パリ軟禁日記 52日目 労働意欲に満ち溢れるパリジャン
2020/5/7(木)
近所のラーメン屋さんのテイクアウトを受け取るため、昼過ぎに外に出た。
約束の時間まで少し時間があったので、果物を買おうと近所の八百屋に立ち寄ることにする。通りには、ここ最近見たことがなかったほどの人がいた。街に活気が戻ってきつつある。
そう、外出禁止緩和が来週月曜に迫ってきた。
自由を愛するフランス人が待ちに待った、解放の日まであと数日。
解放の日と言っても、もちろん全てが急に元どおりというわけではない。とりわけ、パリ市があるイル=ド=フランス地域圏は感染者数・病院の逼迫度が依然として高い「レッドゾーン」なので、緩和は限定的だ。先週草案が発表された段階緩和プランは概ね採択されたようで、本日改めてエドゥアール・フィリップ首相より発表があった。
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・自宅から100km圏内であれば自由な移動が可能。
外出証明書必要なし。他県をまたいでもOK。
・公共交通機関におけるマスク着用の義務化。
従わない場合135ユーロの罰金。朝と夕方の通勤時間帯は勤め人を優先。
・ウイルス検査数を増加
症状が見られる人はかかりつけ医の診断後、検査を受けられる。
費用は健康保険で100%カバー。
・EHPAD/エパッド(医療老人ホーム)で勤務する人向けの特別賞与を準備。
一人当たり1,000-1,500ユーロを予定。
・約90%の小学校の再開。
中学校もグリーンゾーンにおいて5月18日から再開可能。
・ビーチ、湖の再開については管轄の県の判断とする。
・最大10人までの集会を許可。社会的距離を保持する必要あり。
上限人数については6月2日に再検討。
いずれにせよ、9月までは大規模なイベントや集会は禁止。
・ヨーロッパ諸国との間の国境は引き続き閉鎖。
ただし、重大な理由であれば外出証明書があれば国境を越えた移動も可。==============================
近所の通りを歩いて印象的だったのは、店で働く人々が生き生きとしていることだった。
労働意欲に満ち溢れているパリジャン、これは「氷が熱い」というくらいのオクシモロンだ。外出禁止以前は、同じ通りでも気怠そうに働く人の姿をしばしば見かけた。とりわけスーパーの店員さん、八百屋のおばさんは覇気がなかった。ただただ、右から左に受け流す。
それが、この変わりようである。マスクと手袋を装備して、愛想よく、そして手際良く働いている。5月11日以降、以前のような世界に戻れるのを期待しているのか、みな明らかに希望を持って働いていた。2ヶ月前まではマスクをつけたこともなかったようなフランス人のこの変化。人によっては、労働観まで変わってしまったのだろう。
ここ最近ダークサイドに落ち気味だったところを、彼らになんだか救われた気がした。結局のところ、前向きに自らできることをするしかないのだ。
そんなことを思いながら八百屋のレシート見たら、金額が間違っていた。おいおい、大丈夫か。アスパラガスおまけしてもらっちゃったよ!
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