振り返れば本の虫
評議会メンバー専用ホットラインで、「どんな本を今まで読みましたか」「オススメの本はありますか」とたまに聞かれる。実際俺は沢山本を読んできたし、オススメしたい本もたくさんあるよ。今でも入手できる本もあるし、残念ながら廃版になっている本もある。今後機会を見て、オススメ本なんかも個別に紹介したいなと思っているけど、今日はまず、俺の幼少期から大人になるまでの「読書の旅」を紹介するね。
俺の読書好きのルーツに、両親の蔵書がある。今回はつらつらと色々なタイトルが出てくるけど、その中に、君が読んだ本もあるかもしれないね!
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物心がついた頃には、父の書斎で遊んでいた。父の書斎は作り付けの本棚がドーンとあり、壁一面、天井まで書物でギッシリだった。棚は分野ごとに分けられ、著作者が五十音順に並べられていた。子供のころ、難しそうな純文学とかホンジャカ書の類には全く興味がわかなかった(そもそもタイトルの漢字が読めなかった)ので、俺は必然的に、自分が興味を惹かれ、自分でも読めそうな本を探すクエストを繰り返すことになる。
今思い返せば、一番身近な図書館で、知識の泉だった。学校で習っていない字が沢山あり、俺が知らないことが沢山あることに、なぜかムチャクチャ興奮を覚えた。そして、これらを読んできた両親に、深い尊敬の念を抱いた。
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本棚は天井まであるので、最上段にある本は取れないどころか、そもそも背表紙が見えない。そんなわけでヨウジ少年の冒険は、自分の背が届くところが主体となった。踏み台はあったが怖くて乗れたものではない。俺は今でも高い所が苦手だ。子供の頃はさらにひどかった。両親はそれをよく知っており、読みたくても取れない本が沢山あったんだよね!
本棚の低層には、恐竜、植物、動物、地理、天文、歴史関係の本があり、また童話や寓話などに混じって、アウトドア関係の本もたくさんあった。シェリダン・アンダーソンと田渕義雄の共著「メイベル男爵のバックパッキング教書」は、何度読んだかわからない。数年前に買い直し、今でも月に1度は読み返しているほどだ。
当時は、我らが川口宏隊長が水曜スペシャルで“世紀の大発見”を繰り返していたので、俺自身も探検家に大いに憧れたものだ。秋芳洞をはじめとする全国の洞窟をまとめた本、そして世界各地にあるエキゾチックな洞窟の本、世界各地の遺跡などの本もあり、これらを毎晩のように開いては、ランタンの灯の側で、様々な想像を巡らしたものである。動植物図鑑も沢山眺めた。
「ロビンソン・クルーソー」に出会ったのもこの頃だ。俺はその淡々とした語り口にシビれた。無駄な感情描写のないデフォーの書き口に大きな興奮を覚え、その描写が広げる想像を大いに楽しんだものだ。感情表現を抑えつつ淡々と、しかし緊張感を切らさずに文章を綴るその手法は、俺が敬愛してやまぬロイ=ジー=トーマス著作「ゾイド バトルストーリー1〜4」と並び、魂の奥底に刻まれている。
父の書斎の外でも読書冒険をした。学校の図書室や地域の図書館で、なぜかそろっていたトンデモ児童書(「ドラゴンブックス」シリーズとかである)の数々、ウェルズの「宇宙戦争」、バローズの「ペルシダー」シリーズといった古典SFも、大興奮で読んだ。テクジュペリの「星の王子様」は近所のお姉ちゃんに譲られ、トールキンの「ホビットの冒険」は親戚のおばさんにプレゼントされた図書券で買い、中学入学前の休みに読んだ。
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