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映画『哀れなるものたち』のラスト 宮崎駿監督のあの作品のラストと一緒じゃない?
ハロー、マオです。
映画『哀れなるものたち』観てきました。
現実路線の時代モノと異世界モノのちょうど中間みたいなスチームパンクな世界観がめちゃめちゃ素敵で舞台や衣装の美術に魅了される作品でした。
キリスト教の知識があるとより楽しめます。
概要とテーマ
天才外科医によって蘇った若き女性ベラは、未知なる世界を知るため、大陸横断の冒険に出る。時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を知ったベラは驚くべき成長を遂げる。 天才監督ヨルゴス・ランティモス&エマ・ストーンほか、超豪華キャストが未体験の驚きで世界を満たす最新作。
ネタバレになるので内容は語りませんが、人間の自立がテーマの作品で
あらゆる常識や慣習から解き放たれた自由な状態の人間が成長していく物語です。
ツイートも載せておきます。
映画 哀れなるものたち
— マオ (@hello_iAMMAo) January 29, 2024
舞台美術が寓話的で目が嬉しい
幼児とその成長を演じきった主演女優素晴らしい
キリスト教世界観ベースの自由と自立がテーマのストレートな作品という印象
私は〝女〟の自立でなく〝人間〟の自立を描けてると思った
愛されなかった人間が愛を持って創造物に接する過程も泣ける pic.twitter.com/TTajaOuGAT
見どころ3選
見どころ① 衣装、舞台、小物、音楽など芸術部門
一応19世紀ヨーロッパが舞台ってことになってるんですが
この地球と微妙にズレた世界線なのが寓話的で、逆にテーマやメッセージ性をシンプルに受け取り易い装置になっている、ビジュアル的にも効果としても素晴らしいアートワーク!
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肩パッド盛り盛りなのにミニスカやショートパンツってコーデも可愛い。
色調設計も素敵だし、白黒画面や魚眼レンズの視覚効果も良かったです。
音楽はクラシカルなのに、やっぱりどこかこの地球上で育まれた音楽の系譜と違うような、どことなく胸に引っかかる不思議な音響。
画面作りも音作りも、ぜひ劇場で楽しんで欲しいです。
見どころ② 俳優の演技
やはり特筆すべきは幼児から人間的成長を遂げる主役を演じた主演女優。
しかも、元々大人の体を持って生まれるという非常に難易度の高い役柄だと思います。
幼くても成長しても、一貫性のある人物として演じきっているのも見事でした。
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この主演女優さんは他作で記憶にあるのは『クルエラ』なんですが、それもめちゃめちゃかっこ良くて、憎めない愛らしさもある素敵なヒールでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1706751522207-wYC2hxBWJd.jpg?width=1200)
主人公以外のキャラクターもみんな魅力的です。
私は養父のゴッドが一番好きなキャラ。
![](https://assets.st-note.com/img/1706579542364-Ht3qTIUvab.jpg)
でも演技がスゴイって意味で敢えてもうお一方挙げるならこの人!
![](https://assets.st-note.com/img/1706579577935-PdIxoDo7OE.jpg)
このダンカンという役を演じた役者さん(マーク・ラファロさんというらしい)のすけべおじぶりが本当にキモくてキモかったです。※褒めてる
勿論ただキモいだけでなく、下心、自分を魅力的に見せるスタイル、嫉妬、執着など、寓話的な世界観も相まって人間に誰しも備わる恥ずべき側面を誇張して見せてくれているような、本当に不思議な魅力でした。
見どころ③ 主体的な主人公
詳しくは映画を見ていただきたいのですが、
常識をインプットされずに育った主人公ベラの意思決定は
全てが自分を軸にしています。
まるで鏡のように、世の中の”当たり前”に合わせて様々な人生の岐路を選択してきた自分に気づかされてゾッとしました。
大事なことも、親や世間など
”他人”をベースに決めてきたような気がしてしまいます。
こうやって生きていると自分は本当は何が欲しいのか、どうしたいのかなどが分からない人間になってしまうので
なんでも自分ゴトとして捉えたいと、強く感じさせてくれたストーリーでした。
ただ、教訓はあれど全く説教じみてなくて良い映画です。
ラストって宮崎駿のあの作品みたい
ここよりネタバレになります。
この映画のラストは、
生家に戻ってきた主人公が
自分の意思決定を何でも(浮気など、非道徳なことでも)肯定してくれる助手兼夫、
娼婦時代の恋人であり一番の理解者である女友達、
自分で魔改造して生成したペット(自分の脳の親であり、自分の体の元夫)、
養父の創造したたくさんのキメラと可愛い人造人間、
家事全般を担う忠実な家政婦、
そんなお気に入りたちに囲まれながら
亡き養父の残した実験室で世間では認められないような手術を繰り返し
自分の夢である外科医の勉強を心置きなくする。
彼女の理想だけが100%詰め込まれた最高の環境で末長く暮らす。
世間から見たら醜悪だけど、主人公からしたら最高のハッピーエンドというラストでした。
これってハウルの動く城のラストと一緒じゃないですか?
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再び戦争のはじまった世界を棄てて
ソフィーの大好きな家族だけを連れて自分たちは争いと関係ない平和でのどかな人生を謳歌する。
ソフィーも、『哀れなるものたち』の主人公ベラも、
自己中に感じる反面、
全てを自分の意思で決定する主体性を実現する行動力、
世間に縛られない、流されない強い心持ちに非常に憧れました。
ぜひ観て欲しい作品です。
またね!
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