デル・クローズ系のインプロ書籍 ~三部作?~ のご紹介
あけましておめでとうございます。今年も精力的にnoteを書いていこうと思いますので、皆様の温かいご支援のほど、よろしくお願いいたします。
さて今回は、インプロの世界への扉を開く、初心者の方にとって非常に有益な3冊の書籍をご紹介したいと思います。これらの書籍は、私がインプロの奥深さに触れ、その面白さにますます魅了されることになった、かけがえのない存在です。
今回ご紹介する書籍は、すべて私がシカゴを発祥とする、主にデル・クローズの思想に強く影響を受けているインプロと呼んでいるスタイルのインプロを基盤としています。
デル・クローズ
1950年代にヴァイオラ・スポーリンが開発したシアターゲームを基盤に、シカゴのセカンドシティでの実践を通じて、インプロ自体をエンターテイメントの域まで高めました。
※詳細は、こちらのデル・クローズ三部作をご覧ください。
デル・クローズ系のインプロは、単なるエンターテイメントではなく、自己表現やコミュニケーションのツールとしても活用できるとも捉えられ、その可能性が追求されています。
今回ご紹介する3冊は、このデル・クローズの思想それ自体、あるいはそれを受け継ぎ、さらに発展させてきた、私が勝手にデル・クローズ系と呼んでいるインプロバイザーたちによって書かれたものです。
デル・クローズの教えは、インプロを学ぶ上で非常に重要であり、これらの書籍を通じて、その思想と実践を深く理解することができます。
『Truth in Comedy: The Manual for Improvisation』
一つ目の書籍は、『Truth in Comedy: The Manual for Improvisation』(チャナ・ハルパーン、デル・クローズ、キム・ハワード・ジョンソン著)です。
この本はインプロの基本原則と実践方法をまとめた教科書です。
デル・クローズの「真実」を追求するという哲学を中心に、「Yes, and...」といった基本原則、誠実な感情、具体的な描写の重要性を解説しています。
デル・クローズの哲学を体系的に学ぶ上で必読の一冊です。
『Art by Committee: A Guide to Advanced Improvisation』
二つ目の書籍は、『Art by Committee: A Guide to Advanced Improvisation』(チャーナ・ハルパーン著)です。
この本は、インプロのテクニックをさらに高度化するためのガイドブックであり、デル・クローズの教えを実践的に展開する方法が詳しく解説されています。
この本は、インプロを「委員会」という比喩で捉え、より高度なテクニックと深みのある演技を追求するためのガイドブックです。
デル・クローズの思想を基盤に、ゲームやリスク、感情の重要性を解説し、インプロの表現力を高め、デル・クローズの教えを実践的に展開する方法が詳しく解説されています。
経験者がレベルアップするためのヒントが詰まっています。
『Upright Citizens Brigade Comedy Improvisation Manual』
三つ目の書籍は、アップライト・シチズンズ・ブリゲード(UCB)というインプロ集団が発行している『Upright Citizens Brigade Comedy Improvisation Manual』(UCB著)です。
この本は、デル・クローズも参加していたインプロオリンピックというカンパニー出身のメンバーが設立した、ニューヨークの即興劇団UCBが公式に発行した、コメディに特化したインプロの実践的なマニュアルです。
インプロオリンピックの精神を受け継ぎつつ、ロングフォーム・インプロのノウハウや、具体的なキャラクター作り、シーン構成の方法など、UCBが長年培ってきた独自のインプロスタイルを学ぶことができる貴重な資料です。
コメディを追求したいインプロバイザー必携の一冊です。
小まとめ
上記の3冊の書籍は、私がデル・クローズ系と呼んでいるインプロの可能性追求する上で、非常に有益な、三部作のような存在です。
これらの書籍を読み解くことで、インプロの理解を深め、自身のスキルアップに繋げることができるでしょう。
補足:キース・ジョンストン系
さて、海外(主に欧米)のインプロの世界には、私がデル・クローズ系と呼んでいるインプロと並んで、イギリスやカナダで発展したキース・ジョンストン系のインプロというスタイルも存在します。
私が以前掲載した、インプロの原流を巡るという趣旨のマガジン▼
では、このキース・ジョンストンについても触れております▼
一見すると、私がデル・クローズ系と呼んでいるインプロと、キース・ジョンストン系のインプロは、その思想や概念において、異なる点も多く見受けられます。
特に、デル・クローズ系のインプロは、その発祥から、コメディの要素に重点を置いているのに対し、キース・ジョンストン系のインプロは、ナラティブ(物語性)を重視するという違いがあります。
しかし、根底に流れるインプロの考え方においては、共有する文脈が非常に多いことも事実です。
これらの2つのスタイルを比較することで、インプロの理解を深めることができるかもしれません。
※このキース・ジョンストン系のインプロについては、また別の機会に改めてご紹介したいと思います。
まとめ
インプロの世界は深く、そしてとても面白いものです。
今回ご紹介した3冊の書籍は、インプロの理解を深める上で、非常に有益なものであり、これらを読み進めていくことで、皆さんのインプロの理解が深まることは間違いないでしょう。
インプロに興味を持った方はもちろん、演劇に興味を持っている(あるいは日常に潤いをもたらしたい?)全ての方にとって、この3冊の書籍は、必ずや新たな発見と喜びをもたらしてくれると信じています。
※今度私のインプロの活動が軌道に乗ってきたら、これらについての勉強会も開催するかもしれません。
ご興味ある方は、ぜひこの機会に私をフォローしておいてください(^▽^)/