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思ってたんと違う『室井慎次 敗れざる者』レビュー

【概要】

久しぶりに始動した『踊る大捜査線』シリーズの新作映画。
久しぶり過ぎて、一報を聞いたときは冗談だと思った。
監督 本広克行
脚本 君塚良一
プロデュース 亀山千広

<注意>
ネタバレ控えめでいきます

【あらすじ】

これまで現場の捜査員のために戦い続け、警察の組織改革に挑むなど波乱に満ちた警察人生を歩んできた室井慎次。27年前に青島と交わした約束を果たせなかったことを悔やむ彼は、警察を辞めて故郷・秋田へ帰り、「事件の被害者家族・加害者家族を支援したい」との思いから、少年たちと穏やかに暮らしていた。ある日、室井の前に謎の少女が現れる。彼女の来訪とともに他殺と思われる死体が見つかり、室井はその第一発見者となってしまう。その少女・日向杏は、かつて湾岸署が逮捕した猟奇殺人犯・日向真奈美の娘だった。

映画.comより引用

【見る前の気持ち】

 学生時代にさんざん見たドラマ『踊る大捜査線』の新作映画。楽しみなような…思い出の中で眠っていてほしいような…
 映画シリーズでは2作目『レインボーブリッジを封鎖せよ』が一番好き
というかその冒頭15分が一番面白い。3作目は正直微妙だったし、4作目は「シリーズが終わる」ということ以外に意味を見出せなかった。
『交渉人 真下正義』は嫌い。『容疑者 室氏慎次』もあんまりだったなぁ。
室井さんは好きなキャラクターだし、彼のその後は気になっていたので初日の初回で観てきました。

【登場人物】

室井 慎次(柳葉敏郎)
警察を退職した60歳。秋田の田舎に家を買い、引き取った子供たちと静かに暮らしている。畑を耕したり、狩猟免許を取ったり。人付き合いが苦手なのは相変わらず。言葉が足りないのも相変わらず。

日向 杏(福本莉子)
映画1作目から登場した猟奇殺人犯「日向真奈美(小泉今日子)」の娘
やべ―やつ。
突然室井さんの家に転がり込んでくる。

森 貴仁(齋藤潤)
室井さんと生活する子供その1。17歳。
おとなしそうな性格で、それなりに学生生活を謳歌している。
殺人事件被害者の遺族。
言葉の足りない室井さんとちゃんとコミュニケーションが取れているあたり、かなり能力が高いと思う。

柳町 凛久(前山くうが・前山こうが)
室井さんと生活する子供その2。小学4年生。不登校児。
こちらは事件の犯人の子供。
室井さんには懐いているが、突然現れた日向杏への態度を見ると、やはり「母親」を求めている様子。

乃木 真守(矢本悠馬)
地元のお巡りさん。
いわばスリーアミーゴスの役割を一人で引き受けているコメディリリーフ。

奈良 育美(生駒里奈)
森貴仁の母を殺した男の弁護士。

新城 賢太郎(筧利夫)
室井さんの元同僚。
新庄さん…あんたこんなところに飛ばされて…。

桜 章太郎(松下洸平)
警視庁捜査1課。事件のために秋田までやってきた。
室井さんとバディを組むことになる…のかな。

緒方 薫(甲本雅裕)
緒方くん、君、出世してるじゃねーか!

森下 孝治(遠山俊也)
森下くん!せっかくだし室井さんとちゃんときりたんぽ食べるんだぞ!

沖田 仁美(真矢ミキ)
沖田さん…めっちゃ出世してる…。
「なにやってんのよー!!」とか言ってたのが懐かしい。

長部 音松(木場勝己)
自治会長みたいな人。
悪い人ではなさそうだが、室井さんが集会にも出てこないので困ってる。

石津 百男(小沢仁志)
近所の牧場主。悪そうな顔をしているが、多分そんな悪い人じゃない。
田舎の1次産業に関わっている人にはありがち。多分。

【よかった点】

①    ヒューマンドラマとしてちゃんとしてる
 室井さんの挫折と再生、「親」として奮闘する姿、「子」である森貴仁の成長。今回の映画のテーマとして「室井イズムの継承」があるようですが、その部分はしっかり描かれていた。奈良弁護士も分かりやすい悪役としていい仕事をしていましたね。
②    往年のファンに向けたサービス
 昔の映像もたくさん挿入されるし、懐かしのキャラもたくさん出てくるし、ファンはうれしい。まるで同窓会のようだ。
新規客にも関係性が分かるように一応の配慮がされていると思うが、どうせこの映画を新規ファンが観に来ることもあまりないだろうし…。

【悪かった点】

①    ギャグパートがきつい…
 必要なのはわかるし、これが『踊る』だなあ…て気持ちにもなった。
でも、さすがにきつい。乃木にヘイトが向くレベル
後編でちゃんと見せ場を用意してあげてほしい。
②    サスペンス部分はほとんど進まない
 ヒューマンドラマに尺を割いたため、肝心の事件はほぼ手付かず。
これは前後編に分かれているので仕方ないとは思う。むしろそれぞれを半端に進めるよりはいいかもしれない。
③    結局は「日向 真奈美」に頼る脚本
 確かにシリーズで一番存在感がある犯罪者ではあるけど…Movie3でも再登場させたし、今回は娘を引っ張り出してきて…。「またか…」感を強く感じてしまった。もったいない。

【まとめ】

 前編なので、既存キャラのこれまでと新規キャラの紹介+伏線をばらまいた、という印象。上述したとおり、ヒューマンドラマとしてはよくできていたと思うし、期待を持たせる内容ではあった。
ただ、わざわざ前後編に分ける必要はなかったのでは…という疑念も付きまとう。元々はTVシリーズを予定していたらしいのですが、そちらの方が良かったかも?
 正式な評価は来月の後編『生き続ける者』を見てからですね。

評価 ☆3 同窓会映画。全ては後編次第

【後編の予想】

 森貴仁の話は終わったので、①柳町凛久の話②日向杏の話③事件の解決をしないといけない。ついでに室井さんのご近所付き合いの改善。
①    柳町凛久の話
 凛久の父親が出所したシーンが最後に描かれていたので、「息子を返せ」的な話になるのは間違いない。今作で室井さんと凛久に距離ができてしまったので、室井さんの「父親」としての成長が見られるでしょう。正直な想いを吐露するシーンが見られるかも。
②    日向杏の話
 相当ヤバいやつという印象だが、母親から洗脳を受けているらしい。
ただ、単純なサイコパス少女というのはちょっとアレなので、「面倒見のいい母親役」と「母譲りの狂気」の自己の二面性に悩むキャラになると予想。最終的には室井さんが正式に面倒を見ることになってチャンチャンかな。
③    事件の解決
 前編では、被害者はMovie2の犯人の1人ということくらいしか明らかになっていないんで、どういう事件に発展していくかもよく分からない。あの洋ナシ集団がまた悪事を企んでいるらしいが、それでなんで秋田に埋められているかも分からない。
「警察組織内での室井イズムの継承」がテーマになるので、おそらくバディを組む桜や緒方あたりを中心に物語が展開していくんでしょう。新庄さんも絡んでくるのかな。

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