脳性麻痺。運動機能障害以外のこと。
脳性麻痺。左片麻痺。
運動機能障害は見た目にもわかりやすいので、ある程度周囲の人には認識されやすい。もちろん症状が軽度な場合はわかりくいこともある。
しかし運動機能障害以外のことについては見た目にわかりにくい分、周りの人に認識されにくい。認識されにくいのだから、症状の理解されることはもっと難しい。
見た目にわかりにくい運動機能障害以外のことについて記しておこうと思う。
・感覚障害について
麻痺側は痛みを感じにくい為、打撲をしても傷ができても指摘されるまで気づかないことが多い。
・視力、視野について
左目は見えてはいるものの弱視レベルでメガネによる視力矯正も難しい。
物心ついた時には右目だけで物を見ていた。皆そういうものだと思っていたが、どうやら違うらしい。そう認識したのは小学3年でメガネをかけるようになってから。視野も狭く、やはり左側は見にくい。意識して目を開けるようにしていないと、勝手に瞼が閉じてしまう。
・注意障害について
かなりの頻度で物を無くす。忘れる。
スマホ、杖、聴診器…。ひどい時は書類を置き忘れて紛失しかけるなど割と支障が出ている。
麻痺側への注意が向きにくい。
・記憶障害について
短期記憶が低下している。職場で認知機能検査や記憶検査を検者としてやっている時にわからなくなる時がある。仕事中は簡単なことでも逐一メモで残しておかないと忘れてしまう。イレギュラーなことが起こった時にはもう大変…。
・地誌的見当識障害について
見知った道でもよく迷う。新しい道を覚えるのに相当な時間がかかる。道を歩いていて振り返るともう道がわからないので、引き返すという選択肢がほぼない。カーナビやスマホアプリが手放せない。
私の場合は脳が萎縮しており、脳梗塞もしているので、高次脳機能障害があっても不思議ではないのだが、言語聴覚士になり専門的に学んだので気づいただけで、この仕事をしていなければ、運動機能障害以外に高次脳機能障害があることはおそらく気づかなかっただろう。10歳で療育園を卒園以降、病院でフォローされるわけでもリハを受けるわけでもなく成人したので、気づくきっかけがなかった。
成人して二次障害が出てきた時に主治医がおらず、今までの経過がわからないということは、何とも不安である。診断を受けた病院にも30年以上前のカルテなど残っているわけもない。
脳性麻痺者の経過を小児から成人してもずっと追えるような仕組みができてほしいものだ。
高次脳機能障害と付き合いながら生活すること、特に働くことは周りの理解が得られないことが多いので、日々悶々として疲弊してしまう。
もう少し楽に生きたいものだ。
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