Invisible Touch
本日の“こずや”のBGMは、ジェネシスの1986年の大ヒットアルバム『インヴィジブル・タッチ』です。
当時のメンバーは3人…。
トニー・バンクス さんがキーボードとシンセベース、マイク・ラザフォードさんがギターとベース、 そして、フィル・コリンズさんがドラムとパーカッションとボーカルです。
凄く曲の完成度が高いので、この当時流行していた80年代的なシンセポップなサウンドじゃなければ、もっともっと今頃は評価が高かったのでは…と思います。
古くからのジェネシスのファンから、この戦犯として槍玉に挙げられるのがフィル・コリンズさんです。
フィル・コリンズさんは、1970年からジェネシスで、そして70年代後半からはジャズフュージョン・バンドのブランド Xでも活躍したドラマーです。
ピーター・ガブリエルさんがジェネシスを脱退した1975年から本格的に歌うようになりました。
フィル・コリンズさんはジェネシスの売上とソロの売上を合わせると全世界で2億5000万枚以上の売上を記録しています。
2億5000万枚以上の売上を記録しているのは、他に、ザ・ビートルズ、エルヴィス・プレスリーさん、マイケル・ジャクソンさん、マドンナさん、レッド・ツェッペリン、それにエルトン・ジョンさんだけです。
その中でも、やはりビートルズは圧倒的で6億枚以上の売上を記録しています。
ここでは世界で1番裕福なドラマーとして、フィル・コリンズさんを紹介したかったのですが、1番はやはりリンゴ・スターさんです。
しかし、リンゴさんなのかもしれませんが…、リンゴさんの場合はザ・ビートルズ…レノン=マッカートニーやジョージ・ハリスンさんの名曲ありきです。
フィル・コリンズさんの場合は、自分で曲を作り、歌い、アレンジし、ドラムを叩き、プロデュースもし、時々ピアノも弾きますし…、時間があれば映画にも出演していました(映画はリンゴさんも一緒か…)。
時とともにボーカリストとしての比重が大きくなっていったフィル・コリンズさんですが、もちろんドラマーとして超…もう1つ超…いや、もう1つ超を付けて、超超超一流です。
でも、ドラマーとしては過小評価されているように思います。
おそらく、ビートルズ以外で考えると最も金を稼いだドラマー…大スターになってしまったので嫉妬されたのだと思います。
1980年代のドラムサウンドを決定付けたゲート・リバーブというエフェクト処理されたリズムを発明した張本人でもあります。
ピーター・ガブリエルさんの1980年の3rd アルバム…3枚目の『ピーター・ガブリエル』で、プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトさんとエンジニアのヒュー・パジャムさんと一緒に、フィル・コリンズさんが発明しました。
ジェネシスは1975年のピーター・ガブリエルさん脱退以降、ギタリストのスティーヴ・ハケットさんも脱退して、“そして3人が残った…”期に突入し、1980年以降はポップ路線を進めてきました。
そんなジェネシスが、そのポップ路線の頂点を極めた作品が1986年の『インヴィジブル・タッチ』です。
イエスや、60年代後半から様々なプログレ・バンドで活躍してきたミュージシャン達が集結したオールスターバンドのエイジアといった重鎮達が、音楽性のコマーシャル化を余儀なくされる中で、ジェネシスは最も成功を収めた古参プログレ・バンドでした。
プログレ・バンドのBIG 3と言えば、キング・クリムゾン、イエス、そしてジェネシスです。
そこにピンク・フロイドを入れるなら四天王ということになるでしょう。
ジェネシスの商業的成功は、フィル・コリンズさんの1980年以降のソロでの大活躍が牽引した部分が大きいです。
この頃は、マイケル・ジャクソンさん、プリンスさん、マドンナさんの全盛期であると同時に、フィル・コリンズさんもそれに匹敵する大スターでした。
1人だけスターぽくなくてハゲたおじさんでしたが、それがまた親近感があって良かったのでしょうか…。
ソロ作は出せば大ヒットしますし、前年のライヴ・エイドではテレビ中継の間にイギリスとアメリカを行き来して、同日に両方の会場でパフォーマンスするという偉業を成し遂げました。
“世界で1番忙しい男”と呼ばれていました。
『インヴィジブル・タッチ』は、全曲がフィル・コリンズさん、マイク・ラザフォードさん、トニー・バンクスさんの3人で共作したものです。
プロデューサーにヒュー・パジャムさんを迎えて、事前に曲を用意しないでスタジオ入りし、3人のジャムセッションから生み出されました。
フィル・コリンズさんのヒットメイカーとしての力にジェネシス印がしっかりと押されていて、質の伴ったヒット商品が凝縮されています。
久しぶりの組曲形態の大作「ドミノ」なんかはポップなプログレとしての3人のジェネシスの集大成です。
バンドの演奏はこれまで通り骨太です。
そして、丁寧で正確なので凄い安定感を感じます。
フィル・コリンズさんの前のめりで尖ってるのに、しっかりタメが効いているタイトなあの独特なリズムについては、私は勝手に、本当は右利きだけど敢えてサウスポーでやってるのかな…と思ってました。
しかし、やっぱり手足が完全な左利きのようです。
タイトな音で鋭さのあるキレキレな演奏がフィル・コリンズさんの特徴です。
タム移動中に様々なシンバルを駆使するところも独特です。
聴けば、すぐにフィル・コリンズさんだとわかります。
当時のライヴではチェスター・トンプソンさんをドラマーとして雇い、フィル・コリンズさんは歌に重点を置いていましたが、数曲でフィルさんもドラムを演奏し、ドラムバトルを繰り広げました。
チェスター・トンプソンさんもフランク・ザッパさんのバンドで活動していた強者で、その場に応じて変幻自在にスタイルを変えます。
穏やかな顔しながら歌を聴かせる為のドラムをプレイしていたと思えば、凄腕のドラマーが目の前に現れると豹変して物凄く難度の高いプレイをぶつけてきます。
フィル・コリンズさんとチェスター・トンプソンさんのドラムバトルもまた当時のジェネシスの魅力で、その迫力は鳥肌モノです。
そのドラムバトルという観点からも『インヴィジブル・タッチ』の最終曲「ザ・ブラジリアン」は生でライヴを体感してみたかったなぁ…なんて思います。
冒頭に、当時流行していた80年代的なシンセポップなサウンドじゃなければ、もっともっと今頃は評価が高かったのでは…と書きましたが、それは間違いないと思います。
でも、このままでも充分にかっこいい……あぁ~ステキ♪
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