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【食べるものの価値】ホンモノの塩は摂らなければならない。

 「ホンモノの塩」は大切だ。体が求めるのはミネラルを多く含む海の成分そのままの塩だということだ。当然ながら海水からホンモノの塩を作るには手間も時間もかかる。だから価格も高い。家計をあずかる人間にとってはなかなか手を出しにくいかもしれない。それでも安易にニセモノばかりを摂って体調を崩し、医療費を払うぐらいなら、少々値が張っても本当に良いものを選ぶべきだ。塩以外にも油、味噌、醤油、酢、それにコメや卵といった日常よく使うものはよくよく考えて選ぶのが賢明である。それが贅沢だと言うなら、衣服や遊興費などを切り詰めれば良いのである。家計の優先順位の見直しをするということだ。どう考えても健康よりも優先されるものがあるとは思えない。

 食べるものが体を作る、という当たり前のことを忘れてはならない。塩、油、醤油といったものにはとにかく、色や味をホンモノに似せて作ったものが多い。そういうものには往々にして摂るべきものが含まれておらず、摂ってはいけないものが含まれている。それらを食べ続けたら体がおかしくなるのは当たり前である。しかし長い年月を経て初めて結果がつきつけられるので、因果関係がわかりにくい。そこが落とし穴だ。いくら平均寿命が延びたからといって、人生のうちの1割以上の年月を「要介護」で過ごし、8割の人が病院で最期を迎える日本国民が健康であると胸を張っては言えまい。

 手間と時間をかけて伝統的な製法で作られたものを選んで購入することは、文化や技術の継承につながり、一生懸命ホンモノの味と滋養を生み出す生産者を応援することにもなるのである。

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