見出し画像

【試し読み】玉木雄一郎(国民民主党)×小川榮太郎「憲法改正は今《惑星直列》のようなかつてないチャンスを迎えている」

【初出:『湊合』令和六年夏号(2024年6月刊)所収「特集 憲法改正――各党党首に訊く」より】

憲法を「アップデート」する

小川 玉木代表に伺います。まず国民民主党の憲法観と憲法改正についてのご見解をお話しいただけますでしょうか。

玉木 我々の憲法観は極めて明確です。国家の自立、地域の自立、個人の自立を確固たるものにするために憲法をアップデートする必要があるという立場です。

 この憲法は、戦後の占領下で作られたという経緯もあり、現代の大きく変化する時代の潮流に合っていないところがある。

 とりわけ、私が特に踏み込んで改正の必要性を言い始めたのは新型コロナの時なんです。コロナで非常事態宣言が出されましたね。ところが、我が国の法体系の最大の課題は、有事と平時とを分けた体系がないことです。ずっと平時だということを前提に作られています。非常時には通常とは違うメカニズムが働くということが前提になっていない。

 そういう非常時――緊急事態が発生した時には権力機構は通常とは違う作用をしなければいけないのに、そのルールが定まっていない。ですから緊急事態への対応を明確に位置付ける必要がある。

 もう一つ、人権の部分において、特に2016年のアメリカ大統領選挙以降、AI(人工知能)の発達に伴ってSNSやネットが投票の意思決定に与える影響力が非常に大きくなってきています。近代憲法というのは、物事を自由に判断する人、いわゆる合理的な自由人を前提にしている。その前提があって民主主義が成り立つとしてきました。憲法十九条は典型で、思想・良心の自由を保障しているんですが、そこでは所与のものとして考えられていた思想・良心の自由が、誰かにコントロールされているんじゃないのかということを、ネット時代には考えなければいけなくなってきた。つまり、SNS時代、あるいはネット時代の新たな人権規定のアップデートが必要だということです。

 我が党は、いわゆるプラットフォーマー規制のようなことも実は早くに提案しているんです。グーグルとかアマゾンとかフェイスブックとか、いわゆるGAFAと言われるプラットフォーマーは国家に匹敵する力を持っている。

 ただ、憲法審査会で私が強く申し上げているのは、急ぐものからやってゆく必要があるということです。

 その意味で、最も緊急性が高いのは、大規模災害、内乱、テロ、そして外国からの攻撃という緊急事態が発生したことに対してきちんと備える体制を整えていくことでしょう。

「いや、そんなことは起こりっこないから用意しなくてもいい」と仰る方もいれば、驚いたことに「起こったら国家緊急権で対応したらいいから、その時は内閣が自由にやればいいんだ」と仰る憲法学者もおられる。

 しかし、立憲主義の国として、憲法に最高法規性があることを尊重するのであれば、平時の時から有事に備えて法的な仕組みをきちんと整えておくことが必要でしょう。それで、2022年12月にまず我が党としての緊急事態条項の条文をまとめて、去年2023年4月に三会派で共通条文案をつくったんです。

小川 国民民主党と日本維新の会、有志の会による緊急事態に関する条文案ですね。

玉木 野党で複数会派がまとまって条文案をまとめたというのは……


※この対談の続きは有料記事でお読みになれます。
この対談が収録されている『湊合』令和六年夏号のバックナンバーは、
こちらのリンクからご購入になれます。https://psij.or.jp/magazine/
部数限定のため、売り切れ次第頒布終了となりますので予めご了承ください。

いいなと思ったら応援しよう!