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オールドスクールファンタジーの歩み -パート2(70年代後半〜80年代)

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🔰はじめに

そもそも「オールドスクールファンタジー」って何だろう? 「オールドスクールファンタジー」とは、剣と魔法ソード&ソーサリーの世界を舞台とするわけだが、特定の作品や作品発表年代、あるいは媒体(小説や映画やゲームなど)を限定するものじゃないんだ。

このシリーズ記事では、「オールドスクールファンタジー」がいかにして紡がれ、どう現在に帰結し、未来へと繋がってゆくかを追っている。前編では、ファンタジーの起源から戦前、戦後、そして70年代までを見てきた。

***パート1(戦前〜70年代前半)はここから***

パート2ではD&D登場後の70年代と80年代の国内外を、そして後編では90年代以降急激に国内外で分化発展を遂げた「ファンタジー」という題材と、そこから「オールドスクールファンタジー」として現在・未来へ継承されるものについて解き明かしていく。

これからの本稿では、時代がしばしば前後したり、交錯したりする。これには二つの理由がある。複数のシーンが重層的に重なり始めることと、70年代までは英米に限られていたファンタジーシーンの「起爆点」に、80年代からは我が国日本も追加され、連鎖爆発の様相を呈してくるためだ。



1974年〜 D&DほかRPGの登場

ダンジョンズ&ドラゴンズ…D&D。1974年にTSRからその初版が登場した時、形容するゲームジャンルは存在しなかった。つまり、0から1を生み出したゲームなのである。

D&Dが評判になると、似たようなゲームが続々とリリースされるようになった。D&D発売の翌年、1975年にはケン・セント・アンドレがフライング・バッファローから「トンネルズ&トロールズ(T&T)」を発表。78年にはグレッグ・スタフォードがケイオシアムから「ルーンクエスト」を出版(80年代に入ると、T&Tは社会思想社から、ルーンクエストはホビージャパンから、それぞれ日本語版が展開される)。

一方D&Dは1977年には二つに分かれてゲーマー層の倍増を狙った。一つは、根幹部分を選りすぐった77年版D&D(編者ジョン・ホルムズの名前をとってホルムズ版とも呼ばれる)だ。74年の発売からサプリメントを多数出版した結果、初心の友が段階的に入りづらくなっていたD&Dを仕切り直したのである。

同77年には、より複雑で発展的なルールセットとしてゲイリー・ガイギャックスらが手がけた「Advanced Dungeons&Dragons(AD&D)」も登場し、初版D&Dで飽きたらなくなったゲーマーたちはこぞってAD&Dへ移行した。つまり当時から、継続的な新規層リクルートの重要性と、従来層のリテンションが並行して考えられていたのだ。

左がホルムズ版、右がモルドヴェイ版。

必要な冊子が一つのボックスにまとめられたD&Dは、州境どころか国境を超えて愛好者を増やしていった。1980年には再度製品がリニューアルされて80年バージョン(モルドヴェイ版)となり、その人気を盤石なものとする。発売元であるTSRも飛ぶ鳥を落とす勢いで成長。製品展開やその仕様から手作り感が消え、いかにも企業の製品らしいものになっていった。

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