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父と俺とランタン

子供のころ、父の書斎にあるランタンがとても羨ましかった。父は週末の夜になると書斎で灯をともし、本を読んでいた。その姿は、俺の憧れだった。昔、父のランタンに火をつけさせてもらった時の事を、今でも覚えている。

高校生になって、父からそのランタンを譲ってもらった時、本当に嬉しかったものだ。電球が付いているのではなく、タンクに燃料を入れ、マッチやライターで火をつけて芯を燃やす種類のもの。芯の長さを調整するツマミが付いていて、黒煙が出ず、かつ十分な光量を確保する「ちょうどいい長さ」に合わせるのが肝心である。

油の沁み方とかの具合で、毎日ちょっとずつ「ちょうどいい」ポイントが微妙に変わる。実に不便だ。そして、それがまたよかった。スイッチを入れればつく電気スタンドや部屋の照明とは全く違い、ランタンのシェードの中で踊る火は、まさに生き物だった。一人で読書をしていても、誰かがそばにいるような……そんな不思議な暖かさを感じた。

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