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「僕の改革 世界の改革」 第24夜(第4幕 プロローグ ~ 7)

~第4幕~

ープロローグー

僕は、大切な人を2人も失った…
僕自身のわがままによって。

でも、それは本当に『わがまま』であったのだろうか?
僕は、僕のためだけではなく、人々のため…言い換えれば『世界のため』に懸命に努力し続けてきたというのに。

果たして、それは間違った行為であったのだろうか?
そして、僕は、まだ『リン』に対する未練を断ち切れずにいた。


ー1ー

僕は、躍起になって働いた。
でも、そんな力は空回りするばかりだった。
決して悪くはない状況だったが、これまでのような大きな進展もなかった。どこまで行っても、同じ日々が続くような気がした。

「一体、何が悪い?」

1つの事実が、僕の心を捉えて離さなかった。
リンもシノザキ博士も、消えてしまったという事実が…

「僕は、どうすればいい?」


ー2ー

散々迷った挙げ句…
僕は旅に出ることに決めた。このままでは、らちがあかない。
もしも、僕が世界を変える者であるなら、その力は僕の中に内在しているということになる。
そして、世界を変えるその前に、自分自身を変える必要があるように感じたからだ。

でも、組織のことはどうする?
いや、迷っている暇はない。留守中は大木さんたちに任せればいい。

そうして、僕は『休暇届け』を提出し、ひとり世界に旅に出た。


ー3ー

「我ながら自分勝手だな…」と考える。いつも好き勝手に生きて、みんなを振り回して。
頭ではそう考えるのだが、心では全く逆のコトを感じている。

「これでいいんだ。これで…」
それだけは確信がある。「これでいいのだ!」という、心の底から湧き上がる、真実への確信が。

「絶対に間違ってなどいない。この先に必ず『答え』がある。誰がなんと言おうとも、これは確かな行動なのだ」
燃え上がるような、それでいてとても静かな感情だ。

リンも言っていたではないか。
「あなたの好きにすればいいのよ。思った通り進みさえすれば、それが答えになるのだから」

だから、進む。僕は進む。僕にはリンが必要だ。リンを探す旅に出よう!
そう!これは『失ってしまった大切なモノ』を取り戻す旅なのだ!


ー4ー

とりあえず、僕は『やる気じいさん』の元へ向かうことに決めた。
あの人なら、きっとシノザキ博士の居場所を知っているだろう。なにしろシノザキ博士を紹介してくれたのは、あのやる気じいさんなのだから。
そして、きっとリンもそこにいる。意識を失ったリンを連れていったのは、そのシノザキ博士なのだから。

目的が決まると、俄然やる気が出てきた。
「こんな風に生きていけるのは、素晴らしい!」
そうも思った。
生きていくのがイヤで無気力になっていたあの頃が、恥ずかしいような気さえした。

なぜ、あの時に、この気持ちになれなかったのだろう?
あの時にこの気持ちに目覚めていれば、こんな事態になったりはしなかったし、リンを失うこともなかっただろう。

僕はいつも失ってしまってから初めて気づく。
『それ』が、本当に大切なモノであったということに…


ー5ー

『お前は、何をトロトロやっているのだ』
不意に、心の底から声がする。

僕は、その声に向かって答える。
「何を…って。大切なモノを取り戻しに行くんだよ」
『大切なモノ?大切なのは、お前自身だよ。それ以外に何も存在しはしない』
「そうだよ。だから、僕は旅に出るんだ。僕は、僕の意志に従って、僕の求めるモノを手に入れる旅をするんだ」
『やめておけ!お前の望むモノは、そこには存在しない。遠回りなどせずに、さっさと先に進めよ!』
「遠回り…かもしれない。でも、確かめたいんだ。自分の意志に従って、自分で選んだ、自分だけの道。その先に何があるのかを」
『フン!じゃあ、好きにするがいい。どうせ、すぐにわかることだ。どうせ、ここに戻ってくることになると!求めていたモノなど、どこにも存在しはしないのだとな!』
そう言うと、声は消えた。


ー6ー

それから、僕はやる気じいさんの住む山へと向かった。場所は覚えている。そこまでの行き方も。

「なつかしいな…」
ここをみんなで歩いたっけ。僕とリンと学生服君とで。リンはプリプリ怒っていたな。

そんな何もかもが美しい思い出となっていた。あの頃は、それがイヤだったのに…
「なんで、こんなコトをしなきゃいけないんだ?」なんて思っていたのに…
イヤな思い出ほど、後になってから親しみが湧いてくる。思い出なんてそんなモノだ。


ー7ー

しばらく歩いて、僕はやる気じいさんのもとへとたどり着いた。
じいさんは、あの頃と変わらず化石を掘り続けていた。あれから1日も経ってないような気がした。おかしな感覚だ。

「こんにちは」
そう僕が声をかけると、やる気じいさんは、あの頃と変わらない声で言った。
「おお、あんたか。どうしたい?」
「リンがいなくなったんです…」
「リン?」
「あの時、僕と一緒にいた女性ですよ」
「おお、あの子か!覚えておる…覚えておるぞ。それが、またどうして?」
それから、僕はこれまでの出来事を説明した。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。