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2月4日

 仕事終わりで新宿の紀伊國屋書店にトークイベントを聴きにいく。千葉雅也さんと福尾匠さんのドゥルーズ生誕100周年イベント。新宿に少し早めに着いたので昔の職場の近くのスタバに向かう。地下道を通って行こうと思ったら所々で工事をしていて昔の土地勘が働かない。工事のパネルの白い壁面に表示のある「西口出口方面」というのをあてにして歩いているうちにその出口方面からはいつのまにか外れていたみたいで、いつの間にか出口の表示が見当たらなくなっていた。白い壁面に囲まれて途方に暮れるような感覚があった。スタバで少し時間を潰した後にそのまま地上で移動しようとしたら、さっき自分と街との間に隔たりを感じたせいなのか、見知った建物がえらく遠く離れて見える。道路の幅が広がって、近くの横断歩道までの距離が引き伸ばされている。これなら地下の方がましだと思って、まだ印象の残っているロータリーの地下の吹き抜けに体をひっかけるようにして駅の北側の地下道までたどり着いた。ちょうど地上側がガード下になっている地下道に差し掛かったところでにおい・・・がしなくなっているのに気づく。彼らはどこにいったんだろう、と思って胸がざわざわする。少し歩いたら年配の路上生活者が柱にもたれかかって座っていて少し落ち着いたような感覚があった。もしこのひとが警察官に「お父さん、どうしたの」なんて声をかけられていたら、とどこから引っかかったかわからない想像をしていた。そういえば『わたしは真吾』でサブナードの方に老人が台車をひいていなくなる場面があった気がする。予定がなければそのままそっちに歩いていきたいような気分だった。

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heno
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