他人の顔
私の好きな映画に「他人の顔」(原作:安部公房・監督:勅使河原宏・公開:1966年)という作品がある。
事故によりケロイド状になった顔を包帯で隠した男は、精神科医とともに他人の顔を用いた面を作る。”包帯”と”他人”それぞれの顔をもった男。次第に”他人”の自我は大きくなり、”包帯”の顔を厭わしく思っているであろう妻を”他人”として誘うが…
鶏が先か、卵が先か。
人のアイデンティティとはその人の容姿が大いに関係しているのでしょうね。
よく、「人は見た目より中身だ」という人に、果たして本当にそうなのでしょうか。と問いかけたくなる作品。なによりも仲代達矢がかっこいい
人の性格や自我というものは自己を包むなにか(容姿であったり、名前や社会的地位など)ありきなのではないでしょうか。
もし、私の容姿が”他人”の顔をつけた仲代氏のようになったらやはり性格も、言葉遣いも、日常の隅から隅まで変わってしまうと思うし、ただ名前一つ変わっただけでも…
同じように、これを読んでいるあなたも、好きな人の容姿になったら、嫌いな人の容姿になったら、自我は変わってしまうだろう。
66年の映画(原作小説は64年)であるが、SNSを使い、それぞれに顔をもち、それぞれに自我をもっている。そのような人が、大凡をしめつつある現代においても一見の価値があると思うので、暇があればご覧になってください。
さあ!あなたのその顔、その自我は!いったいどこの、誰の、顔や自我なんだろうね。
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