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イライラする挨拶代わり昆布【毎週ショートショートnote】

 昆布の佃煮は旨いよね。
 かんぴょうなんかで結んでお煮しめにしてあるのも好きだけどもさ。
「ゆきこさん。これすっごく良い昆布なのよ。お出汁取るのに使うでしょう?」
 ウチいつも顆粒だしなんです、なんて答える事など予想もしてもらえなさそうな、義母からのこの圧力! そして確かに良い昆布! 惜しむらくは今イメージしている通りの、佃煮にお煮しめを作れる自信がある人間ならばな!
「ありがとうございますぅ!」
 礼を言いつつ笑顔で受け取ったものの、真剣にどうしたものか。子供もいない夫婦の二人暮らしには、量も質も立派な昆布過ぎる。そして実際に顆粒だしは、そこそこ旨いし保存も楽だし便利過ぎる。正式に取っただしの方が旨い事は重々承知だが面倒臭い!
「あら。こんばんはー」
 帰り際のアパート併設駐輪場に、掃除内職の仲間がいた。お子さんもいる家族世帯でお母様も健在だ!
 これは不用品の押付けではない。物にはより適切な人が存在するという話だ。


(408文字)

 もちろんお義母さまには、
 「使いましたぁ。美味しかったですぅ」
 と言っておくんだよ。
 嘘ではない。確かに誰かは使ったし評判も聞いている。

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偏光
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