11.「外国語を爆速で学ぶための12のルール」を解説してみる
こんにちは、Heroです。
今回は、外国語学習者にとても有用な記事を見つけたので紹介します。ざっと調べたところ日本語訳が出ていなかったので、自分の理解を深めるためにも解説記事という形で書いてみたいと思います。元記事はこちら。
12 Rules for Learning Foreign Languages in Record Time — The Only Post You’ll Ever Need
タイトルを訳すとすれば、外国語を爆速で学ぶための12のルール-これだけ押さえておけばOK-といったところでしょうか。 著者のTim Ferriss氏は「週4時間だけ働く。」という著書を出しているフリーランスの方です。こちらについては私は読んでいませんので今回は言及しません。
私がFerriss氏の外国語学習法について知ったのは、TEDのスピーチです。
TED Talks: ティム・フェリス:恐怖に打ち勝って何でも学ぼう
このスピーチの外国語学習の部分を聞いて興味を持ちましたので、そのテーマで書かれている記事がないか検索したところ、上記の「12のルール」を発見しました。「英語を母国語とする人が外国語を学ぶ」という立場で書かれていますが、どの言語ネイティブも共通で使える内容になっていると思います。
目次は以下の通りです。日本語は私が作成したもので、意訳ですので注意してください。
【目次】
#1 ** – Learn the right words, the right way.-正しい単語を、正しく学ぼう-**
#2 ** – Learn cognates: your friend in every single language.-「同語源語」を学ぼう:友達は全ての言語に-**
#3 ** – Interact in your language daily without traveling.-今いる場所で外国語に浸かろう-**
#4 ** – Skype today for daily spoken practice.-スカイプで毎日話そう-**
#5 ** – Save your money. The best resources are free.-節約しよう。最高の教材は無料で手に入る-**
#6 ** – Realize that adults are actually better language learners than kids.-大人は、子どもより言語を学べる-**
#7 ** – Expand your vocabulary with mnemonics.-記憶術で語彙力を増やそう-**
#8 ** – Embrace mistakes.-間違いを恐れるな-**
#9 ** – Create SMART goals.-賢い目標設定を-**
#10 ** – Jump from Conversational (B1) to Mastery (C2).-「会話できる」から「熟達」へ-**
#11 ** – Learn to sound more native.-よりネイティブに近づくために-**
#12 ** – Become a polyglot.-「多言語話者」になろう-**
では順に解説していきます。なお、原文のポイントを抜粋して和訳したものを●、私が追加した解説を▶▶で表現しています。
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#1 ** – Learn the right words, the right way.-正しい単語を、正しく学ぼう-**
●新しく言語を学ぶということは、新しい単語(や表現)をたくさん覚えることである。
●すべての単語を知る必要はない。母国語でさえ一部の単語しか知らないのだから。例えば、英語においてはたった300語が文章の65%を占める。
●単語暗記用のアプリやカードを駆使して基本的な単語を繰り返し学習しよう。
▶▶パレートの法則も引き合いに出し、基本的な語彙を繰り返し学習することをまず基本として挙げています。Ferriss氏は自作のカードを使用していますが、日本人が英語を学習する場合はDuo3.0という素晴らしい教材があるので、とりあえずはこれを反復学習しましょう。
#2 ** – Learn cognates: your friend in every single language.-「同語源語」を学ぼう:友達は全ての言語に-**
●ある言語を新しく学び始める場合でも、「語源」に基づき、多くの単語を既に知った状態から学習を始められる。
●特にラテン語を起源に持つ言語は似通った単語が非常に多い。
●日本語の場合も、英語を語源とする単語が非常に多い。
▶▶日本語と英語の共通点をひたすら話すYoutube動画が挿入されていますので、一度見てみると良いかもしれません。ただ、欧州系言語を母国語とする人にはこの理論は大いに当てはまると思いますが、日本語の場合、韓国語など一部の東アジア言語にのみ当てはまるのではないかと思います。いわゆる「ヨコ文字」単語は英語から来ているもので、その数が多い、というのは確かにその通りかもしれませんが。
#3 ** – Interact in your language daily without traveling.-今いる場所で外国語に浸かろう-**
●皆「現地に行く時間がない、お金がない」を言い訳に外国語を学ぶのを諦めてしまう。
●現地の空気中に、言葉を話すことができる「何か」が漂っており、それを吸うことでマスターできるようになる、ということは決して無い。外国語を学ぶのに場所は関係ない。
●その言葉に「浸かる」ために現地に行く必要はない。便利なツールでどこにいても浸かることができる。
▶▶これは私が以前にnoteにも書いた通りで、自国にいながら外国語学習は十分に可能です。むしろしっかりと基礎固めをしてから現地に行かないと、滞在期間を無駄にしてしまう可能性が高いと考えています。今ならPodcast、TED、Netflix、Kindleなどを活用していくらでも聴く・観る・読むことが可能です。
実際にやってみると分かるんですが、学習対象の言語が周りに溢れていても、集中してインプットしないとただの音声・文字列になってしまうんですよね。かけたお金と語学力は比例しないどころか、お金をかけるほど単にそういう商売に搾取されているだけという状況に陥っているケースがほとんどだと思います。PodcastやTEDなんて無料ですしね。
#4 ** – Skype today for daily spoken practice.-スカイプで毎日話そう-**
●外国語学習の目標が「話せるようになること」なら、初心者のうちからすぐに話すためのトレーニングをしよう。「いつかやる」の「いつか」は永遠に来ない。今すぐ始めよう。
●会話でよく使われる定型文はで学習しよう。
●スカイプ英会話はitalkiがオススメ。多くの言語に対応しており、1時間5ドルから先生を探すことができる。
▶▶外国語学習の目的はその言語を「使えるようになる」ことなので、いきなり話すことから始めようという主張です。Useful foreign phrasesやitalkiは知らなかったのですがこれはかなり有用ですね。次に外国語を学ぶ時はぜひ使い倒そうと思います。料金が安いので手軽に使えるのも良いですね。
個人的には、英語学習の場合、会話に突入する前に基礎単語だけでなく瞬間英作文もある程度こなしておき、口から英文がなるべくスムーズに出るようにしておき、実際の会話と併用して進められればなお良いと考えています。
#5 ** – Save your money. The best resources are free.-節約しよう。最高の教材は無料で手に入る-**
●外国語学習において、ネイティブスピーカーとの会話以外では、基本的にお金を払う必要はほとんどない。
●無料の学習サイトやアプリとしては、BBC languagesなど。
●無料の交流サイトとしては** **など。
▶▶教材にお金をかける必要はないというのは完全同意です。まったくのゼロというわけにはいきませんが、書店やAmazonに売っている学習用書籍で十分です。YoutubeやTEDなどの無料コンテンツもフル活用しましょう。
Couchsurfingは私も海外旅行の際に何度か使用したことがあり、現地の人と食事に行ったり、案内してもらったり、泊めてもらったりして大変良い経験ができました。プロフィールを登録しておけば日本への旅行者からもけっこうメッセージが来たりします。
ただし上記の交流サイトはマッチングアプリ用途で使っている人も多いみたいなので、特に女性の方は注意して使ってください。
#6 ** – Realize that adults are actually better language learners than kids.-大人は、子どもより言語を学べる-**
●多くの人は「新しく言語を学ぶには歳を取りすぎた」といって諦めるが、決してそんなことはない。
●2011年のイスラエルHaifa大学の研究によると、子どもが大人より言語を習得しやすいのは脳の構造の違いではなく、学習時間や間違い指摘など周囲の環境の違いであるとされる。
●子どもが大人より言語を習得しやすいという結果を明確に示した研究結果は未だ存在しない。
▶▶この研究結果が正しいとしても、母国語として小さい頃からずっと使って(学習して)きた言語と比較して、ある程度年齢を重ねてから学習を開始する外国語の場合、同程度の学習時間を確保することは非常に困難です。
個人的には、外国語学習には結局、ある程度長時間の自己学習が必要であるという意味に受け取りました。ただ、基礎の反復を中心とした自己学習を行えば、大人になってからでも外国語をある程度のレベルまで上達させることができるのは間違いありませんので、何歳からでも外国語学習を諦めてほしくないと思います。
#7 ** – Expand your vocabulary with mnemonics.-記憶術で語彙力を増やそう-**
●語彙力向上には、繰返しの丸暗記だけでは不十分。
●単語同士の連想に基づく紐付けで効果的に語彙力を増やそう。
●memriseという学習サイト(アプリ)を活用するのも有用。
▶▶連想で単語を覚えていくのは非常に効果的です。単に日本語訳を力技で暗記するのではなく、イメージや音、他の単語との組み合わせで覚えることにより定着率を向上させることができます。
個人的には、例えばDuo3.0の例文を何度も音読して覚え、例文ごと単語を暗記することでかなり記憶に定着できると考えています。私も単語単体では記憶が曖昧なものも多くありますが、いつも例文を思い出して意味を把握することができています。
#8 ** – Embrace mistakes.-間違いを恐れるな-**
●世界の半分以上の人は、2つ以上の言語を話す。外国語を学ぶのに失敗するとすればそれはセンスがないとか才能のせいではなく、単にやり方が間違っているだけだ。
●極端な話、「すみません、一番近いお手洗いはどちらにあるか教えていただけないでしょうか?」が言えなくても、「トイレ、どこですか?」だけで言いたいことは伝わる。完璧を目指すのではなく、対話できることが大切である。
●「ぶしつけ」な表現になってしまったとしても、自分が慣れない外国語を話しているのだということはすぐに伝わるので、気にする必要はない。どんどん試してミスをしよう。
▶▶これはもう何度でも繰り返したい。ミスを恐れずガンガン話せ。そして他人の未熟な発音や構文を笑うやつは全員吹き飛べ。そういえば、以前にこんなニュースがありましたね。ロナウドさんさすがです。
少年がカタコトで一生懸命スピーチ 沸き起こった笑いにロナウドが…
#9 ** – Create SMART goals.-賢い目標設定を-**
●学習に失敗しやすいもう一つの理由は下手な目標設定。毎年何となく「今年は○○語を頑張る」とか言っていないか?それはどうやって達成できたかを確認するのか?曖昧な目標設定は終わりのない学習を招く。
●SMARTな目標とは具体的(Specific)で、測定可能であり(Measurable)、到達可能で(Attainable)、妥当であり(Attainable)、期限の切られたものである(Time-bound)。
●上達の尺度としては欧州で標準化されたCommon European Framework of Reference for Languages(CEFR)が有効。この中でB2レベルに到達することが外国語学習の一つの目標となる。B2レベルは通常の会話や生活に困らないレベルである。
▶▶CEFRは和訳するとヨーロッパ言語共通参照枠と言われ、欧州全体で外国語の学習者の習得状況を示す際に用いられるガイドラインです。リンク先にA1からC2のレベル説明と、対応する試験(TOEICなど)が書かれていますので、一度見てみると勉強になります。
B2レベルの「通常の会話や生活に困らない」というのは確かに外国語学習で目指すべきゴールだと思います。その上で、通訳や仕事上でさらに上を目指す必要があれば個別に対応すべきです。ただ、説明を読んでみるとB2ってめちゃくちゃレベル高いんですけどね。「お互いに緊張しないで母語話者とやり取りができるくらい流暢かつ自然である」とか「かなり広汎な範囲の話題について、明確で詳細な文を作ることができ、さまざまな選択肢について長所や短所を示しながら自己の視点を説明できる」とかね。
#10 ** – Jump from Conversational (B1) to Mastery (C2).-「会話できる」から「熟達」へ-**
●会話できる(B1)レベルに到達するには本当にたくさんの会話練習が必要。それこそ毎日欠かさず、日々の出来事を話すように心がける。B1レベルは会話におけるミスも多いが「十分に通じる」レベル。
●B1(十分に通じる)からB2へ上るためには、一度基本に立ち返り、文法や正しい表現をじっくり学び直す必要がある。
●そこからさらに上のC1/C2レベルに到達するための要求はまた一段と異なり、新聞や専門分野のブログ等を数多く読みこなし、多様で正確な表現を身につける必要がある。最上位のC2到達は本当に難しい。
▶▶CEFRのレベルを参照するとわかるのですが、日常生活や仕事で使うのであればB1/B2レベルで十分です。そのためには、とにかく多くの会話(音読含む)と、文法や語彙力など基礎の反復練習が大切となります。この記事をご覧のほとんどの方が目指すのも、そのレベルだと思います
最上位のC1/C2レベルには洗練された表現力と幅広い知識範囲が必要となるため、新聞や専門文書など高度な文章を大量に読む必要があります。よりネイティブと深い議論をしたい、通訳など専門性の要求される仕事に就きたい場合は目指すべきレベルとなるでしょう。
#11 ** – Learn to sound more native.-よりネイティブに近づくために-**
●C2レベルに到達してもネイティブとの間にはまだ差があるが、それは言語のレベルというより「アクセント・イントネーション」や「振る舞い」のせいである。
●「アクセント・イントネーション」は、例えばスペイン語のRの発音などその言語に特有のもの、また文中の強調すべきポイントや音の高低の調節のことである。
●「振る舞い」とは現地の人がしているしぐさ、服装、髪や髭、動作などの特徴のことである。これをうまく真似ることができれば現地語で話しかけられる確率がとても高くなる。
▶▶C2よりさらに上のレベルを目指す人はあまり多くないのかもしれません。ただ「アクセント・イントネーション」は私が以前に書いた英語学習noteで「初期の発音練習は大切」と書いたように、後々会話をするようになった場合、「1回で聞き取ってもらう」ためにとても重要です。また「振る舞い」について、例えば日本国内なら中国人・韓国人・台湾人を見た時に、日本人だと思うか外国人だと思うかはこの「振る舞い」による影響が大きいのかなと思います。
#12 ** – Become a polyglot.-「多言語話者」になろう-**
●多言語話者を目指すのであれば、同時に複数の言語を学習するのではなく、B1/B2レベルに達するまでは1つずつに集中して学習するのが効果的。
●学習した言語をこれから先もずっと使い続けたければ、継続的な学習が不可欠である。ただし、ある程度のレベルまで達した言語は定着する傾向があり、忘れてしまうことはあまりない。
●Polyglots(多言語話者)のオンラインコミュニティであなたを待っています。
▶▶自分の行きたい国の言語を学習する、話者の多い中国語やスペイン語を学習するなど、目的は色々あると思いますが、外国語習得は人生の選択肢を広げてくれることは間違いありません。私としては、まず英語をある程度のレベルまで引き上げ、英語を基準にその他言語を学ぶのが効率良いと思います。英語による外国語学習のリソースは大変豊富にあるため、英語ができれば「学習教材がない」という状況には陥らずに済みます。
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いかがでしたでしょうか?この記事には外国語学習に大切な考え方がまとめられていると思います。原文には私が取り上げなかった内容も書かれていますので、ぜひ読んでみてください。
12 Rules for Learning Foreign Languages in Record Time — The Only Post You’ll Ever Need
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