老人デイケアに勤める医師による実話
を模したフィクションです。
「麻痺した手足を切断する治療」という設定で、
患者さんとご家族、デイケアのメンバー、マスコミの反応など非常に丹念に描かれています。
タイトルの「廃用身」とは、脳梗塞などで麻痺し、リハビリをしても回復が見込まれない、動かない手足のことです(wikiより)
医療制度
麻痺した手足は以下のような状態になるらしいのですが
病名がない限り、今も切断は不可みたいです。
・不随意な動き
健常なほう手で作業をしているとき、急に麻痺したほうの手が勝手に動くことがある。そのたびに作業が中断してしまうため、患者本人にとってストレスとなる。
・体重がかかる臀部などの床ずれが治らない
・不快感(しびれ、痛み、冷え)
小説内では
「多発性骨髄炎(有害無益の四肢であるため)」
という名目でレセプト請求されていました。
"お年寄り"
・家族からの虐待
乱暴、排泄
・本人の問題行動が多いケースでは、寝たきりになったほうが介護する側はラクである。
(かなり憶測ですが)老人に限らず赤ちゃんも含めて
「体を触ってもらいたいから」という理由で、無意識に粗相する場面もあるのではないかと思います。不安の強弱も関係ありそう。
介護がないとどうなるか
・持ち家であるため、生活保護を受けられなかった人。
近所に住んでいる一人暮らしのお年寄りが、見かけるたびに少しずつホームレスのような風貌になっていたり、身近なところでリアリティがあったので自分も晩年はこんな感じかもと思いながら読みました。
歩けなくなったら食料買いに行けないし、1〜2ヶ月で餓死すると思うのですが、、どうなんでしょうね。
おわりに
著者の久坂部羊さんは、フィクションもかなりの本数が刊行されているほか現代ビジネスでも記事を書かれているようです。
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