![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/42712780/rectangle_large_type_2_199ddf63469c5d07ba7378d291606402.jpg?width=1200)
【職業指導の意味】
この記事は,僕が実際に塀の中で非行少年たちに語りかけた内容を,記憶をもとに文字起こししたものです。塀の中の教室の空気感を想像しながら読んでもらえたらうれしいです。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
実習おつかれさん。
素早く片付けしてくれたお陰で時間できたから,
少しだけ話をしようか。
少年院の実習ってのは…
なんのためにやってると思う?
実習は正式には「職業指導」というんだ。
つまり,出院後に健全に働くための指導なんだよな。
でも…
今日の作業内容,出院後に役立つと思うか?
作業内容自体は,使わない人の方が多いんじゃねぇかな。
じゃ,この時間はなんのためにあるんだろうな?
この時間は,君たちの将来にどう関わってくる?
今日考えてほしいのは…
「役立つ」ってどういうことか?
ってことだ。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
君たちのほとんどは学校ちゃんと通ってないだろ?
勉強してないし,勉強できない。
この中に,少年院に来た時点で分数の計算がちゃんとできた人はほとんどいないはずだ。
で,
今までの人生の中できっと,こんなことを言ったことがあるはず。
「数学なんて将来つかわねぇ」
「歴史なんて勉強する意味がねぇ」
…どう?
言ったことあるだろ?
自分たちの非行だって別に将来のためにやってるわけじゃねぇのに,人から何かを提案されると「意味」だの「価値」だの持ち出して文句言うのが非行少年の定番だもんな。(一同苦笑)
じゃあさ…
そもそも「役に立つ」とか「使わねぇ」とか,何を想定して言ってんの?
ここから先は
1,151字
放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。