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あなたは私じゃなきゃダメよ
2006年当時。俺が働いていた会社は、いわばCHAOS BLACK企業であり、休日というものがほぼ存在しなかった。元々俺は、自宅近くに店を構える横浜の女のところに通っていたが、もうじき仕事をやめると言っており、後継ガールはどうも手つきが俺の好みに合わない。仕事はさらに忙しくなり、月に1度休めるかどうかという状態になりつつあった。そろそろ潮時...。自宅近くでなく、会社近くで見つけなけりゃならん。
俺は事情通から情報を仕入れ、神保町駅のA3出口近く、古い雑居ビルの地下へ向かった。俺を迎えてくれた女は、人妻だった横浜の女に比べかなり若く、それゆえに技術に不安があったが、俺は彼女に任せることにした。
俺の髪を。
良い子チャンみたいな髪型は嫌だったので、当時はまだ珍しいアシメトリーのソフトモヒカンで通していたが、なにせ珍しい髪型だ。東京の若い女にこれができるのか? 横浜の女は、長髪時代にヘアケアしていた時代からの付き合いで、最初の結婚を境に断行した「断髪式」においても、美容院という土俵の上で彼女にハサミを預けた。だが東京の女はどうだ。確かに若いが、そこに興味はない。お嬢ちゃん、人妻のテクニックに勝てるのかい?
結論から言って、東京の女は最高だった。俺の髪型を横浜の女よりうまく仕上げただけでなく、懸案であった襟足のつむじ周りの仕上げを、なんなくクリアしてみせたのだ。以来俺は、東京の女にアッサリ乗り換えた。若いだけではなく、テクニックもTOKYOだったからだ。
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