夢の中

俺は、夢の中では王者だぞ。
夢の中では覇者なりて、
女をとっかえひっかえ抱いては犯し、
ついには世界をぐるりと征服した。

しかし、夢から目覚めてしばしの間、寝ぼけていると、
どうやら自分は夢を見ていたという自覚が湧き上がる。
すると、段々恥ずかしいという思いが出てきて、なんということを考えていたんだと自分を責める。

でも不思議と、現実では得られない満足と自由の残滓が、
今、僕の手に握られている。
ああ、それもすぐに、道徳に、常識に、論理にとって代わられるのだ。

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