【開催レポート】京都大学コミュニケーションデザインとDE&Iコンソーシアム特別プログラム
こんにちは。三菱電機変革プロジェクトnote編集部です。
三菱電機グループは、個人の多様性や価値観の違いを認め組織の強みとして活かしていくことを目指し、DE&I(Diversity, Equity & Inclusion)の推進に向けた様々な取り組みを展開しています。
その一環として、当社が企業会員として参画している「京都大学コミュニケーションデザインとDE&Iコンソーシアム」における特別プログラム「DE&Iの仕組み化を “Emotion” と “フラクタル” で捉えてみる」を三菱電機 名古屋製作所にて開催し、当社から平井正人さん、橋本和子さん、横田隆洋さん、澤山美絵さんの4名がテーマスピーカーとして登壇したので、概要をご紹介します。
聴覚障害と言語の壁をデザインの力で乗り越える!
平井さんは、話した言葉を指でなぞった軌跡に文字表示するできるアプリ「しゃべり描き🄬UI」の開発秘話を紹介しました。
自身が受け入れを担当した耳の不自由なインターン生との出会いをきっかけに、「聴覚障害がある方たちともっと話したい、もっと自分の思いを伝えたい」と強く思うようになり、プロジェクトを企画。色々な専門分野に精通する8名のメンバーと開発を進めました。その中には、聴覚障害がある家族をもつ人もいました。また、プロジェクトのきっかけとなり、その後当社に入社した元インターン生の姿もありました。
開発を進める過程で、「聴覚障害がある方たちは話している人の唇の動きと、指差した先を同時に見ることができないため、図を用いた筆談は理解が難しい」ことを知り、この気づきが大きなヒントとなって「しゃべる」「書く」に続く「しゃべり描く」という新たな伝達方法にたどり着きました。
また、これに「お絵描き機能」「画像貼り付け機能」「多言語翻訳機能」「手書き文字認識機能」「対面表示機能」などを組み合わせることで、聴覚障害の方はもちろん、外国の方たちとも気軽に思いを伝え合えるコミュニケーションツールが完成。結果、外国籍従業員とのコミュニケーションが円滑になり社内の仲間意識が一層高まっていることを紹介しました。
今後は教育現場での活用など、聴覚障害の壁だけでなく、言語の壁をも乗り越えて世界中の人々に使ってもらいたいと、メンバーの想いや夢が広がっていることを熱意を込めて語りました。
チームを支えるコーディネート力の重要性!
続いて橋本さんは、彼女のアイデンティティでもあるバスケットボールについて、女子バスケットボールチーム「三菱電機コアラーズ」のプレーヤーとしての経験と、引退後のマネージャーとしての経験から得た学びについて紹介しました。
プレーヤー視点では、現役時代を振り返り、勝ち抜くためのチームワークの大切さや、それを活かすために必要な基礎力の向上に取り組んだことを紹介するとともに、「コート上の監督」とも称されるガードとして、周囲を見回し、理解し、自身で考え動くことの重要性を学んだことなどを語りました。
マネージャー視点では、日本車いすバスケットボール連盟の事務局(広報担当)やコーディネーターとして男子日本代表チームをサポートし、東京2020パラリンピック銀メダル、U23男子世界選手権優勝、杭州アジアパラ競技大会優勝に貢献した経験から、勝利を得るためには選手だけではなく、それぞれの能力を引き出しチームの団結力を支えるコーディネート力も必要であることなどを語りました。
また、海外遠征にあたって選手たちが日常用と競技用の車いすを運ぶための輸送手配に苦慮したことや、車いす利用者に配慮した構造になっていないインフラ面の課題など、実際に体験しないと気づけない苦労話なども共有しました。
誰もが働きやすい職場をつくる! スマイリー活動
横田さんは、誰もが働きやすい職場環境づくりを推進する“スマイリー活動”について紹介しました。
活動の発起人は、妊娠しながら製造現場で働き続けた経験のある2人の女性社員。その経験から「妊産婦が働きやすい、働き続けられる職場をつくりたい!」という思いで始まったこの活動、自身の体験や職場の人たちの意見をもとに様々な企画や自作ツールを展開しています。
今回はその中から、お腹が大きくなることで靴の履き替えに苦労する妊婦さんが抱える、製造現場(クリーンルーム)での「靴の履き替え多すぎ問題」に対して、屈まずに靴を拾い上げることができる “靴取り名人”を自分たちで設計・作成し、所内に広めたエピソードを紹介しました。結果、妊婦さんだけではなく男女問わずケガなどで足腰に痛みを持つ多くの人にも喜ばれました。
また、「もっと妊婦さんの気持ちを理解したい、してほしい」と妊婦さんの日常を疑似体験する会を企画し製作所長を含む従業員で体験したり、そこから得た「妊産婦にどのように配慮したらよいか」についての気づきをまとめた「妊産婦ガイドライン」を作成し所内に展開したりするなど、職場の理解がどんどん深まっていった様子について紹介しました。
コミュニケーションから組織を、社会を変える!
最後は澤山さんが、カードゲーム型対話トレーニング教材“ロジマジ”の開発秘話について紹介しました。
「会社とはいったい何を実現する場なのか?」「社会に対して責任と影響力を持つ企業の一員として何ができるだろうか?」と考える中で、「共創し、尊重し合い、互いに支え合う世界観を構想する」をコンセプトに掲げる京都大学ソーシャル・コミュニケーションデザイナー養成講座に出会い受講。講師や同期受講生とのワークを通して得たコミュニケーションに対する視座や方法論を活かして、対話トレーニング教材の開発に取り組みました。
「家庭や職場といった”半径5mの範囲”の人間関係からコミュニケーションの質を改善することにより、やがて大きな組織や社会を変えていくことができる、という希望と野望を込めており、他人との対話の機会を持ち、そこで得た違和感を大切にしつつ、相手の価値観を受け止め、時には自分の考えも変えて、より良い形に作り変えていきたい。私が取り組みたいのは、“構成員の創造力があふれる組織づくり”です」と熱い想いを語りました。
このほか、年齢、性別、障害にかかわらず、すべての人が一緒に競い合えるパラリンピックの正式種目でもあるボッチャの体験や、三菱電機特例子会社のメルコテンダーメイツ(株)の方々が焼いたクッキーの配布など、会場は大いに賑わいました。
【運営コメント】
「DE&Iの仕組み化を “Emotion” と “フラクタル” で捉えてみる」というプログラムのテーマについて、理解が追いつくか不安な面もありましたが、参加者の方からは、
・聴覚障害の壁だけでなく、言語の壁をも乗り越えて世界中の人々とコミュニケーションしたい
・それぞれの能力を引き出しチームの団結力を引き出したい
・本質的に(本気で!)妊婦さんの苦労を理解してもらいたい
という家庭や職場における半径5mで出会う”Emotion”から始めて、やがて大きな組織や社会を地続きで変えていくことが“フラクタル”であり、それがDE&Iの仕組み化に通じるという気づきを得た、との声をいただきました。
一人ひとりが安心や誇りを感じる居場所で自分らしさを活かし合う。
多様な個が結集し、あらゆる環境変化に立ち向かい、新たな価値を創出するために協働する。
三菱電機グループは、私たち一人ひとりが自分らしく輝くために、誰もがWell-beingを感じることのできる未来を実現できるように、これからもその想いを実現すべく各種施策に取り組んでいきます!