「一粒の威力!」
5月28日に「放射線性肺炎」の診断がついてからは、特に咳はひどくないけど、熱がスッキリ下がらない日が続いた。
6月6日の朝ついに37.9℃に達した。
この分だと、寝てる間に38℃は超えてるな、いよいよツんできたなと思ったが、その日は寝込んでしまい、翌日また予約外で午後から診察に向かった。
6月7日午後3時、受付と検査を済ませて待っていると、呼吸器内科の先生が来て下さった。
追加の採血、胸部のCT再検を受け、
呼吸器内科の先生は、内科の先生らしく丁寧で、地味〜に脅してきた。
・放射線性の肺炎だと思われるが、キイトルーダの副作用である間質性肺炎のことも念頭におかなければいけないこと。
・これから入院になるかもしれないこと。等々。
あああ、またか・・・
また入院か・・・
洗濯物干しっぱなしできたし、入院の準備なんか何にも持ってきてないし・・・
待合室で、どっぷり落ち込んでいると、主治医がOP着のまま外来に来て下さった。
金曜日は乳腺外科のOP日だから、きっと先生、OP終わってすぐに来て下さったんだろうな、いつもいつもすいません。
診察室に呼ばれて入ると、やはり先週より肺炎は悪化していて、気管支まで白くなっていた。
CRPも7まで上昇。
また、ツんだ・・・
もぉぉぉぉ(泣)
しかし!
主治医の判断で、放射線性の肺炎であり、キイトルーダの副反応ではなさそう、自宅でのステロイド内服療法でいけそうということになった。
念の為、細菌性肺炎の可能性も考慮し抗生剤2剤とプレドニン高容量の処方を受け、帰宅することができた。
主治医曰く、待合室から診察室に歩いてくる私の姿を見て、『大丈夫だな』と思ったそうだ。
やる気満々風で診察室に入っていってよかった。
何度ドン底に落ちそうになっても、半ばヤケクソ、もうやりますがな〜という空元気は、私の得意技であることに最近ようやく気づいた。
これを武器にして残りの人生がんばってみよう!
薬をもらって帰宅したら、もう夕方になっていた。
無性に食べたかったハンバーガーを食べた後、思いを託して抗生剤2つ、プレドニン●錠、祈りながら服用した。
抗生剤は、アメリカンスタイルでやたら大きく一個づつじゃないと喉に引っかかる。
仕事をしている時はこれをよく潰して、高齢者に飲ませてたなぁ、今は私が飲んでる...
飲ませてたのに、今は飲む立場。
形勢はいつでも逆転すると学んだ。
そして、今回の重大キーマンであるプレドニンである。
姿は、存在感抜群のアメリカンスタイルの抗生剤とは相反し、胡麻より少し大きいくらい、淡〜いピンクを呈し、実に控えめ。
「いえいえ、私なんか全然。」といかにも日本人特有の謙虚な感じを醸し出している。
しかしこの、謙虚な一粒の威力たるや!!
内服した翌朝、まず、朝一番の目覚めが違った。
スカッと目が覚め、あ〜よく寝たと気持ちよく伸びまで出た。
いったいこんな朝はいつぶりだろうと覚えていないほど、爽快な朝を迎えた。
やはり人間の朝はこうでなくちゃ。
スカーっと熱は下がり、術後のキイトルーダを再開してからずっと悩まされ続けていた、全身の関節痛と蕁麻疹がその日を境に、ピターッと治まった。
ご飯は美味しいし、体が軽くやる気満々!
私がアスリートだったら確実にドーピング検査にひっかる、無職で良かった。
ずっと、満潮の海で荒波が続いていたような体が、その日から遠浅の穏やかな砂浜のような感じ。
真っ白でどこまでも広がっていく砂浜で、大きな麦わら帽子を被って、のんびりカルピスを飲みながら遠くを行く船を見ているような優雅さである。
それからは、驚異の回復をみせ、翌週の検査でも肺炎像は消え、CRPも陰性化していた。
ステロイドの量を調整しながら、減量していく必要があるし、減量していく過程で体調不良が出ないとも限らない。
でも、今はとにかく体が楽なのは本当に幸せだなぁと噛み締めている毎日である。
肺炎になったのは不運だし、ならないほうがいいに決まっているけれど、思わぬ産物にびっくり。
私にとってプレドニンは、『一粒で300メートル』走ることができるキャラメルのような存在だ。
バンザイ!
いつか心斎橋の戎橋に立ってみたい。