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中国語検定準1級を独学で取得するまでの記録

中国語を始めて4年半にあたる2023年の秋に、で一つの目標であった中国語検定準1級を取得しました。

需要があるかわかりませんが、それまでの経緯や試験の感想・どうやって勉強していたかをお伝えできればと思います。

|筆者について

性別:
年齢:26歳
出身:石川県、大学進学を期に上京
大学:東京の某地方国立大学(?)
学部:工学部
現在:大学院修了後は民間企業に就職、現在2年目

私と似たような境遇の方で中国語を勉強する方はかなり稀なため、中華圏に親戚がいるの?留学したことがあるの?とよく聞かれますが、いずれもNOで個人の純粋な趣味で勉強していたという答えになります。

北陸の田舎町なので、外国人とは当然自分の生活圏で触れることはありません。いるにはいますがせいぜい小学校のALTや、街でたまにベトナムから来た地元の工場で働いているお姉さんが楽しそうに談笑しながら自転車を漕いでいる様子を観測できるくらいでしょうか。
上記の環境に加えて私自身も当時全く海外に興味がなかったので、自分は海外に行くこともないし、英語以外の言語を勉強することはないとずっと思っていました。

どうして中国語の勉強を始めたか、ということはまた気が向いたときにnoteに残そうかと思います。

|なぜ試験を受けようと思ったか

急に思い立ったのと、その年に社会人となって会社が試験の費用を全負担してくれることになったからです。

その前にも暇なのと会社が試験費用を出してくれるという理由で基本情報技術者を取得していたのですが、次は何を目標にしようかなと考えた時に、以前から頭の片隅にはありつつも受けに行くのが面倒でほったらかしにしていた中国語検定準1級の取得が頭をよぎりました。
自分の目標としてのマイルストーンの一つでもあったし、取得して会社に提示しておくとチャンスが生まれるかもしれないと思い、受験を決意しました。

中国語検定準1級の試験は11月下旬で、受験を決心したのは8月下旬だったので、試験に向けた勉強自体はまるまる3か月ということになります。

語学の試験を取得するには基本はどの言語でもまず一般的な語彙・文法・リスニングなど総合力を鍛えて、それから試験に特化した対策を行うという手順になるかと思います。
今回も例に漏れずそうで、中国語の勉強を始めてから4年強は基礎力を鍛えて、3か月は試験に特化した勉強をしていたといえます。

|中国語学習の軌跡

○最初の最初

2019年3月のおわりに、ピンインから学習開始しました。
最初の最初で手探り状態なので、ひたすら参考書とにらめっこしている状態でした。

当時使っていた教材の一部を以下にリンクを貼ります。
今から振り返ってみても、すべて初学者の方におすすめできるラインナップだと思います。
すべて書いていると胸やけがしてしまうと思うので、気が向いたときにまた改めて別記事で中国語学習関連の本のレビューなど書いていこうと思います。

ただ向いている教材というのは人によって違うので、
一番は書店に実際に赴いて教材をめくり、その中で一番続けられそうな教材を選ぶことだと思います。

発音

発音は図で詳しく口の形や息の吐き方を教えてくれるこの教材を選びました。個人的にとてもお勧めできます。

2019年3月の終わりには18きっぷで電車に揺られながら旅をしていたのですが、いかんせん在来線の旅で長い時間を少しでも有効活用するため人目をはばからず口を開けながら練習していました(もちろん音は出さないですが)。
周囲の人から見たら不審者そのものだったと思います。

最初は間違えてもいいから大まかにピンインの発音の特徴をとらえれればよく、あとから間違えている部分を修正しようという気概でいました。
まずは本の説明を見ながらyoutube上などの中国語母語話者の発音を聞いて自分の発音と違うところは直す、という流れを繰り返していました。

運良くそれがハマって、すべての発音をしっかりマスターすることができました。ただこの方法はあまりお勧めはできず、私は本当にたまたま運が良かっただけだと思っています。
今振り返ってみて、やっぱり最初の発音だけでも中国語が分かる人に教えてもらうのが一番だと思います。

教えてもらう人に関しては講師でももちろんOKですし、あと野良の中国語話者に教えてもらうとしたら発音がきれいな日本人に教えてもらうのもおすすめできます。
なぜかというと、ネイティブと言っても発音が標準的でない人がたくさんいるからです。また、日本人の中国語学習者であれば学習の過程で発音の訓練を専用に積んでいるということと、日本人がつまづきやすいポイントがわかるという理由もあります。

文法

文法に関しては最初は簡単なものから、というポリシーのもと、以下の本を購入しました。(私が使っていたのはかなり古いver.で、その時には「文法」といううたい文句はなかったのですが)

ゼロからしっかり学べる!中国語:絵本のように学習することができます。文字も大きいので、最初のとっかかりとしては良いと思います。

もう一冊、古本屋で買った絶版になった本を使っていました。
(おそらく引越しの際に捨ててしまっていて行方不明なので、タイトルもわからない状態で恐縮ですが…)

このときはちょうど大学3年で、実験や授業が終わった後に図書館に籠ったりカフェで席を借りてシコシコと勉強していました。

言語の学び方は人それぞれで、人によってはまったく教材を使わず人との交流によってのみで学ぶ人もいますが…(卓球選手の福原愛さんも方言も交えてネイティブばりに中国語を流暢に喋られますが、なんと一度も机に向かって勉強したことがないそうです。。)
たいていの人は、誰かにちゃんと教えてもらったり自学するなどして基礎を身につけて頭の中に文の型およびその要素(単語)を入れ替えて文を作る、という方がよいかと思います。

○中検2級の受験

中検2級を受験しよう、と思ったのは2020年の9月ごろでした。それまではこんな感じの文法書とにらめっこしていました。

完全マスター中国語の文法:完全に辞書です。辞書ですがめくって全部習得してやろう!!という気持ちで読んでいました(もちろん全部は覚えられませんでした)

キクタン中国語2級:良書です。2級を取る方は必修だと思います。

中国語検定2級トレーニングブック:試験本番よりレベルが上ですが、これをやっておけばまず落ちることはほぼないんじゃないかと思います。
最初の文法まとめがすごく優秀で、これだけでも買う価値があるんじゃないかと思っています。
私はこの本を全問正解できるまで繰り返し解き、本番に備えていました。

2020年11月(だったかな?)に試験を受け、結果は一発合格。
試験結果はリスニング90点、筆記は96点でした。

2級勉強の当時の様子。
中国の友人に進捗報告するために撮ったことを覚えています

○ゆるゆると勉強は続けつつ、人との会話や実践にシフト

中検2級に合格した後は語彙を増やすことと会話の練習が必要だろうとのことで、とにかく単語帳の中身や遭遇した知らない単語を覚えまくったり、中国人の友達と遊びに行ったり、ネット上で会話できるアプリを使ったりして実践練習を行っていました。

会話の中で出てきたわからない単語については、スマホを取り出しこの神アプリを使って記録していました。


○中検準1級の勉強

既成の単語帳としては以下の3つを使っていました。

キクタン中国語上級編:無難に試験対策できます。これがキクタンとしては一番レベルが高いものになるので、抽象的な単語が多く掲載されています。これは2,3周ほどしました。

キクタン中国語慣用句編:中検対策においては慣用句は欠かせません。中検じゃなくても、ネイティブと喋っていて油断していると飛び出してきます。こちらも押さえておきましょう。こちらは2周しました。

新HSK6級 でる単スピードマスター:最後はこちら。使い方によっては人を殺せそうな分厚さをしています。単語がひたすら2600個並び、例文をそれぞれ2文ずつ合わせて掲載されているシンプルな単語帳です。私はこのシンプルさがはまり、飽きることなく最後まで続けることができました。
人によっては辞書のような使い方をする方もいるそうです。
こちらも2周しました。


以上が代表的な単語帳になりますが、上に書いた3つの単語帳の単語量では中国語検定準1級をパスするのは厳しいです。

傾向はありますが、色々なジャンルの題目や単語が出題されるため、さらに視野を広げて貪欲に勉強を続けていく必要があるかと思います。

そこで私は普段から中国語ネイティブとの様々なジャンルの会話や討論を行ったり、中華圏のメディアを見て政治・経済・文化・流行などそれぞれ満遍なく吸収するように心がけていました。

そして遭遇したわからない表現や単語については単語帳にまとめるようにしていました。

無印のノートを愛用し、ページを半分に折って自分の単語帳を作っていました。
覚えているか怪しい単語や知らない単語や表現・四字熟語などをひたすらに書き留めていました。
字が汚いのはご愛嬌ということで…
家にある中国語関係の本の一部です(関係ないのもありますが)
文化に対する理解を深めたり言語上達のため、本はたくさん買いました

以上のことを2020年3月に2級を取得してから1年ほどくらいまで時折ゆるゆると、時折真面目にやっていました。
その後2023年8月に準一級の受験を決意するまでは中国語の勉強をわざわざする、というよりは中国語ネイティブと交流を行うことで中国語を体に染み込ませていました。

そして、2023年8月末に準1級の受験を決意してから3カ月は以下のトレーニングブックをひたすらやっていました。社会人となって学生時代のように時間があるわけではないため、土日中心で勉強をしていました。

準1級・1級トレーニングブック:準1級・1級を受ける人なら全員履修しているであろう王者トレーニングブックです。これしか選択肢がないからなんですが… とはいえ、よくまとまっていて良書です。必修です。

あとは中国語検定公式が過去問を公開しているので、筆記問題についてはそれを見て力試しをしていました。

|中検準1級試験のレポ

1年前のことで記憶が薄れていていますが、覚えていることを書いていきます。

2023年11月26年、私は浅草橋の会場でした。
腕時計を持っていないことを当日の深夜に気づき、試験前の早朝に秋葉原のドンキに駆け寄って腕時計を購入しました。

リスニング

最初に問題冊子とリスニングの解答用紙が配られます。
本当にギャグかよと思うのが、問題冊子のリスニングのページが問題番号しか書いていない真っ白な状態なことです。つまり、選択肢やイラストなどから情景を想像するということができず、耳からの情報のみを頼りに問題を解いていくことになります。

問題の構成は長文2題、および読み上げられた文章の書き取り2題です。それぞれずつ2回読まれます。

長文については1題につき4つの問題が与えられます。また、選択肢は4つ(だったはず)です。
1回目では題意をとらえて回答できるものは回答&質問を聞いて2回目で聞くべきポイントを抑える、2回目では残りの解答および回答内容の確認、ということになるかと思います。

私は本番で1回目でよく聞き取れず、焦りましたが、なんとか2回目で持ちこたえて回答しました。

そして次の文の書き取りです。こちらは内容としてはそこまで難しく感じませんでしたが、トレーニングブックのリスニング編で勉強していた速さよりも1.4倍くらい読み上げるスピードが速く、「聞いてない聞いてない!!!」と思いながら字の美しさも考える暇もなく一心不乱に紙に文字を書き続けました。

ただひたすらに焦り続けたリスニング編でした。

ちなみにリスニング解答用紙はリスニングが終わりすぐに回収されます。見返す暇もなく無慈悲に回収されるので、皆様にはぜひ日ごろからきれいに文字を書く癖をつけることをおすすめします。

筆記

筆記についてはあまり突っ込むところはなく、長文を読んだり知識問題があったり訳したり文章を書いたり…という感じでした。

難易度としてはトレーニングブック筆記編よりも易しいので、あとは知識がちゃんと定着しているかを重視している気がします。

トレーニングブックが刊行された時と試験形式が若干変わっていたようで、与えられた単語で短い文章を書くという問題に遭遇しました。
これについてはいつも微信やLINEで中華圏の友達とやりとりをしたり、本を読んだりして身に着けた文章の感覚を信じて対応しました。

面接

リスニング・筆記の1次試験を突破すると、中国語検定のサイトに自分の受験番号が掲載されたうえで2次試験の案内が郵送されてきます。

会場はすべてオンライン開催で、zoomで指定された時間に部屋に入って2人の面接官と話をする形になります。

一人はサポートのような方、もう一人はメインで話してくださる方でした。
与えられたテーマはちょっとうろ覚えですが、最近あったニュースで気になることなど、いくつかのトピックを雑談ベースで話しました。あとは与えられた日本語を訳したり、テーマを与えられてスピーチを行うなど。

失敗したなと思ったのが、準一級の2次試験はほぼ100%パスするという事前情報があり、完全にまったく無対策で挑んでしまったことです。
まあなんとかなるやろ(鼻ほじ)みたいな感じで行ってしまい、とっさに文章をまとめられず本番は痛い目に遭いました。このアホバカが。
この失敗で学んだのは、友達と普段する中国語の雑談と翻訳やテーマで文章をまとめるということは別で訓練が必要ということでした。

あとからtwitterで他の受験者のツイートを見たら、どうやら中国語界隈のすごい先生が対応してくださっていたとのこと。確かに私の対応をしてくださった面接官の方もやたら風格のある感じだったし、ひょっとしたらそのすごい先生だったのかもしれない(すみません)。

結果は
リスニング76点、筆記80点、二次試験75点
でした。
75点以上で合格なので、面接官の方の温情と自分の運に感謝です。

試験中は私の実力が足りないことで散々でしたが、結果として合格ということで合格は合格、と割り切って結果を受け入れています。

|取得してよかったこと

まず1つは私の場合ですが、中華圏関係の仕事のチャンスをよりつかみやすい環境になったことだと思います。
中国語検定準一級を取得して会社に提示したところ、やはり人事関係なのか部長に把握されていて、私の会社は中華圏に関連する仕事が少ないものの積極的に私に回そうとしていただけるようになりました。

実際に台湾関連の仕事(これが中国語を使うであろう初仕事になります)が今このnoteを書いている一週間後に来ることになりました。

2つ目は、やっぱり少しだけでも自信がつくことです。
といっても聞き取れなかったり言いたいことがなかなか言えなかったりと今まで何度も打ちのめされてきているし今でもそれは変わらないのでまだまだ、という根底意識が変わらないのですが、やっぱりマイルストーンとして自分が何か達成したということは少しなりとも自信につながると思います。

経験をもっていうと自信というのは本当に大事で、これからの学習を続けるモチベになります。特に、私みたいにうまくいかないとすぐ諦めてしまうタイプには重要な要素となるかと思います。

|1級は受けないの?

1級は出題形式が準1級とほぼ同じとのことです(トレーニングブックでも形式が同じ)。違いとしては本当にマニアックな成語や語彙の知識問題で、中国語で食っていこう、一生を賭けたい、という人に向けた試験だなという印象でした。
準1級のレベルだとある程度専門性のあるトピックでもほぼ全ジャンル理解できる段階で、1級ではそれをさらにレベルを深めたイメージです。

調べてみると取得には10年以上かかるだの、司法試験並みの難易度だのなど色々言われているようですが(さすがにそれは少し言い過ぎな気もしますが…)、取得には本当に大変な努力を要することに間違いはないと断言できます。

現状私は本業に関連した取りたい国家資格がありその勉強を続けているということと、仕事でも現状中国語をそこまで使う見込みがないということで、今の時点では1級を受験するということは考えていません。

とはいえ一生の中でぜひ取りたい資格ではあるため、その気になってやる気が出た時にチャレンジしようと考えています。

|おわりに

言語を習得するのによい方法というのはその人々によって変わってくるものなので、自分に合う方法を模索していくことが大事だと思います。

最後にですが、中国語検定準1級については自分が取った後に言うと偉そうなのであまり大げさには言いたくないですが、決して簡単に取れる試験ではなく、色々な角度から大量に中国語に浸かってきている必要があります。
私は中華圏が好きで熱意があって勉強を続けてこられましたが、かなりモチベーション維持をどう行うかと学習を続けることが大事になってくると、体験からそう思います。

中国語の勉強をしていたり、受験を考えている方の参考になれたら幸いです。

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