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物語

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2020年12月の記事一覧

台風の屋根

害虫が騒ぎ出す夜に 台風もうすぐ来る気配 キミはコンビニ弁当買って なんだかウキウキしている 水溜りを飛び越える時に 見えるパンツを夢見てる 電車沿いのアパートの壁は もっと厚くなきゃって笑った 通り過ぎていく幸せを 車窓から覗き眺めてた 宇宙がくれた星屑に ため息が出るほどウットリ 壊れちゃった冷蔵庫は 東京に行ったあいつのお古 きっと来年 帰ってくるでしょう

ポップス

正解から順番に並べて 全部ウンウン頷き弾く 間違ってる方が楽しいとか ああ若者みたいって歳になった 冒険とかは旅行とかよりも 気まずい場所に行く方が安い 背中に乗ってる母親の声 母親の声がリバーブしている 惑星の話はいつも独り言で 図書館みたいに脳味噌で陳列 容量ちょっと足りなさ過ぎて もう考えないよと決めたよ、冬 連続するって信じていたから 突然途切れて腑に落ちません 適当な相槌はまずかったでも あなたの目はとても優しかった 2時間スペシャルが増えると暮れね 変な覚え方で月

悲しみが癒えた日が本当のさよなら

水を含み 膨張した夜が 怖かった 夜を引っ張って 夢を見続けている 冷めた器 愛憎今も 夏の隙間 恋や愛とはもう 違う何か 風が吹いても 朝空はとても澄んでいて まるで何にも 知らないような景色 砂鉄の匂いが 街を覆い尽くしていた 夜が過ぎるのを 祈るように待った日々 みんなが笑ったり 泣いたりできること ぼくはその時 初めてわかったんだ どこにも行かないで いつでもそばにいて 願いごとはいつでも 叶わないことが多い 悲しみが癒えた日が 本当のさよなら

カロリー

中途半端な約束 すごい沢山あるから 清算したい ティーンネイジャー ムッとする こわばる表情 逆にしてみるとよくわかる 飢え死ぬくらいなら 孤独死してやる 消費する時間のほとんど 埋められる本音 真っ赤な部屋 隠すのは 誰かと誰かの 会話の糸間 見にくくなる 醜くなる 止め雨 噛め 飴 冷め冷め ラメ ダメ 止め雨 噛め 飴 冷め冷め ラメ ダメ

雪国

永久不変を懲らしめた後 雪国に帰っていった女は 念仏を唱えて母を小さくすると 時々の地震に怯えながら 霜降り明星のYouTubeを見て 幸せと漏らしたその後に 炊き立ちの悪い炊飯器の クレームを入れて眠った

続き

映像的にはかなり地味で 半分くらいは覚えていない 退屈すぎて欠伸が出るし 途中からはもう寝惚けマナコ それでもこれから 起きる何かを 少しだけだけど 信じてみたいの 字幕と音で 盛り上げるだけの バカみたいなほど 嘘っぽい奇跡 終わらせるのは簡単だけど 続かせるのもなんて事ないよ ガタガタ回る8mmフィルムは 燃えて消えるまでずっと待ってる

王国

崎陽軒のシューマイ弁当 ほろよい3缶味違い フランボワーズのアイスクリーム 2時間ドラマはサスペンス 宴がはじまる 私だけの宴 王国にひとりぼっち 王国にひとりぼっち 王国にひとりぼっち 世間の風はとても冷たい だからか、ここは温かい

モラトリアム

皺くちゃな顔でラッパを吹くと あの子は放物線になった どうしようもない繰り返しを捨てて 夏より冬を愛していた 錆び付いた築24年には 愛した歴史が染み込みすぎたね 「お忙しいのにご苦労様」 遮る線路の向こう側から いつかの私が私に お辞儀を お寿司の出前を頼み過ぎたら いつのまに止まるガス水道 なんだか知らんキャラのTシャツも 雨に降られてブザマに溶けました 「映像の勉強しなくちゃなー」 ってハザードランプみたいな目が チカチカ光った 見逃した おからを食べて吐いた思

フェスティバル

ワルツの中心に踊りがあって 火の輪が彼らをクルリと包む 笑顔のとなりには悲しみもあり 手拍子もそれぞれ気味が悪い 娘たちは花のかんむりを 少年たちは薔薇のたすきを 泣くことは断じて許されない 来るべき瞬間を踊り待つしかない 炎に放り込むその物体たちは どこかで見たことあるような ざわめく頭上で閉じた月は ああまたなんだと呆れ顔 椅子と机で戯れる影は ありとあらゆる欲の塊 ほとぼり冷めるまで歌いましょう 世界が変われば夜も明けよう

ファイト

傾いた机と底抜けそうなイス 暮らしは歪つに伸びて今中腹ぐらい 私のこの部屋は中学生からいっしょ 旅する余裕なくあっという間オジサン 楽する手法も技能も身につけて 遊ぶ暇弄ぶことなく老けたもんだ 何も目指すことなどないよねなんて言い草 100、200、数えてからもうやめた ああー大きな何かをやり遂げた人たちは きっと素敵な思い出を反芻して長生き ああー小さな幸せでも手に入れれば ずっと未来を何かに託して超超満足 震えた指が寝静まるころ、たぶん深夜 夢見るように眠りゆく私の上