なんにもしたくない
やっと、自粛生活が終わった。
人間というものは飽きるもので、好きで始めた事でも同じ結果が続くとつまらなく感じてしまう。そうやって大人になるのかもしれないけれど、オレはジイさんの癖にすねてみたり、別のことに手を付けたりしてしてしまう。いつまでもわからないのだ。
その日は、なんにもしたくなくて、惣菜や缶詰で済まそうと思った。
オイルサーディンの缶詰を買った。そのまま醬油をかけて旨いけれど、ちょっと温めようと、油ごとスキレットに入れてコンロにかけた。思いついて、冷凍庫のあった去年の山椒の実をいれて、塩をパラリ、いい感じだ、と思ったが又思いついて鰹の塩辛を少しのせた。塩、要らなかったかなあ。
そのままグツグツ。
香ばしいいい匂いがしてきたので、食卓へ。
まづは、芋焼酎の炭酸割り芋ハイをぐびり、可愛く並んだ鰯の一番端っこを一匹つまむ。昔からいきなりど真ん中に手がつけられない小心者。とにかくパクリ。鰯、えらい。うまいぞ。
酒がすすむ、すすむ、特急快速。
パンを焙って一緒にパクリ。脂をパンに吸わせてパクリ。
ぐびり、ぐびぐび。間で山椒の実がいいアクセントだ。大蒜にしようか迷ったけれど、山椒の爽やかさで正解。
矢鱈に酒が進むのは、後で考えたら先に入れた塩が余計だったせい。塩辛の塩分だけで充分だった。
なんにもしないといいながら、なんかせずにはいられない、言う事やる事ちぐはぐで困ったもんだ。