HL

何玏(カロク)。東京で計画コンサルタント勤務。地域公共交通政策、中国の都市・地域交通のお勉強。運行管理者(旅客)。

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何玏(カロク)。東京で計画コンサルタント勤務。地域公共交通政策、中国の都市・地域交通のお勉強。運行管理者(旅客)。

最近の記事

なぜ地域公共交通会議とは別に運賃協議会が必要になったか

2023年の地域公共交通活性化再生法改正と合わせて行われた道路運送法改正により、地域公共交通会議の役割は、法第9条4項の協議会(運賃協議会と仮称しましょう)と地域公共交通会議とに分けられました。さらに、運賃協議会での運賃決定に先立って公聴会の開催が義務付けられました。 これにより、従来の仕組みでは「協議路線」とされるバス路線――自治体コミュニティバスが多くを占める――を開設したり運賃改正を行ったりする際は、公聴会を開催し、運賃協議会を開催し、そして地域公共交通会議で協議を整

    • 地域公共交通の「議論」の含意について

      NHKが、「バス事業120年 2030年度に運転手3万6000人不足か 背景と今後は」と題した報道をしていました。 バスの人手不足は大変大きな問題ですが、記事の締めくくりが気になったので今回はその議論をしてみます。 国・自治体の「地域公共交通」の世界では、議論をすることが極めて重視される特徴があります。2022年の法改正では、地域公共交通活性化再生法の目的に「連携と協議」が新たに追加されたほどです。地域公共交通が危機に瀕しているのは議論が足りないせい、地域公共交通を改善・

      • 中国のMaaSを見てみよう

        日本ではMaaS(Mobility as a Service)が国の補助金を背景に地方自治体の公共交通アプリ開発+オンデマンド交通導入の実証実験コンテストという形で消費しつくされている感が深い今日この頃ですが(毎年11月~3月にだけ現れるMaaSとか)、ここで目の前の行政テーマたる「新モビリティサービス」「次世代交通」から目線を解放して、改めて海外のMaaSがどうであるかを見てみることは有用でしょう。 個人的には、日本のMaaSの様々な問題の背景には、結局MaaS導入検討や

        • 地域公共交通への現行の補助金制度は赤字補填的でダメなのか?

          https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000183.html ※トップ画像はイメージです 国土交通省の検討会から、地域公共交通(採算が取れない公共交通)をめぐって出されたリ・デザイン提言で、赤字補填的補助はやめようという提案がなされています。しかし、この「赤字補填」という概念がどうも厳密な定義を欠いたまま一人歩きしている感があります。 赤字補填が問題?リスクコントロールが問題?例えば

        • なぜ地域公共交通会議とは別に運賃協議会が必要になったか

        • 地域公共交通の「議論」の含意について

        • 中国のMaaSを見てみよう

        • 地域公共交通への現行の補助金制度は赤字補填的でダメなのか?

          ポストCOVID-19を迎えつつある中国の公共交通

          中国の交通研究者・交通業界団体と交流のある筆者が、中国の現状をリポートします。 くらしの足をなくさない!緊急フォーラム ―新型コロナウイルスによる交通崩壊を止めろ― もご参照ください(筆者は主催者には属していません)。 COVID-19の震源地となった中国だが、1・2月の徹底的な移動抑制により国内の流行は下火となり、3・4月には経済活動が続々と再開される段階にある。もっとも、世界ではCOVID-19がなお流行を続けており、中国国内でも「外からの流入を防ぎ、内からの流行再発を

          ポストCOVID-19を迎えつつある中国の公共交通