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神棚と宝箱

  大阪に移り住んでの独り暮らしが、
  ワンルームに4年半とわりと長かったもので、
  野放図になっては生活が立ち行くまいと、

  4段のカラーボックス一つと、
  内布張りの箱一つを用意して、
  それに収まり切れない分は、
  断捨離ではない涙を飲んでの割愛を致す事に決めた。

  本好きな人と、読書の習慣が無い人の、
  両サイドにおいて有り得ない蔵書数だ。

  ちなみに割愛の基準は、
  その1、生涯に渡って愛でられる事
  その2、二度とは手に入らないと思われる事
  上記2点の度合いと兼ね合い。

  故に私の本棚は厳選されている。
  見出し写真は中身違うけど、
  大体こんな雰囲気って事で選ばせてもらった。

  棚の一段分はヴィクトル・ユゴーと、
  ミヒャエル・エンデ作品で占められている。
  すなわち、
  『サーカス物語』『はてしない物語』(日・独)
  『ノートルダム・ド・パリ』(日・仏)『海に働く人々』
  『レ・ミゼラブル』(仏・英・日は新潮版と岩波版・
   黒岩涙香訳『ああ無情』・みなもと太郎作漫画版・
   他解説本に各種ミュージカルのパンフレット)

  私のような奴が大阪においては「阿呆」と呼ばれる。
  有り体に言えばマニアないしエンスー。
  大学時代の文芸部において後輩からは、
  「先輩って、オタクじゃないんですけど、
   オタク以上に筋金入りのオタクって言うか」
  と評された事があるがさもありなん。

  もう一段分を使って
  曲亭馬琴作『南総里見八犬伝』(刊行時の挿絵付)を、
  お迎えしたいのだが未だ実現できてはいない。
  さすがに値が張るし。

  内布張りの箱の中身は美術系だ。
  すなわち、
  『ヒエロニムス・ボス』『ヤン・ファン・エイク』
  『ブリューゲル父子』『エミール・ガレ』『バウハウス』
  『岡本太郎』『葛飾北斎』『春画展』
  の作品集が詰まっている。

  『宝石図鑑』もある。
  私の場合図鑑として在れば実物は要らない。
  同じだけかそれ以上の脳内麻薬が噴出する。

  北斎漫画と前述のみなもと太郎作品以外の、
  マンガ本は無い、

  ように見えるが実は配偶者の所蔵品に、
  紛れ込ませてもらっているだけだ。
  『エリア88』とか『沈黙の艦隊』とか『じゃりん子チエ』
  に並んで、
  『セトウツミ』とか『陰陽師』とか『Kの葬列』
  とかある。

  残り3段の内1段は永久保存扱いの文庫棚。
  すなわち、
  『ドグラ・マグラ』『サロメ』『堕落論』『刺青』
  『淫獣』『中原中也詩集』『ヨブ記』『滑稽新聞』
  『嘘八百』『アイヌ神謡集』『風姿花伝』等々……。

  残り2段は、
  「読み終えたものの永久保存には至っていないが
   神領域が増えない限りは置いておく」本と、
  「まだ読み終えていない」本が混在している。
  すなわち、
  田中康弘『山怪』『マタギ』宇江敏勝『山びとの記』
  加藤精一編『空海』岡本太郎『日本の伝統』等々……。

  そして目下『聖書』と『日本』と『太平記』読んでるし。
  ……一生掛かっても読みたい本が無くならないよ!

  ちなみに前にもどこかで書いた気がするけど、
  私にとっての「夢の国」は、
  ジュンク堂系の書店ビルを指す。
  「この棚のこの一段頂ける?」
  とかマジやってみたい!
  道楽じゃなくホンマに棚ごと欲しいエリアとかある!

  「何だここは! 地獄じゃないか!」
  という『ピノッキオの冒険』に出てくる、
  コオロギ執事の台詞を折に触れて思い出す。
  

#わたしの本棚

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