももちろん心掛けてはいます。けど、「なんで」が口から出かかっているときの、あの自分の感情をコントロールする・・・これが結局難しいわけなんですよねえ。。先は長い。
じれったいなあと思う気持ちを抑えて頑張ってみたいです。
We have two ears and one mouth so that we can listen twice as much as we speak. ~Epictetus
次は、私の一推しクリエイターさん、ががさんのコメント。
日常をさらっと切り取って、面白くデフォルメ、読者をくすっと笑わせてくれる記事は、必ず毎日の癒しになることでしょう^^
これ「どうやったらお片付けがしたくなるのかな?」「どうやったらおトイレに行きたくなるかな??」を一緒に探すとどうなりますかね??
さすが、と言わざるを得ないんですが、これって大人でも嬉しいフォローかなと。私も人からあーしろこーしろいわれるの好きじゃなくて、自分でトライ&エラーの中から学びたいタイプ。じゃあなんで子供に「自分がされて嬉しいこと」をできないのか・・・うーむ根は深そうだ!子供に自分で決めさせる、考えさせるのは私の中でも育児の理想。しかし、やりとりに何分かかるんだろうと戦々恐々としている自分がいるw今のところ日の出前に起床できればこの心の余裕が持てるかな・・と弱気な姿勢でいますが、可能な限り子供に考えさせたい!
「なんで?」っていう好奇心は絶対大切にしてほしい。
「なんでだろう?」と思うことは、今まで知らなかった世界へ通じるドアだと思うのです。
「なんで?」や、「どうやったらいいんだろう?」という素朴な疑問がなければ、自分の世界を主体的に広げていくのは難しい。
人間関係を築くときも同じだと思います。「なんでこんな気持ちになるんだろう?」「なんであの子はあの時泣いちゃったんだろう?」こんな風に自分の気持ちや他人の気持ちに興味を持ち、優しい気持ちで想像をふくらます。それだけで、周りにも優しくなれるし、自分が持つ感情にも、いい意味で客観的に接することができるんじゃないかなって。
だからこの言葉にネガティブなイメージを持ってほしくない。
親として、この短い3文字の用法(トーンやシーン選び)・用量(連続で使うのはコワイ)を誤らずに、子供の「不思議に思う心」を育てていきたいな、と思っています。