コロナの時代に思う#6 「命を守る」と言い始めた小池知事の発言の変化

2020年4月12日

近所のドラッグストアで初めてマスクが店頭に並んでいるのを発見し、マスクを買うことができた。5枚で598円。トイレットペーパーもたくさん店頭に置かれていて、買い占めの混乱も一段落したのかと思う。一方でAmazonで購入したマスク(50枚)は、突然キャンセルされてしまった。世界で起きているマスク争奪戦の影響なのかもしれない。

緊急事態宣言を受けて、仕事もより一層在宅の機会が増え、大好きなボルダンリングもできなくなったので、運動不足を解消しようと久しぶりにランニングを始めた。しかし、10年以上前に購入したNIKEのランニングシューズで2回走ったら、ソールが簡単に剥がれてしまい、慌ててAmazonで新しいシューズを買う羽目になった。

#3で指導者の言葉について書いたが 、ここ最近、小池都知事の言葉が変わってきたことが気になっていた。

それは「命を守る」という発言が、急に増えたからである。

3月以降の小池知事会見の発言内容を調べ、「守る」という発言を抜き出してみた(【小池都知事会見】参照)。

3月6日から4月3日の会見では「命を守る」という発言はあるものの、この言葉の意味を意識して積極的に発言したわけではない。4月3日の会見では、この重要なメッセージを全く発してなかったからである。

しかし、4月6日の会見から、意図して「命を守る」という発言が出てくる。外出自粛の目的と意味を、都民一人一人の視点で伝えるようになった。それまでは感染を防ぐことは「医療現場を守る」ことが主眼で、それはもちろん大事なのだが、その根底にある「命を守る」という、最も重要なテーマであり、恐らく私たちの心に届くメッセージは抜け落ちていたと思う。一転して「自分を守ろう」「大切な人を守ろう」と語りかけ、それが社会全体を守ることにつながるというメッセージは、都民の心に届くものではあったのではないだろうか。

世界中で指導者が、この危機に立ち向かうために言葉でメッセージを国民に市民に届けている。小池都知事の言葉の変化に、改めて指導者の言葉の重みを感じる。

【小池都知事会見】

3月6日会見 「それによって、医療現場を守るというか、医療現場が崩壊してしまっては、その後がさらに困難を伴いますので、そのような意味で、今回の保険適用ではありますけれども、まずはかかりつけ医のほうにご相談をしていただきたいと、ここに尽きるかと思います。」

3月19日会見 「守る」発言なし

3月25日会見 「守る」発言なし

3月27日会見 「都民の皆様には、ご自身、そして大切な人の命を守るための欠かせない措置だということもご理解をいただき、ぜひともご協力賜りますよう改めて申し上げます。」「医療は都民の皆様にとって守るべき共通の財産でございます。」

3月30日会見 「オーバーシュートを回避して命を守るため、都民の皆様のご協力を改めてお願いを申し上げます。」

4月3日会見 「守る」発言なし

4月6日会見 「そして都民の皆様の生命や健康を守る、もちろんこれが最大の目的であります。」「皆様ご自身を守るためです。そして家族を守るため、大切な人を守るため、そして私たちが生活するこの社会を守るためです。」

4月7日会見 「皆様ご自身を守るためです。家族を守るためです。大切な人を守るためです。そして、私たちが生活するこの社会を守っていくためである、ということを改めて申し上げたいと思います。」「都の考えている緊急事態措置の内容を必ず実現していくことが都民の皆様の命を守ることにつながるということから、様々な具体的な内容、それから、近接県との関連もございますので、これらについて国との調整を行っているということでございます。」「そして、その目的は何かというと、やはり、命を守ることであると、このように当然のことながら考えます。」「目的が何か、このことが最大のポイントになろうかと思います。命を守ることだと思います。」

4月10日会見 「本日は、都民の皆様の命を守る、このことを最優先といたしまして、新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都におけます緊急事態措置をまとめましたので、ここでお知らせをさせていただきます。」「民の命、そして健康、そして逼迫する医療現場を守るために、この1カ月、総力を挙げて、何としてでも8割抑制を目指していきたい、目指さなければならない、そのように意を強くしております。」「様子を見てから広げるのではなくて、最初に広げてだんだん縮めていくというのが普通の危機管理ではないかと、私はそのような考えを持っており、また、都民の皆様の命を守るためには、そういうコンセプトこそが必要なのだということで、これまでも準備を重ねてきたわけでございます。」「本人と大切な人を守るためにできる5つのことを取りまとめて、九都県市としての共通メッセージとさせていただきました。」「皆様がご自身を守るため、そして、家族を守るため、大切な人を守るため、そして、私たちが生活するこの社会を守るため、ご協力いただきたい。」「法律の部分で対応する部分と、それから、法律ではない部分で、こちらが感染症の拡大防止に必要だと、都民の命を守るために必要だと判断をいたしました部分を2つに、2階建てに分けてお願いをしたと、変えたところでございます。」「東京は東京で、都民をどうやって守っていくのか、命を守っていくのかということを考えるのが私の役目でございますし、この、国と協議の上、と後から入ってきた部分も、そこは国が全体を見て判断をされるという趣旨だからこそ、それが入ったのかなと思います。」「ですから、大義、都民の命を守る、そして、共感、協力金なども含めまして皆様方のご協力を募って、そして大義を、大目的を果たしていく、今日は、そのための一歩として、大きな一歩として東京都としての考え方をお示しさせていただきました。」


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