「やりたいことをやればいい」の呪縛
この記事は,僕が実際に塀の中で非行少年たちに語りかけた内容を,記憶をもとに文字起こししたものです。塀の中の教室の空気感を想像しながら読んでもらえたらうれしいです。
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よし,
今日は少し…進路の話をしよう。
君たちは出たら何をするんだ?
仕事か?
学校?
まぁ進学する人もいるかもしれないけど,それでもバイトはするんだろ?
多少なりとも仕事はするわけだ。
でもそれ…
出てから一生やるわけじゃないよな?
「とりあえず働かなきゃいけないから」って感じだろ?
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俺はそれでいいと思うんだよな。
君たちは基本的に選べる立場じゃないわけだし,君たちが選ぶのと同じように向こうにだって選ぶ権利があるわけだろ。
普通にバイトの面接行ったって…
履歴書に空白がある君たちと,
普通に学校行ってる高校生なら…
向こうだって普通は高校生取るわな。
まぁ仕方ない。
君たちは…
選ぶ側ではなく,選んでもらう側なんだから。
しかも圧倒的に不利な状態で。
そこをわかっとくことが大事だと俺は思うよ。
人に雇ってもらうのに,自分が選ぶ側だと思ってる奴は,ちょっと冷静に図でも書いて考え直した方がいい。
身の程知らずは,採用の勝負に負け続けてどうにもならなくなるだけだ。
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さて…
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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。