十角館の殺人 読んだ
※ネタバレしかない
わりと推理小説の中ではポピュラーなのかな?おすすめとして文庫本を貸してもらったので読むことに。推理ゲームは好きだけど、推理小説は読まない(そもそも小説をあまり読まない)読者だけど楽しめた。これどゆことなんか引っ掛かるな??ってところに付箋貼りながら読んだけど、それでも伏線見逃してた。 最後の方の一文で今までの予想と展開がひっくり返って、まさに推理小説だなぁって。ミステリーを味わう時のこのどんでん返し体験は、やっぱたまらないよね…!
以下引用と感想。まじでネタバレしかない
決定的一文
この一文すごい。鳥肌たった。これ一ページに一行だけ書いてあるんだけど絶対わざとだ、400ページくらいいっきに読み返した。もう全部ひっくり返ったしやられた~と思った。
最初に島に来た時から、ミステリ研の中では怪しいとは思ってたんだけど、館建築者の「中村青司」に登場人物みんなの関心が寄ってて、自然と読んでる方も「やっぱ中村青司生きてるのか…」って思わせられちゃった。だからエラリィの言うとおりミステリ研のメンバー内に犯人はいないかも?って、、思っちゃったんだよね~!それにメンバー全員の視点の文章があったから、アガサの死体を発見した時のヴァンの反応がどうしても犯人と思えなかった。
しかも序盤で江南くんが(コナン)ドイルっていうニックネームだったことがわかって、なら守須はモーリスなんちゃらでしょ!と勝手に想像もしてた。完全にミスリード… 取り調べの警部も「モーリス・ルブランあたり?」って聞いてるから、そう思わせるような苗字にわざとしたんだろうなあ。やられた。
あと推理小説初心者(?)だから犯行の流れとその時のお気持ち解説があるのに驚いた。親切だな~まあ『守須と千織は恋人同士だった』ことを知らなかったら、動機わからなすぎるもんね。
やっぱり…中村青司は殺されたのでは!?
ってずっと思ってたけど違うらしい、本当に無理心中らしい。別シリーズ読めば中村青司のこと知れそうだな~
でもこの小説だけだと、中村青司の狂気性を読者に教えてくれているのは弟の紅次郎だけだし、『本当に中村青司は嫉妬に狂って無理心中したか?』島田と江南君と一緒でちょっと疑問だったよ。不倫相手と実の子供が短期間で"殺され"て、正気で普通の生活をおくるのって、むしろ狂気じゃないかな…と思ってしまう。
これ読んだら「紅次郎ウソついてるな」って邪推しちゃうでしょ!怪しい怪しい。島田もずっと疑ってるしね。怪奇手紙書くためのワープロも持ってるし。
でもこれも作者のミスリードなんだろうなあ~~~やられた。
にしても守須が中村青司の無理心中をほぼ再現して集団殺人したことで、無理心中と思わせての殺人が可能ということがわかっちゃう。それに庭師だけ十角館の隠された地下室で白骨体になってるのすごく謎じゃない??外の崖に通じる通路にあったし、炎上する館から逃げようとしたとか?多分この小説内に書かれていない設定がありそう…このへんは続編読むことで納得していきたい。
以下、伏線だと思ってマークしていたところ:
序盤で、サークルとしてなんかお酒に負い目を感じる事件があったんだろうな…って思う場面。お酒にまつわるトリックがある伏線かなと思ったら何も無かった。
ヴァン怪しいな、桜と病気が伏線か?ヴァンの具合悪そうな様子と関係ある?と思ってマークしてたけど全然何も無かった。
江南くんの納得していない様子が嬉しかったのかな島田 ホームズとワトスン
般若心経の研究してるは絶対何かの伏線だと思った、色即是空の考えのトリックあるのかなって。何も無かった。
MOTHER GOOSEって英国の童謡で「がちょうおばさん」っていう意味らしい🔍 江南くんの頬はほっこりする名前を見た反応かな… これも何かの伏s何もなかった。
この時点で島にいる=昼間に島にいるなら、やっぱりサークルメンバー内にいるんだ…!って推測するところか。なんか共謀者がいるのかな、実行犯とは別でって考えてた。全然犯人メンバー内にいた。
中村青司が中村千織をあまり可愛がっていなかったと判明し、怪文書と殺人の動機が薄くなっちゃったあたり。
明かり点いてるのはフェイクで、本当は島にいるんだ!って思った。わざわざ居留守する理由がピンとこなかったしね〜。
これを守須が言ったというのなかなかに…自分のことを言っていたのかぁ。極端な感情を維持するほど、千織を想っていたということね。または自分の犯行のモチベーションはそこまで長いものではない(十角館を伯父が買い取ったことを知って思い付いた?)から、最近の事件(千織の死)が理由というのを示唆しそう。
結局『何か』が何かは明言されてなかったけど、島の崖でボートか痕跡か見つけたのかな。
これはエラリイ犯人じゃないわと確信したとこ。と同時に彼もまた巻き込まれた犠牲者になる可能性があると思ったとこ…。
読者も同じように考えてたよ!むしろ紅次郎なぜ怨まない??
昭和みを感じる会話。タバコあげて賛成・和解を示すのハードボイルドだなぁ。
と思ってたのに青酸カリ仕込んでた人いて台無しだった。
だから個人部屋調査をポウが提案した時に、珍しくしっかり反対してたのかぁ。『伯父に訊いてもらえばわかる』って言うことで、自分は実際には見てないニュアンス含めてる気もする。
ここさ〜ちょっと守須の推測が入りすぎじゃない?『決してなかった』のかもしれないけど、『半ば無理強いされ』『強く断るわけにもいかず』『殺されたのだ』っていう守須の想像だよね。そうであってほしいという願望にも思える…千織を失ったことを何かにぶつける理由になるから。
サークルメンバーも『事故だった』って言ってるし、無理やり飲ませて過失する人間にはあんまり…見えないんだよねぇ。飲み会の時に千織に何が起こったか、詳細に書かれていないから守須も読者も分からないままなんだけど、それを探ろうとせず(オルツィあたりに訊くこともできたのでは?)場のメンバーを復讐のため全員殺人って。守須が考える中村千織像≠実際の中村千織 なんだろうなぁ。
そういう歪んだ執着を持つ部分で守須と中村青司は似てるね。相手のことを想っていながら、相手のための行動は一切しない…。まぁ、守須が”自分たちだけの世界で愛し合った”みたいなこと言いながら”審判(犯行バレ)は他者に委ねる”(犯行詳細を書いて瓶詰めして海に投げた)行動は矛盾と迷いを感じるし、無理心中した中村青司の方が狂気極まってるか。
つらつらと好き勝手書きましたが…推理小説、面白いっす!読みながらいろいろ考えたり、予想を裏切られたりするの楽しい。ただ、推理小説って人が死ぬから、『この登場人物好き』って思っても死ぬかもなんだな、って…。ミステリ研みんな愛着わいてたのに全員死んでとっっても悲しい。
館シリーズは全10巻中9巻目まで出ているらしく、続きも読んでみたいって思った!島田と江南くんの活躍が気になるね。