夜のニューヨークでマフィアの幹部とすれ違った話
前回、ヘイヨーさんがニューヨークに行った時にブロードウェイミュージカルの「キャッツ」を見に行ったってお話をしたんですけど…
このあと、心臓が冷えるような思いをした出来事があったので、ついでに語っておきます。
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「キャッツ」は夜の公演だったので、ホテルまでの帰り、夜道を歩かないといけなくなっちゃったんです。
で、ジュリアーニ市長の政策のおかげでニューヨークも「以前よりかは安全になった」と言われていたのですが、さすがに日本に比べると遥かに危険!「夜、出歩いたら、何が起こるかわからない」という噂。
もしも、どうしても夜に出かけないといけない用事がある時は「必ず大勢で大通りを歩くように!」って注意があったんです。
なので、ブロードウェイからホテルまで歩いて帰るのに、集団で帰ってたんですよ。ところが、途中から「こっちの方が近そうだ」ってことで、裏道を通って帰ったんです。
人通りが完全に途絶えて、歩いてるのはヘイヨーさんたち3人だけ(ヘイヨーさんと友達と弟の3人)
まあ、裏道って言っても大通りの一本裏なので「さすがに、このくらいなら大丈夫だろう!」と思ってたら…
ヤバイのに遭遇しました!
明らかにマフィアのボスなんです。最低でも幹部クラスですよ!「ゴッドファーザー」って映画あるでしょ?アレの登場人物!見た目で言えば「ジョジョの奇妙な冒険」第5部のプロシュート兄貴みたいな感じ!
で、プロシュートの兄貴が、手下を2人ほど連れて歩いてるわけです。その2人は、どっちかっていうと下町のヤンキーって感じ。でも、兄貴は貫禄が違う!全身から負のオーラを発してるんです!眼光の鋭さも全然違ってます。遠くからでもそれがわかる!
で、ヘイヨーさんたち3人は信号待ちしてたんですけど。反対側からプロシュート兄貴率いる3人が横断歩道を渡ってくるわけですよ。信号無視して。
それで、先に部下のヤンキー2人が横断歩道を渡り終えちゃって、プロシュートの兄貴1人が道の真ん中に取り残されちゃったんです。
ところが、兄貴は平然とした顔して突っ立ってるんです!横を物凄いスピードで車がビュンビュン走ってるんですよ!
わずか15センチほどの鼻先を凄いスピードでアメ車が行き交ってにもかかわらず、兄貴は平然と立ったままトレンチコートを風にたなびかせてるんです。
その瞬間、ヘイヨーさん思いましたね。
「カッケェ!」
…って。
もちろん、怖いんですよ。この人たちに銃を突きつけられたら、問答無用でお手上げですよ。両手をあげて命乞いしながら持ってる現金を全部渡す以外手段はありません。
でも、同時に惚れこんだんです!
「将来、こういう人間になりたい!」
…って!
車道の真ん中で立ち尽くして、すぐ側を車が物凄いスピードで走り抜けていくのに、涼しい顔して待ち続けられるくらい度胸のある人間に!
ようやく行き交う車もなくなってから、何事もなかったかのようにプロシュートの兄貴がこっちに向かって歩いてきて、部下2人と合流してそのまま去っていきました。
我々3人には目もくれず。おそらく、アリンコかなんかくらいの存在だったんでしょうね。「こんな奴らからはした金をカツアゲする価値もない」くらいのレベルですよ。
実は、その辺りは韓国人街だったので、韓国マフィアのボスか何かだったのかもしれないですね。
いずれにしても、時間にすればわずか数十秒程度の出来事だったのに、いまだに脳裏に焼きついて忘れられない強烈な思い出の1つです。