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ひっでえ映画『室井慎次 生き続ける者』レビュー

【概要】

『室井慎次 敗れざる者』の続編…というか後編。

監督 本広克行
脚本 君塚良一
プロデュース 亀山千広

<注意>
ネタバレあります。

【あらすじ】

警察を辞めて故郷の秋田に戻り、事件被害者・加害者家族の支援をしたいという思いから、タカとリクという2人の少年を引き取り、暮らしていた室井慎次。しかし、彼の家のそばで他殺死体が発見され、さらにかつて湾岸所を占拠した猟奇殺人犯・日向真奈美の娘だという少女・日向杏が現れたことから、穏やかな日常は徐々に変化していく。かつての同僚であり今は秋田県警本部長になっていた新城に頼まれ、警視庁捜査一家の若手刑事・桜とともに捜査に協力することになった室井。そんな彼のもとに、服役を経て出所してきたリクの父親が訪ねてくる。

映画.comより

【見る前の気持ち】

前編もまあまあ面白かったし、楽しみにしていた後編。
楽しみにしていたんですよ…本当に。

【登場人物】

室井 慎次柳葉敏郎
警察を退職した60歳。不慣れな父親役を頑張って務めている。
誠実な苦労人。犯罪関係の子供たちの里子になっている。
人付き合いは相変わらず苦手。

日向 杏(福本莉子)
猟奇殺人犯「日向真奈美(小泉今日子)」の娘。
突然室井さんの家に転がり込んできた。やべ―やつ。

森 貴仁(齋藤潤)
室井さんと生活する子供その1。17歳。
それなりに学生生活を謳歌しているが、冒頭で唐突に失恋する。
殺人事件被害者の遺族。ハードSFが好き。

柳町 凛久(前山くうが・前山こうが)
室井さんと生活する子供その2。小学4年生。不登校児。
こちらは事件の犯人の子供。
実の父親が現れて、てんやわんや。

柳町明楽加藤浩次
リクの父親。収監されていたが、刑期が明けて出所してきた。
今回の悪役。
歩き方にキャラクターがにじみ出てて、加藤浩次を少し見直した。

乃木 真守(矢本悠馬)
地元のお巡りさん。コメディリリーフ。
『敗れざる者』ほどはウザくなかった。

新城 賢太郎(筧利夫)
室井さんの元同僚。

桜 章太郎(松下洸平)
警視庁捜査1課。事件のために秋田までやってきた。
お前、もっと活躍しろよ!

沖田 仁美(真矢ミキ)
出世している元同僚。

長部 音松(木場勝己)
自治会長みたいな人。

石津 百男(小沢仁志)
近所の牧場主。悪そうな顔をしているが悪人じゃない。
田舎の1次産業に関わっている人にはありがち。

【よかった点】

①    室井さん萌え
 室井さんの何が好きなのか考えた。彼は非常に理性的な人間で、基本的に自分の感情・欲求を後回しにしてしまう。そういうキャラクターはうまく表現しないと人間味がなくなってしまって嫌われるのだが、彼が悩み、苦しんでいるのが誰の目にも(少なくとも観客には)明らかなので、逆にものすごく人間臭さがある。だから好き。
これは役者の力ですね。表情とか、すごいと思う。

他に良かったところ?あるわけねーだろ。

【悪かった点】

①子供たちの掘り下げが凄く雑
小さいほうのリク君は不登校児だが、たまに発奮して登校しているのだが…そこでのトラブル描写がなんかすごく適当な感じがする。
大きい方のタカの失恋もなんか唐突すぎてちょっと…。このシーン必要か?
日向真奈美の娘の杏も…そもそもこのキャラ必要か?いなくても全然今回のテーマでは描けたと思うし、この短時間で解決するには重すぎる。あっさり感が凄い。

②サスペンス?そんなものはなかった
本当になにもなかったんだよなぁ…。犯人はすぐにわかるし、逮捕もあっさり。室井さんが少し話したらあっさり自供を始める。なんだこれ。

③ゴミのような脚本
リクの父親が登場する
 ⇒リクを返せと言ってくる
  ⇒ゴミくず親父なのでトラブルになる
ここまではいい。まあ、そうなるよね。
父親が室井さんの飼い犬の首輪を外して逃がす←これが分からない。
これさ、要は最後に室井さんを殺すためだけに書いたろ。クソが。
ここまであんなに賢そうに描かれていた犬も、吹雪の中逃げていっちゃうし。あそこまで賢いならそんなことしないだろ。

【まとめ】

というわけで、酷い映画でした。雑に室井さんを殺して、子供たちが「今後のことは話し合って決めました」って室井さんの志を継ぎます感を出して、
警察組織改革は新庄さんが全部やってくれました、室井さんの名前を付けたプロジェクトですって…。
ばっかじゃねーの?こちとらそんなんが観たかったんじゃねーんだよ!
泣かせようとして、これを作ったの?こんなんじゃ泣けませんよ。
死ねば泣くと思ってんのか?しかも、あんな死に方で?

評価 ☆1 見る価値無し

【予想の答え合わせ】

①    柳町凛久の話
 凛久の父親が出所したシーンが最後に描かれていたので、「息子を返せ」的な話になるのは間違いない。今作で室井さんと凛久に距離ができてしまったので、室井さんの「父親」としての成長が見られるでしょう。正直な想いを吐露するシーンが見られるかも。
 ⇒概ね合ってましたね。
② 日向杏の話
 相当ヤバいやつという印象だが、母親から洗脳を受けているらしい。
ただ、単純なサイコパス少女というのはちょっとアレなので、「面倒見のいい母親役」と「母譲りの狂気」の自己の二面性に悩むキャラになると予想。最終的には室井さんが正式に面倒を見ることになってチャンチャンかな。
 ⇒思ったよりも浅くてビックリしました。
③ 事件の解決
 前編では、被害者はMovie2の犯人の1人ということくらいしか明らかになっていないんで、どういう事件に発展していくかもよく分からない。あの洋ナシ集団がまた悪事を企んでいるらしいが、それでなんで秋田に埋められているかも分からない。
「警察組織内での室井イズムの継承」がテーマになるので、おそらくバディを組む桜や緒方あたりを中心に物語が展開していくんでしょう。新庄さんも絡んでくるのかな。
 ⇒この作品を完全に買いかぶっていました。

【エンドロール後について】

青島(織田裕二)登場しましたね。次は彼の映画をやるんですかね。
作中ですみれさん(深津絵里)が警察を辞めたことが改めて言及されていましたが、結婚してるんでしょうか。二人で唐揚げ屋やっててほしい気持ちもどこかにありましたが、どうやら青島は警察を続けているようですね。
どうでもいいけど、そこまで来たんなら線香の1本でも挙げていけよ。


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