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【W.D.H】 ガラケーの話

十数年前の今頃、私はまだガラケーを使っていました。
ガラパゴスケータイです。
ぱかぱかするやつです。
iphoneの発売から数年後、後を追うように様々な企業がいわゆるスマートフォンを販売し始め、当時の世の中はスマホブームでした。

みんなと同じことはしたくない、若干こじらせ気味だった私は、そんなスマホブームの荒波にひたすら逆らいながら、半分意地でガラケーを使い続けていました。
それはもう、どれだけ周りがスマホに乗り換えようが俺は一生ガラケーでいくねんくらいの確固たる覚悟で。

そんなある日、私は愛用の携帯電話(ガラケー)をトイレに落としました。
トイレの床の上ではなく、便器の水の中です。
ばっちいですね。
これにより、クリア・2・5・8・0という真ん中縦一列のボタンが全て使用不能になりました。


スピーカーも故障したらしく、電話をすると相手の声は聞こえるのですが、自分の声が相手に届きません。
メールはかろうじてできるのですが、か行な行や行わ行が使えないのでまったくもって文章になりません。
お話にならないとはまさにこのことです。

Hip-hop等でよく使われる音楽の手法で、「サンプリング」というものがあります。
既存の楽曲の一部を切り貼りし、新しい曲に使うやり方です。

サンプリングの例(0:24くらい)↓

元ネタ

どうしても返さないといけないメールなどは、過去の送受信メールの文章から使いたい情報を抽出し、それらを組み合わせて新しい文章を作るようにしました。
メールのサンプリングです。
少々雑ですが、これで用件は相手に伝わる形になります。

しかし私はこだわりの強い人間なので、接続詞や微妙な語尾の言い回しなど、さらに細かい情報にも気を配ります。
「ブレイクビーツ」という音楽の手法があります。
既存曲のドラムのリズムを分解し、パズルのように切り貼りして音楽を組み立てるやり方のことです。

ブレイクビーツの例↓

メールボックスにストックされている、元となる文章を一・二文字という小さな単位に分解、それを細かなコビー&ペーストのもと構築し、国語的・文法的にもきちんと意味の伝わる文章に組み立て直します。
これがメールのブレイクビーツです。

2日で嫌になってスマホに買い換えました。

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