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待つことについて 七緒栞菜

人を待つ時間が好きだ。

物を売る。売り場に立つ。
もちろん、少しでも多くの方に来ていただけるようお声がけをする。
誰が来るのだろう。
それは、そのときまでわからない。

期待通りにお越しくださる方、予想だにしなかった友人・知人との再開。
そのどれもが愛おしい時間。

お店に立っている人として人を待つ時間は、見えない未来を信じる時間だ。

一方で、家で来客を待つ時間は、見通せる未来に期待を寄せる時間だ。

今日はあの人が来る。
お掃除しなきゃ。
たまったゴミは出しておかなきゃ恥ずかしい。
夕ご飯は、何にしよう。
いつもの中華の出前がいいか。

そういうひとつひとつの、その人が来るから行われる行動や思考が、そのときが来るまでの私の心を弾ませる。

待つことができるって、幸せなことだ。
見えない未来も、見通すことのできる未来も、やってくるのが待ち遠しい。
そんな気持ちにさせてくれる、待つことが私は好きだ。


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