【ジコチュー】
この記事は,僕が塀の中で非行少年たちに語りかけた内容を,記憶をもとに文字起こししたものです。塀の中の教室の空気感を想像しながら読んでもらえたらうれしいです。
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少年院でみんなが書いた日記や作文を読んでいると,結構な割合で反省とともに出てくる言葉がある。
「ジコチュー」だ。
まぁ,大事な反省だわな。
これまで散々ジコチューなことしてきたわけだし,非行なんてジコチューの極みだもんな。
自分の自己中心的な振る舞いに気づき…
それを反省し,改めることはとても大事だ。
だけど…
みんな少し,誤解してることもあるね。
今日はそのへんの話をしよう。
テーマは「ジコチューってほんとに悪いの?」だ。
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ジコチュー…「自己中心的」ってのは,基本的にはあんまりいい意味では使われないな。特に日本ではその傾向が強いかもしれない。
でも…
今日は一旦それ忘れて言葉の意味から考えてみようや。
自己中心的…
つまり自分が中心という態度で振る舞うことだ。
赤ちゃんなんかその典型だわな。
完全に自分が世界の中心。
赤ちゃんならそれは当然だし,なんなら赤ちゃんのジコチューは大抵の場合,周りを笑顔にしたりもするけども…
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。