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逍遥 四万温泉

貧しいうえに教養もないなんて、二重にかわいそうね、フロリータ

バルガス=リョサ、楽園への道

毎年、大学時代の同期とともに温泉旅行へ赴くのが恒例となっている。今年の目的地は、群馬県の四万温泉。これまで訪れた草津温泉飯坂温泉に続く一幕であるが、特段の理由や基準があるわけではなく、ただ静かに、誰にも邪魔されることなく怠惰な時間を過ごせる地を選んでいるに過ぎない。四万温泉へは東京から車でおよそ3~4時間。途中、中之条駅周辺を散策したのち、宿泊地である伊藤園ホテルへと向かった。四万温泉には、一泊2~3万円ほどの宿から、ダム近くの山奥に位置する一泊1万円ほどのリーズナブルな宿まで様々だ。伊藤園ホテルもまた、後者に属する宿泊施設である。

中之条

まず、群馬の名店として名高い「永井食堂」での昼食を済ました。名物であるもつ煮定食(650円)は、変わらぬ人気ぶりを誇り、店内は常に賑わいを見せている。それでも驚くべきはその回転率の速さであり、混雑もさほど気にならなかった。

腹を満たした後、四万温泉への道中に中之条周辺を散策することにした。この地は、元内閣総理大臣・小渕恵三の出身地として知られ、その名に相応しく保守王国・群馬の象徴とも言える銅像が堂々と建立されていた。また、旧吾妻第三小学校を改装した民族博物館では、真田家の歴史をはじめ、現代に至るまでの多様な展示が揃っており、地域の深い歴史に触れることができた。


呪いの人形 Isabelleという名前らしい。そんなホラー映画があった気がする。


四万温泉

中之条を後にし、四万川沿いの道を山奥へと進むと、四万温泉街が姿を現す。伊藤園ホテルは温泉街からさらに奥まった地に位置しており、その道中にはメロディーラインと呼ばれる特異な道路が存在する。車で走ると音楽が奏でられる仕組みで、四万温泉では千と千尋の神隠しの主題歌いつも何度でもが響き渡る仕掛けだ。草津にも同様の道があった記憶があるが、そこで流れる曲は忘れてしまった。こうした遊興のために金を投じられる背景には、群馬特有の自民党政治の恩恵があるのであろう。

宿泊した伊藤園ホテルは、一泊二食付きで料金は12,000円と手頃であった。サービスにも概ね満足した。食堂スタッフの多くが外国人であったことが印象に残った。日本の人口減少問題がいよいよ深刻化する中、現在のサービス業はこうした外国人労働者によって支えられている現実を直視せざるを得ない。RACISTの愚民たちは、己が偏見を戒め、異文化への寛容を心に留めてほしいものだ。


四万湖ダム

宿から徒歩15分ほど坂を登ると四万湖ダムに辿り着く。湖面はコバルトイオンの影響で鮮やかな青色を湛え、その美しさに目を奪われる。一周約5kmの湖畔を散策したが、羽虫が非常に多く、衣服にまとわりついた虫の死骸が鬱陶しく、景観の美しさも少し損なわれる思いであった。また、平日でしかダムカードを配布していないという事実には些か落胆した。

四万温泉街

四万湖を後にし、温泉街へと足を運んだ。四万グランドホテル積繕館を中心に構成される温泉街は、訪れる観光客の数に比して狭く感じられた。実際、駐車場は満車で、長蛇の列ができていた。昼食は温泉街にあるハンバーガー店で軽く済ませた後、千と千尋の神隠しの舞台とも言われる積繕館を訪れた。館内には公衆浴場があり、日帰りでの入浴が可能である(料金1,500円)。しかし、設備の面ではいささか不満が残る。シャワーの数が一つしかなく、利用者の多さに見合わない仕様であった。一般的な公衆浴場と比較すると割高な料金設定であり、この値段ならば設備の改善を行うべきであろう。

SystemはUnabomberの言うところのSystemであろう。
スマートボール屋 500円



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