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クルマで巡らない「もののけ京都・村上隆展」他
今年2月に開幕したこの展覧会も、9月で終了。その前に何としても見たいと思い、それが今回の夏の京都旅になった。娘もさすがに村上隆は知っており、彼女の好きな韓国のガールズグループとコラボしていたりするらしく、グッズも欲しいらしい。
村上隆氏は東京藝大の日本画を出ている。日本画を学んだ人なのだ。たぶん私の師匠と同期じゃなかろうか。弟の村上裕二氏も日本画家だ。日本画の手法でゴジラやウルトラマンを描いているが、兄の隆氏が現代美術家なら、弟の裕二氏は文字通り日本画家というイメージ。
今回、伝統的な日本画のモチーフが多いと聞き、楽しみにしていた。
京都市京セラ美術館にて。
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来場者の半分くらいは外国人だったように思う。
入場してすぐの所にある、あると言うより、壁そのものがこれ。洛中洛外図村上版。下の画像はほんの一部。
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洛中洛外図屏風には数多くの違うヴァージョンがあるが、これは岩佐又兵衛ヴァージョンがモチーフとのこと。俗に「舟木本」と呼ばれる。同じくらい有名なものに、狩野永徳(と工房)が制作した「上杉本」と呼ばれるヴァージョンがある。
村上隆氏も組織化した巨大な自身の工房を持っているけれど、それにしてもこの大作は凄い。一人ひとり見ているだけで楽しい。このしつこさも又兵衛っぽい。NHKのドキュメンタリーでこの展覧会の出来るまでを見たが、相当なご苦労をされたようで、美術館側とも確執があったらしい。
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番組では本当にしんどそうなアーティストの苦悩姿をそのまま映しており、それを見ていたこともあって、よくまあこんな展覧会作ったよなあ、と感嘆した。風神雷神図屛風や琳派、はたまた仏画などの伝統的モチーフを鮮やかな色彩とキッチュなキャラクターで構成し、日本美術好きにとっては目を楽しませてくれる。
グッズの部屋はごった返しており、破格のお値段に驚く。ソファにあったら可愛いなと思っていたクッションも予算オーバーで潔く諦める。さすがに強気の値段。私の前でお会計していたアジア系の外国人のレシートがあまりに長かったのでチラっと金額を見たら145,000円くらいだった。
私が日本美術の世界に入ったきっかけは浮世絵だったので、洗練されたポップな?という表現が適切かどうかわからないが、日本美術が今も好きだ。
それらはやはり圧倒的に江戸時代の江戸で生まれたものだけれど、円山四条派などの京都の王道も好きだ。日本美術の美しさをこれでもかと見せつけてくる。今回のこの展覧会は、おそらく京都でやることに大きな意味があったのだろう。
京都の画材屋さん「彩雲堂」で購入した絵具たち。
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ここのお店は「〇〇を見せてください」と申し出ないと買い物出来ない、昔ながらの対面方式。だから毎回、入り口のガラス戸を開ける時は緊張する。でも、このようなお店と繋がりを持てるのも、日本画の世界に入って良かったと思えることのひとつだ。
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国宝・風神雷神図屏風(by 俵屋宗達)を持っている建仁寺にも寄る。建仁寺は市中にあり、山じゃないから安心だ。すぐ行けるお寺。
写真は潮音庭。夏の寺の庭には、涼しい風が吹き抜ける。ただし、実物の風神雷神図屛風はここにはない。京都国立博物館で保管されている?
ここで見られるのは複製画。
尾形光琳作のほうは、おそらく本物を見る機会が熱海のMOA美術館などで数年に一度くらいはあるはず。
夕飯は京都御所近くのお店でハンバーガー。OLU BURGER KYOTO。
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帰る日は、午前中に東寺で帝釈天様にお会いしてきた。友達にそっくりなのだ。トーハクでスポットライトを浴びていたお姿とはだいぶ違う。しかし、ここがホーム。
東寺は広いので観光客グループがいたとしても静かに拝観出来る。これまでなかなか京都駅の南側に来る余裕がなかったが、今回やっと来れた。
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夏の京都が好きだというのは少数派のようだけれど、やっぱり夏がいい!
今回、お土産を買うために初めて京都駅の伊勢丹地下へ行ってみた。当然混雑しているが、名店のお菓子が一か所で買えるのは便利だ。帰りの新幹線で食べるお弁当なども買える。伊勢丹に入る前にどこかで荷物を入れるロッカーを探さなければならないが、お土産探しが楽だったので次回も利用したい。
自分へのお土産は彩雲堂の絵具と、まつひろ商店のがま口。娘は村上隆グッズ数点。
帰りのグリーン車も空いてて快適。昨年3月までは学割を使用していたので、アプリで予約するのは初めてだったけれど、何事も経験ですな。
今度はいつ来られるだろう、真夏の京都に。
今回巡ったところ:京都市京セラ美術館 | 京都市京セラ美術館 公式ウェブサイト