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音階による溺死*詩

利き手みたいに
忘れないまま
時々、昔書いた歌詞を
思い出しては恥じて
目を閉じてから開けるまでの呼吸

歌詞は人を救う。
音階は人を救わない。
言葉は人を生かすか殺すかを決定して、
波長は無差別に感覚を優しく殴る。


みんなうっすら分かってて
そんなことは言わない代わりに
死にかけたふりをして

無駄なことは切り捨てる代わりに
つまらない事は聞こえないふりをして

感情の膨らみで下線部を曲げる代わりに
踏切の手前で改行して
ユーモアを書けたふりをする代わりに
リスポーン地点に花を添えて
時代が濡れ場を目撃する代わりに
部屋着は習慣ごとの嘘で

時計は失敗を皮切りに何もしたがらなくなって
でも動かなくなったから
俺を裏切らない

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