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舌がんステージ4からの生還、そして『ヘラルボニー宣言』
2019年例えるなら、『バゴーン!!!』とバットで後頭部をなぐられて暗転して時間が止まった感覚。受け入れがたい現実。言われた瞬間の切り取り動画が真空パックされて甦る。
病院を出て母さんに電話して伝える。
母さんは驚きの声。『そんな弱い身体で産んでごめん!』母さんは涙声で言った。僕はあまり覚えて無いが、『治すから大丈夫!心配しないで良いよ!』と一生懸命に強がりを言った気がする。
いつか死ぬ。
必ず死ぬ。
でも、まだ死んでいない。
だから瞬間を大事に今を生きる。
みなさん、初めましてヘラルボニーに入社したM.C.BOO(エムシーブー)です。アカウント事業部で、プランニングを担当しています。
M.C.は(master of ceremonies)マスターオブセレモニーの意味。そう、オールドスクールと言われるヒップホップの聡明期において、MCの役割はDJの選曲にあわせたパーティーの進行と盛り上げ役だったので喋ったりラップする人はM.C.を名乗っていた。ただ今は意味も変わって来てテレビ司会者のイメージが強いので、僕はクリエイティブの仕事が増えて来た時から、マーケティングの観点から(master of communication)マスターオブコミュニケーションの意味も追加した。BOOについてはシンプルに当時ぽっちゃり体型だったから。
ついにこの日が来た。
がんになって生きるか死ぬかのマジカルなリアリティを感じた僕は、2024年ヘラルボニー惑星に急接近して7月に入社する事になる。今を生きる。
5年前の春に僕は舌がんステージ4を宣告され緊急入院。そして手術。舌の裏側に指の爪ぐらいの腫瘍と首のリンパにシコリが2つあった。
『悪いのが出ちゃいました』
耳鼻咽喉科の先生が、舌がんを宣告した時の顔は忘れられない。
ステージ4と言われて僕は即座に、
『生存率はどのくらいでしょうか』
と質問をした。
『それはネットで検索してください』
と先生は淡々と答えた。
がんステージ4の5年生存率だいたい16%
調べたらすぐにわかった。
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手術まで検査が続く。首から上にがんがある患者のあつまる病棟に僕は入院する。
ドクターからは、舌のがんを切除して、その場所に切除した右手首の血管と皮膚を移植して再建する。そして左足の付け根の皮が右腕の手首に持って来て移植。手術の説明は妻と一緒に聞いた。
そして手術。愛を感じる淡いピンク色のビジョンで麻酔から目を覚ます。無事に手術は成功。最初は喋れない動けない食べれない。
しばらくは水も飲め無かった。感情は目で合図、身体中に管が通っていた。
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『あ・い・う・え・お』リハビリで喋る練習もやった。まさに赤ちゃんからのスタート。舌が半分無いクリエイターのM.C.が爆誕した。死ぬかと思った。何のために生きるかを考えた。
例えるならば、なまけものの悟りかた。からの蟹の悟りかた。蟹は横に歩くとは限らない!
そんな自分のハイヤーセルフと言える次元の分身が集合意識のクラウドの中で禅問答する感じ。人生はサバイバル。生きてるだけでも奇跡。そこでどんな作品を創るのか。どう表現するのか。時間は芸術。タイムイズアート。楽しくハッピーに今を生きる。
そうする事で日常生活のポジティブな波動が繋がって行きDNAの螺旋階段を上がり自分にエネルギーとなって戻ってくる。愛の連鎖。そんな思いを今まで以上に伝えたい。
ステージ4の舌がんから復活したMC
左手首と右の首筋に大きな傷を残して約1か月後に頑張って退院。少しづつ仕事にも復帰。おかげさまでコロナも乗り越える事が出来た。
5月で5年が経過して寛解する今、人生のターニングポイント&新しい世界へのチャレンジを考え、僕は在籍するアマナを退職する。
その日はIPキャラクターの活用で、ご一緒した國分さんから連絡があり近くのカフェで打ち合わせ。そこで知人の國分さんがヘラルボニーに入社した事を聞く。1月31日、その日はアマナ退職日と言う巡りあわせで。
僕は、友人が立ち上げた障害がある子供を持つ親の悩みを解決するwebサービス『Miii』を紹介して、最後に僕が舌がんステージ4である事をカミングアウト。そして寛解する今年は新しいことをやりたい。と話をした。
ヘラルボニーとの最初の出会いは、2021年に私がクリエイティブディレクターを勤めた国内外のアーティストが参加した『Awakes展』で藤田望人さんの作品があった事に始まる。
この展示の発起人で友人の平井さんからもアートパラ深川で賞を授与した藤田さんの作品が素晴らしいと聞いていて、作品もとても印象的だった。その時は勿論ヘラルボニーに入社するなど考えてもいなかった。
リサーチを始めたら、代表の松田兄弟がインタビューでヒップホップ好きである事を知る。グラフティーアートの話も出来そうだ。そして盛岡にいる、センスの良い友人が共通の知り合いだという事もわかる。
ここで僕のヒップホップキャリアについてお伝えすると、高校時代にターンテーブルとミキサーを買って美術準備室に置いて遊びだした事に始まる。
芸術大学に通いながら音楽活動を続け、1992年にビースティーボーイズとのフリースタイル共演がそのままレコードに収録されてアメリカのキャピタルレコードからデビュー。
その2年後にはヒップホップグループ『脱線3』のメンバーとしてメジャーフォースから1stアルバムをリリース。プロデューサーは高木 完さんとスチャダラパーのSHINCOさん。
その翌年、吉本興業とのアーティスト契約、エピックソニーからもメジャーデビュー。近年は企業やブランドのアーバンカルチャーを用いたクリエイティブプロデュースやプランニングの仕事をしながら音楽活動は続き、今年の4月もブルーノートでのヤン富田さん公演Doopees30周年ライブで高木 完さんとはご一緒した。
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映像作家タケイグッドマンによる『DAS THE MIC』PV
ハウスCM『好きやねん』[youtubeより引用]
SNSで高木 完さんが出演するAbemaの番組『MY NAME IS』の告知を見ると、その前週に松田さん兄弟が登場している。繋がりを感じ始める。
寛解とヘラルボニーと
そんな時に國分さんからヘラルボニーに興味はありますかと声をかけてもらう。
noteで末期がんから復活した同じサバイバー、海野さんがいるのに心が動かされた。
リテールのセクションを務める 朴さんを見つけた時も、自分も在日コリアン4世なんで、『自分は何者か』を模索してきた、同じ様な体験や気持ちがあって話をしてみたいと思った。國分さんのnoteからも、お子さまの事がオープンに語られていて、そこからは表現できないほどの『ヘラルボニー宣言』の様な熱量を強く感じた。
みなさんのヘラルボニーにジョインした思いを知ってから、繋がりの引力にビリビリと痺れる。
「異彩を、放て。」異なる事からの表現。そこから生ずるポジティブなインパクトを考え始める。アイシンクベリーディープリー。ヒップホップ重要楽曲Boogie Down ProductionsのMy Philosophy、あのフレーズが聴こえて来る。シンクロニシティを感じる。
今度は友人からヘラルボニーがJALとコラボレーションしたニュースを発見する。
娘さんのmarinaさんが異彩アーティストだった。ちなみに僕の名刺のビジュアルはmarinaさんの作品にした。
気づきと発見の連続。大いなる意志を感じながらオンライン面接が進んでいく。5年目のがん検診の前日もオンライン面接だった。
ドキドキしながらの6月が終わった。身体のがんは何処かに消えた。大いなる存在は、色々とタイミングを合わせてくる。面白い。ハハハ。
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感謝gratitude
世の中には偶然は無いと思っている。直感と可能性を信じて毎日を、瞬間を大事に過ごす事をがんになってから心がけている。
そして迎えた7月1日、がんの復活とヘラルボニー惑星行きのスペースシップの乗船が完了。
これから始まる物語は、創造を超えていて、見えるビジョンとギャザリングは良好だ。
ルーティンレコードのリズムが聞こえてきた。入院中の寝れない夜のベッドで、頭の中で星を見ながらラップやダンスをしていた自分に伝えたい。過去も未来も、そして今も、この瞬間も大丈夫だと言うことを。
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少しづつでも愛と平和にあふれる世界の実現を。
リアリティのあるマジカルなタイミングと言える、過去と未来に繋がる今を生きる中で、特別な死を感じる強烈な経験から波に乗るリズムを合わせグルーヴを作っていきたい。ヘラルボニーの価値観を根付かせながら。
時空を超えて。ラブアンドピース✌️