【可能性に逃げるな】
この記事は,僕が実際に塀の中で非行少年たちに語りかけた内容を,記憶をもとに文字起こししたものです。塀の中の教室の空気感を想像しながら読んでもらえたらうれしいです。
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今日も一日お疲れ様でした。
今日は,最近のみんなの日記を読んでいて感じたことを少し話そうか。
先日,資格試験がありました。
その前は行事もあったね。
そういう「勝負の日が明確に決まっているイベント」を通り過ぎたからなのか,最近の日記の中に「自分でもやればできるんだなと思いました」みたいな言葉がたくさん書かれていたように思います。
そりゃそうだろな。
あんまり学校行ってこなかった君たちにとって,受験や定期テストもほぼ未経験だし,部活の大会みたいなものもほとんど経験してないでしょ。
だから
「この日までに力をつけなきゃいけない」みたいな経験が少ないし,その分だけ,自分の勝負強さや,勝負弱さもわかってない。
行事や試験を前にまじめに努力して…
その日を迎え,勝負に臨み…
結果を受け止める。
そんな経験は,実質的に初めての人もいたのかもしれない。
「やればできる」という感覚を味わうのも当然の話だ。
でもな…
ちょっと考えてほしい。
「やればできる」の「やれば」って…なんだ?
君はあの勝負に対して何をやったんだ…?
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。