看板で勝負“できない”会社で、嘘をつかない営業を
営業を極め、「信頼できる人間」になりたい
— ヘンリー入社までの経歴を教えてください。
私にとってヘンリーは2社目で、1社目は大手SIerに勤めていました。業務や会計にまつわるERPシステムの営業に7年間携わり、その後ヘンリーへ転職をしたかたちです。
— 稲垣さんがお勤めだった企業は売上高1000億円超、社員数2000名越えの大企業です。なぜ、当時20名もいなかったヘンリーへ入社をしようと思ったのでしょうか?
「もっと営業力を高めたい」と思ったからです。
ERPシステムの営業担当を長く務めていると、新規開拓のみに使っていた時間が担当顧客が増えるに連れ既存顧客中心の導入管理やフォロー業務で1日が終わってしまうこともしばしば増えてきました。加えて、部下が増えたり、営業以外の業務が増えたりして、自分の商談に使える時間がどんどん少なくなっていったのです。
また、前職は組織体制がしっかりと整っていたがゆえに、営業担当のみの裁量で進められることは限られていました。自分の考えをそのまま業務に反映させることは難しく、試してみたいことに気軽に挑戦できる雰囲気ではなかったのです。このままでは、自分の営業スキルをさらに高めることはできないと思い、新規営業の機会が多そうな企業、とくにベンチャーへの転職を考えるようになりました。
— なぜそこまで「営業力」を高めたいと思っているのでしょうか?
人生の大きな目標として「信頼できる人間になる」を掲げており、そのために営業力が必要だと考えているからです。
私は昔から友人に恵まれ、多くの人と良好な関係を築いてこれました。そのおかげもあって、関係性を維持し、深める能力は身につけられたと思っています。ただ一方で、初対面の方とスムーズに信頼関係を築く能力には、まだ伸びしろがあると感じていました。どの仕事に就けば、さらに信頼される人間になれるかと考えたとき、パッと思いついたのが営業の仕事だったのです。
— なぜ、転職先をベンチャーにしぼったのでしょうか?
ベンチャーの、いい意味で整っていないところが、私にとっては魅力に思えたからです。前職のような、効率的に営業を進めるシステムやフローがないからこそ、自分でなんでもやらなければならず、成長せざるをえない状況に自分を追い込めればと思っていました。
— 大企業からのベンチャー転身に不安はなかったのでしょうか?
なかったですね。仮に、思い描いた環境とは違っても、私が会社を変えればいいと思っていました。もしそれが難しくても、また次の会社を探せばいいや、と楽観的にとらえていましたね。
弱みをさらけ出す文化に、成長への本気さを感じた
— 数あるベンチャーのなか、なぜヘンリーを選んだのでしょうか?
実は、医療業界に特別な思いがあったわけではありません。転職活動を通して話を聞くうちに「ここでなら自分の営業力をさらに高められる」と思ったことが、入社の一番の理由でした。そのように感じた理由は大きく3つです。
1つ目は、これまで扱ってきた商材とヘンリーのサービスには共通点があること。
顧客が法人か医療機関かという違いはありますが、ヘンリーの場合、BtoB営業に近い営業プロセスであり、勝手がわかっていました。また扱うサービス自体も、クラウドサービスであること、顧客の業務に欠かせないシステムであること、といった共通点がありこれまでの経験が活かせると思いました。
2つ目は、社員の成長意欲を感じたことです。
たとえば、いくつかのベンチャー企業の採用面接を受けるなか、ヘンリーだけ面接後に「採用課題」が出されました。内容は、「ヘンリーの現状の課題をみて、その解決策を考える」というもので、後日、考えてきたものを発表する機会が設けられていました。「リード獲得における課題」「商談における課題」「システム導入における課題」と、領域ごとにリスト化された課題が配られ、それをみて解決策を考えるという流れでした。
ヘンリーにとって、いち求職者でしかない私に対して、そこまで弱みをさらけ出せる会社って、おもしろいなと思いましたね。成長志向が強く、向上心の強い文化があると感じました。また、切実に仲間を必要としているのだとも思いました。すぐにでも現場に出たいと思っていた私からすると、魅力的な環境に思えましたね。
※2024年9月時点では選考フローに応じ採用課題の提示をしておりお題についても都度候補者毎に異なる場合があります
3つ目は、ベンチャーらしい、いい意味で「完成されていない」と感じたからです。
他のベンチャーの場合、「ベンチャー」とは言いつつ、サービスや組織がある程度固まっているところが多く、サービス拡大のために、営業担当者がほしいのかなという印象を受けました。ヘンリーの場合、営業フローはもちろん、会社の制度すら決まりきっておらず、これからつくっていくのだという雰囲気でした。型に縛られず、幅広い営業活動にトライできる環境があると思いましたね。
お客さまの、懸念や不安を解消できる力はあるか
— 現在の業務内容を教えてください。
ヘンリーの営業は、インサイドセールスとフィールドセールスにわかれており、さらにフィールドセールスのなかでも、初期商談を担当するメンバーと、クロージングを担当するメンバーにわかれています。私の担当は、クロージングです。
— 前職との違いを感じる部分はありますか?
大きな違いは、個人の裁量が大きいところです。
前職では、上司、SE、営業推進など多くの部署のメンバーとお客さまのところへ伺うスタイルでしたが、ヘンリーでは基本的に一人でお客さまのもとへと伺います。よくも悪くも自分の能力次第で結果が変わることは、入社して3年が経つ今でも、おもしろいです。成果が出たとき、お客さまの課題解決に貢献できている喜びや、自分自身の成長をダイレクトに感じられます。
— 稲垣さんは営業力向上に関心が強かったかと思います。ヘンリーで身についた能力はありますか?
いくつもあります。とくに感じるのは、商談時にお客さまの懸念や不安を解消する力です。
すでに認知されているサービスの場合、お客さまがある程度、サービスの仕組みや導入効果について把握している状態で商談がスタートします。とくに前職の場合、業界トップ企業だったことから、最初から導入に前向きなお客さまも多かったです。
しかし、ヘンリーが提供するクラウド型電子カルテ・レセプトシステムは、医療現場にとってまったく新しいシステムであり、そのコンセプトから丁寧に説明する必要があります。最初はうまくいきませんでしたが、失敗を繰り返しながら少しずつやり方を変え、その結果、お客さまの懸念や不安を解消できるようになりました。
お客さまからすると、病院運営の基幹となるシステムを、いちベンチャーに任せるのは勇気のいる決断です。それでも、導入を決める病院が増えており、自分の営業スキルの高まりを感じます。「会社の看板のおかげ」ではなく、私の実力・スキルがあがったことでHenryの素晴らしさ・魅力を医療機関様に伝えられてきた形なのかなと、大きな自信にもつながっています。
社会課題解決に貢献している、と実感しながら仕事をする
— ヘンリーで働き出して感じたギャップがあれば教えてください。
大きくは2つです。
1つ目は、ミッションに対する意識の違い。
これまでは、正直なところ、仕事中に会社のミッションを意識する機会は少なかったです。しかしヘンリーでは、自分自身が営業として成果を出すことが、確実に社会課題の解決につながっていると実感しながら仕事ができています。
サービスのコンセプトは間違いなく社会課題解決に貢献するもので、時代を先どりしている自信があります。医療業界に根強く残る紙文化を変え、電子化のさらに次のステップ「クラウド化」を実現することで、業界全体の働き方を大きく変えられると信じているのです。
実際、すでにヘンリーのサービスを活用し、リモートワークを導入している病院も生まれており、とある病院の会計関連の部署は、週一でリモートワークの日を設け、通勤の負担を減らしています。また、別の病院ではリモートワークの導入で遠隔地の方の採用が可能になり、人手不足問題の解決が進んでいます。
2つ目は、医療業界が直面している課題の大きさです。
我々がサービスを提供する中小規模の病院は経営が厳しく難しいです。理由はさまざまですが、そもそも電子カルテを導入している病院は半分しかなく、デジタル化が遅れている状況があります。最新のテクノロジーで業務効率を高めることは、病院経営の健全化を果たすうえで重要なピースだと思います。
そのぶん、我々目線で考えれば、マーケットの伸びしろが大きいとも言えます。電子化が進んでいない病院はすべて我々の見込み顧客です。加えて、病院向け電子カルテ市場には今、おおよそ30社ほど参入していますが、「クラウド化」をコンセプトにしているのは今のところ我々だけです。すでに電子カルテを導入している病院からも、お引き合いいただけるのではと考えています。
嘘をつかない営業で、理想の実現に近づく
— 仕事で大事にしていることを教えてください。
嘘をつかず、正直にお客さんと話をすることです。ヘンリーの提供するクラウド型電子カルテ・レセプトシステムは完璧ではありません。まだスタートしたばかりで、病院からみて「ほしい機能がない」と思われることは仕方がありません。それでも決して誤魔化さず、まっすぐ「できないこと」「このような運用なら可能」という話を伝えるようにしています。
最終的に病院にご導入いただくためには、私を含めたヘンリーのことを信頼してもらう必要があり、それを損なうようなコミュニケーションはしないと決めているのです。
— 最後に、今後の展望を教えてください。
私がヘンリーに転職したのは30歳のときで、当時は「35歳までに最強の営業マンになる」と考えていました。ヘンリーで営業力を高め、どの世界でも通用する営業スキルを身につけたいと思っていたのです。その目標は、33歳になった今でも変わりません。
その後は、プレイングマネージャーとして現場に立ちながら、組織を束ねる仕事ができるようになりたいと考えています。さらにその先は、チームというより、会社の仕組みそのものをつくるような仕事にもトライしたいです。ヘンリーに入社して、ベンチャーのおもしろさ、仕組みづくりのおもしろさを強く感じるようになりました。
これからも、仲間と一緒に疑問や課題を一つずつ解決し、新しい仕組みづくりを楽しみながら、医療現場の働き方を変えることに挑戦したいです。
取材日:2024年9月
文責:Henry編集部