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柔と剛の間@東京ヒュッテで原稿を書く

夏休み前の数日間、私は仕事に追われる傍らコワーキングスペースについてひたすら調べていた。
夏休みは文学フリマ東京に出す原稿を書き、ある程度の目途をつける。二度と徹夜などしない。そう決めたからだ。待って、これ本当にフリじゃないから。押すなよ、絶対押すなよ!

さて、どこで原稿を書くか? というのは書き手の永遠の悩みの種である。
学生の時分から、家では勉強のできない性質の私は、原稿こそいくらか家で作業ができるものの、大概は、朝から「さあ原稿を書こう!」という思いと添い寝し続け、日が暮れた頃にそのそと起きだして書き始める、というのがお決まりのスタイルだ。
日が出ている内に原稿を書き、一日の朝に作られる幸せホルモンの減少と共に眠りにつき次の日を迎え入れる、そんな穏やかな生活を送りたい。

いつものカフェは軽食もデザートも食べられるけど、混んでくると気を使うし、公衆Wi-Fiは日に三度までの接続制限があり速度も遅いので(基本はカフェにWi-Fiが飛んでるだけでありがたいと思っているが)、たまに作業がダレるし、全席に電源があるわけじゃない。
そうだ、今はいつでもどこでも働ける環境が整っている時代だというではないか。じゃ、行くか、コワーキングスペース。
もしかしたら、経費もカフェより安くあがるかもしれないし。

▼ 情報収集の結果はこうなる(比較表作るの大好き人間)

コワーキングスペースやシェアオフィスとはそもそも、フリーランスや事務所を持たないワーカーの拠点として、また他業種と交流できるような場所である。他者(他社)と共同で使えるオープンな空間が特徴でもあり、自習用の席が方々に広がった、本のない図書館と考えてもらうとイメージしやすいのではないかと思う。
これらは月額制で使い放題というプランを軸にはするが、“ドロップイン”と呼ばれる、個人でも利用可能なプランが用意されていることもある。一時間何円という時間単位での利用から、終日何円という一日使い放題のプランもあり、中には50枚までの印刷なら無料、ドリンクバー付き、飲食物持ち込みOK、フリープランなら出入り自由など、そのサービスは多岐に渡る。

とはいえ、仕事ではコワーキングスペースを利用したことがない。
それを私用で使うのは、かなり勇気がいる……そんなわけで、まずはカフェ&コワーキングスペース兼ゲストハウスという開かれた環境にある、東京ヒュッテを訪ねてみることにした。

押上はスカイツリーの膝元からすぐのところに、東京ヒュッテはあった。天井の高い、ガレージを思わせる内装は川沿いの柔らかい空気を纏い、とても自然な光が入っている。
到着時刻は午後一時過ぎ。各席で電源が使用できるコワーキングエリアと、皮のソファとローテーブルのゆったりとしたエリアとに分かれている。10席程度のコワーキング席は七割がた埋まっている。

はじめにレジで受付をする。
ドロップイン300円+飲食費で終日いられるのが特徴だ。昼ご飯をまだ食べていないこともあり、お食事トースト(甘いデザート系トーストもある。そちらも今度は食べてみたい)と、ボリュームがありそうなフルーツティーを頼んだ。
お釣りとともに、Wi-Fi情報のプリントされた紙を受け取り、簡単な設備説明をしてもらう。椅子は木製に四角いクッションが敷いてある椅子で、電源は全席に用意されている。
背もたれは完全に木で、クッションは割と薄手のため、私のように固い椅子が駄目な人は、長時間の利用は向かないだろう。カーディガン代わりのブランケットを持っていくとか、工夫が必要だ。

席数は少ないため、隣の席が空いていても荷物は置いてはダメ。その代わり、荷物置きスペースは別に用意されている。

▼ 季節限定のグレープフルーツティー。
果肉も入っており、夏らしいドリンク。

ドリンクを一気に吸い込んだところで、辺りの様子を伺う。
コワーキングスペース、とはいうものの、場所柄やワークスペースというよりはカフェよりの風貌のせいか、若い人が多い。いわゆる“サラリーマン”の人は見当たらない。一日滞在したけれど、それでも結局スーツを着た人はひとりしか現れなかった。
逆に言うと、それこそカフェ感覚でふらりと立ち寄りやすい。

▼ きんぴらごぼうのトースト。
キーマカレーのトーストや、デザート系のトーストも多々あるが、きんぴらはリピーターが多いのだとか。

フルーツティーがなくなったところで、二杯目にアーモンドラテを頼む。こうして、美味しいドリンクがその場で頼めることが良い。
私はそこで表紙を書いたりクラゲ観察日記を書いたりしながら過ごし、辺りが暗くなった頃、東京ヒュッテを後にした(原稿は?)。

コワーキングスペースは本来、ひとつの企業に勤めていたら出会うことのない別会社の人・別業種の人とと出会い、コラボレーションができる場というのが元であり、図書館・自習室等とは違い会話は普通に行われている。かといって、ファーストフード店みたいに騒がしいわけではないので、リラックスした状態で作業を行うことができる。

東京ヒュッテで原稿を書いた感想は以下の通り。
・良い:利用料金が安い(300円+飲食代。この日は結局、フルーツティーたぶん650円、ホットサンド650円<昼食>、アーモンドラテ冷650円=2,250円)
・良い:ドリンク、フードが美味しい。長時間作業をするとついてまわる“ごはん問題”を、店内で解決できるのはとても魅力的。
・普通:木製の椅子+座布団(腰痛持ちにはきつい。短時間ならありか)
・問題:アクセス(私は乗り換えが二回必要)

さて、次はどのコワーキングスペースで遊ぼうかな。

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